第10章 生活上のアドバイス
Q95
新型コロナウイルスが流行しているので,病院に行くのが不安です。ワクチンの接種はどうすればよいでしょうか。

※2022年7月の状況をもとにしています。

 新型コロナウイルスの出現は私たちの生活を大きく変えました。がん患者さんは体力や免疫力に不安を抱えている方も少なくありませんし,入院や外来に通院することで感染してしまわないかと心配になるのは当然のことと思います。

 しかし感染を恐れるあまり,本来必要な検査や治療を受けなかったり,経過観察や薬の副作用のチェックがおろそかになったりしてはいけません。また肺がん検診で異常を指摘されたら遅滞なく病院を受診してください。新型コロナウイルスについて,病院はしっかりと対策をとっています。みなさんもマスクをして,手洗いや消毒を心がけていれば,病院で感染することを過剰に心配する必要はありません。治療を開始できるのか,続けたほうがよいのか,受診の間隔をあけても大丈夫なのかといったことは,皆さんの病状や治療の状況,感染の流行状況によっても大きく変わってきます。ご自分で判断なさらず担当医とよく相談するようにしましょう。

 日本肺癌学会では専門医による意見を公表しています。担当医と相談する際の参考としてください(参考情報参照)。

 また新型コロナウイルスのワクチン接種はがん患者さんの場合,前向きに検討するように勧められています(参考情報参照)。接種のタイミングは治療との兼ね合いがありますので,接種したほうが良いかどうかも含めて担当医の意見もふまえて判断する必要があります。

 新型コロナウイルス対策として皆さんが取り入れている手洗いや消毒,人ごみでのマスクの着用,そして三つの密(密閉,密集,密接)を避ける生活様式はインフルエンザなどほかの感染症への対策としても有効です。新型コロナウイルスのワクチンだけでなく肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンといったワクチンの接種も大切です。これらのワクチンの接種のタイミングも治療との兼ね合いがあるため,担当医と相談して必要なワクチンをうつようにしましょう。熱や咳などの症状が出た場合の対応についてもあらかじめ担当医や看護師に確認しておくようにしましょう(Q86 参照)。

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