第4章 治療の概要
Q29
この治療が標準治療といわれました。もっと良い治療があるのでしょうか。臨床試験,治験とはどう違うのでしょうか

 肺がんのよりよい治療を求めて,絶え間なく研究が行われています。よい研究成果を世界中に伝え,その結果が正しいか評価し,速やかに患者さんに届ける仕組みが確立しています。最新の治療方法を患者さんに届ける仕組みにおいて,日本では世界有数の恵まれた状況が構築されています。効果の確認された最新の治療法が,世界のほかの国や地域に大きく遅れることなく標準治療として導入され,国民皆保険のもとで実施可能になります。まだ標準治療になっていないものの将来期待される治療方法は,国民皆保険での使用を認められるための研究の枠組み(治験等)に則って,対象となる患者さんに提供され,評価されます。そのため,最も確実な治療法を受けられたい場合は標準治療を選択されることがおすすめで,将来有望な治療法の評価に協力されたい場合は治験等の研究の枠組みをオプションとして選択することも可能です。

A
1.標準治療とは

 標準治療という言葉には,ともすると「古い治療」「並みの治療」といった印象があります。しかし,実際は,「最も信頼できる治療」「できるだけ多くの患者さんに受けてもらいたい治療」が標準治療にあたります。そのため,わが国においては関係するさまざまな専門家の努力で,世界で行われている肺がんに対する標準治療のほとんどを,こくみんかいけんの範囲内で受けられる体制が整えられています。標準治療は現時点で医学的に最も優れていると検証された治療法なのです。

2.治験,先進医療,そのほかの臨床試験とは

 治験,先進医療などの言葉には,「新しい治療」「画期的な治療」といった印象があります。もちろん,治験,先進医療,そのほか臨床試験で行われている治療法のなかには,画期的な成果を示すものもありますが,実は失敗のほうが多いことが一般的に知られています。この「画期的な成果」を示すことに成功した治療法が認められて,「標準治療」と呼ばれるようになります。つまり,に示したように治験,先進医療,そのほかの臨床試験は,「標準治療」の候補である治療法を,患者さんたちの協力のもとで,詳細に検討している段階です。

3.そのほかのさまざまな治療法(自由診療など)

 がんに対する治療法としては,標準治療,治験,先進医療,そのほかの臨床試験以外にも,さまざまな治療法が,さまざまな医療機関,団体で自由診療(公的保険の対象ではない医療行為)として行われています。むしろ標準治療,治験,先進医療,そのほか臨床試験の情報よりも,このような治療法の宣伝のほうが各種出版物,インターネットなどでは頻繁に見つかる状況にあり,近年はネットパトロールの対象になっています(参考情報参照)。また,ほとんどの場合,患者さんからそれなりの費用を受けとって実施されています。残念ながら,このような治療法のほとんどは,患者さんの期待に見合った効果を示すことはないことが知られており,気になった場合も,担当医と必ず相談し,後悔することのないように気をつけましょう。

参考情報

 下記の「医療機関ネットパトロール」では,医療機関のウェブサイトにうそや大げさな表示がないか情報を集め,「医療広告ガイドライン」違反の疑いがあるウェブサイトを監視しています。ウェブサイトに不適切な表示や表現を見つけたら,このサイトへ通報してください。

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