手術後に肺がんが再発してしまった場合の治療法としては,初回治療と同様に外科治療,放射線療法や薬物療法があります。どの治療を選択するかは,がんそのものの性質,再発している部位や数,初回治療の内容などを考慮して決定されます。
通常,肺がんの再発は原発巣から離れた複数の部位に起こることが多く(遠隔転移),この場合は全身に効果が期待できる薬物療法が行われます。どのような薬剤を選ぶかの原則は,Ⅳ期の肺がんの薬物療法と同じですので,具体的な内容についてはQ67を参照してください。一般には肺がんの遺伝子異常の有無と種類,PD-L1タンパクの発現状況,臓器機能などによって,分子標的治療薬,免疫チェックポイント阻害薬,抗がん剤(細胞障害性抗がん薬)が選択されます。
再発病変が1個か多くても2,3個までで局所にとどまっている場合は,手術や放射線療法を行うことがあります。この場合も,ほかの部位に目に見えないがんの転移が生じていることがあり,薬物療法もあわせて行うことが多くなります。以前は,抗がん剤の種類も少なく,効果も低かったので,再発・再燃した場合の治療は困難でしたが,最近はこのような場合でも有効な薬剤が出てきていますので,どのような薬が適しているのか担当医とよく相談して,適切な治療法を選択していくとよいでしょう。
また,自覚症状のある骨転移・脳転移に対しては,遠隔転移の状態であっても,著しくQOL(生活の質)を下げるおそれがあるので,局所治療として外科治療や放射線療法を選択する場合があります。詳しくはQ53(骨転移に対する治療)やQ54(脳転移に対する治療)も参考にしてください。