16.ニボルマブ投与中に発症した後腹膜線維症の1例
総合南東北病院呼吸器外科
藤生 浩一
八戸赤十字病院呼吸器内科
内海 裕
総合南東北病院放射線治療科
鈴木 志恒
福島県立医科大学呼吸器外科
鈴木 弘行

後腹膜線維症発症時57歳男性.2014/1に肺癌(扁平上皮癌pT3N0M0)で胸壁合併右肺上葉切除術を行い,術後胸壁に陽子線治療を追加した.2016/1に胸膜播種,右腋窩・右肺門リンパ節転移再発と診断し,シスプラチンとゲムシタビンで4コースの化学療法を行った.さらに2017/5からニボルマブを開始し,2019/1まで約35回投与した.2018/10より尿閉塞感,腰痛出現し,PET/CTで左水腎症と腹部大動脈周囲のFDG集積を認めた.生検は得られなかったが,後腹膜線維症と診断した.ニボルマブは中止した.2019/4よりプレドニゾロンを開始し,FDG集積を認めた陰影は消失,現在まで後腹膜線維症の再発を認めていない.肺癌の再燃も認めない.後腹膜線維症は,多くは特発性とされるが,薬剤,自己免疫疾患などの原因も報告されている.ニボルマブ投与中の発症であり,薬剤性も否定できないと考え報告した.

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