第3章 肺がんと診断されたらまず知って欲しいこと
Q16
現在の治療方針でよいのか不安です。別の病院に相談できないでしょうか〜セカンドオピニオン〜

 現在の治療方針で不安な場合は,担当医以外の医師から意見を聞く「セカンドオピニオン」をお勧めします。肺がん診療を専門に行っている施設,肺がん治療の専門医にセカンドオピニオンを求めるのがよいでしょう。お近くのがん診療連携拠点病院を中心に検討してください。病院が決まったら,担当医にセカンドオピニオンの希望をお伝えください。紹介状や画像などの資料を準備してもらえます。この費用は健康保険で認められています。セカンドオピニオンでは相談のみで診療は行いません。費用は受ける病院によって異なります。60分を限度に2〜4万円程度です。病院のウェブサイトで確認するとよいでしょう。

 セカンドオピニオンを受ける場合は,現在の担当医から病状および勧められる治療法について説明を受け,理解しておくことがまず必要です。病状が緊急を要するのか,セカンドオピニオンを受ける余裕があるのかを把握しましょう。大切なことはセカンドオピニオンを受ける目的を明確にしておくことです。たとえば,①診断が正しいかどうかを確認したい,②現在の病院での治療方針が適切かどうかを確認したい,③現在の病院で説明された治療法以外に選択肢はないか聞きたい,④今後の病状の見通し(予後)について知りたい,などが考えられます。治療に対する希望(なるべく手術は受けたくない,など)を含めて聞きたいことをメモして持参するとよいでしょう。最近は治療のガイドラインなどが作成されていますが,個々の患者さんの希望などは考慮されていません。セカンドオピニオンでは,肺がん以外の合併症やそのほかの状況,治療の希望を含めてご相談ください。

 注意点は,担当医や受診中の病院の悪口を言わないことです。担当医や現在診療を受けている病院に対する苦情や要望は,その病院の相談窓口を通じて病院管理者などへ伝えましょう。セカンドオピニオンでは,自分自身の今後をどうすべきかに意識を集中するようにしましょう。

 担当医にセカンドオピニオンの希望を伝えるのは気が引けると感じる方も多くいらっしゃいます。セカンドオピニオンは制度として定着していますし,担当医にとっても専門医やほかの医師の意見を聞くことは参考にもなります。資料の準備,紹介状の作成費用は保険診療として認められています。ただし,資料の準備には時間がかかりますので,いつ頃準備ができるかを尋ねてください。その場でもらうような要求は避けましょう。

 また,セカンドオピニオンはほかの医師の意見を聞くことであり,転院(病院を変えること)とは異なりますので,ご留意ください。転院の場合は,転院のための病院・医師間の連携と合意が必要です。

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