第7章 小細胞肺がんの治療
Q74
進展型小細胞肺がんといわれました。どのような状態なのでしょうか

 進展型小細胞肺しんてんがたしょうさいぼうはいがんとは,放射線を照射できる範囲を越えて,がんがひろがっている小細胞肺がんのことです。つまり,

  • 肺以外の臓器に転移がある
  • 原発巣げんぱつそう(最初にがんができたところ)以外の肺に転移している
  • がんが原因となって肺の周りに水がたまる(胸水きょうすい
  • がんが原因となって心臓の周りに水がたまる(心嚢水しんのうすい
  • 原発巣と反対側の肺の入り口近くのリンパ節(肺門はいもんリンパ節)に転移がある

などの場合,がん細胞が広い範囲に存在するため,放射線療法や外科治療(手術)によって完全に取り除くことは困難です。そこで,進展型小細胞肺がんの治療に最も勧められるのは,全身にいきわたるように抗がん剤(細胞障害性抗がん薬)を投与する方法(化学療法)です。

 転移による症状がある場合も,化学療法で症状が改善することの多い病気です。しかし,化学療法で改善しない場合,あるいは化学療法のみでは改善しないと予想される場合は,症状をやわらげる目的で放射線療法を行うこともあります。

 小細胞肺がんの場合,胸水や心嚢水は化学療法で改善することが多いのですが,大量の胸水がたまり息苦しさなどの症状が強い場合や,化学療法の効果が間に合わないと判断されるときには,チューブを胸腔に入れて胸水を抜く必要があります(胸腔きょうくうドレナージ,Q55参照)。

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