第3章 肺がんと診断されたらまず知って欲しいこと
Q15
担当医と話し合うときに,聞くべきこと,準備すべきことはありますか

 がんの治療を考えるうえで大切なことは,がんの状態を知ることです。せきたん,息苦しさなどの自覚症状のほかにも,気になっていることがあれば担当医に伝えましょう。診察に続いて,がんの大きさ,性質,ひろがりを把握するためのさまざまな検査が行われます。検査が続き,診断結果が出るまで時間がかかることもあります。その後,担当医から検査の結果や診断について説明がなされます。検査や診断についてよく理解し,記録しておくことは,治療やこれからの過ごし方を考えていくうえで大切です。

 不安や心配ごとがあるときは,我慢しないで伝えましょう。Q13の内容も参考になります。

1. 医療者と話し合ってみましょう

 病状や治療のことについて,あなたの病状を最もよく理解しているのは,担当医や看護師です。わからないことがあれば遠慮せずに尋ねてください。詳しく話を聞きたいときは,相談のための時間を割いてもらいましょう。通常の外来診察の時間では,ほかに多くの患者さんもあり,ゆっくり相談できない場合もあるでしょう。①担当医の空いている別の時間に予約する,②入院時,退院時に詳しく説明を受ける,などで対応できることもあります。じっくり話を聞くことによって,病気のこと,治療のこと,生活のことなど,これからのことをより深く理解できるでしょう。

2. 聞いておくこと,聞いたこと,わからないことはメモにしておきましょう

 あらかじめメモを用意しておくことで,自分が何を聞きたいのかをはっきりさせ,疑問点を整理することができます。メモにしておけば,短時間でも要領よく質問でき,聞き忘れることを少なくすることができます。一回の診察ですべてを聞く必要はありません。新しく疑問に思うことがあるかもしれません。こうしたこともメモしておくと,次の診察のときに伝えることができます。何度か話し合うことによって,治療の希望や大切にしたいことなどについて,うまく伝えることができるようになるでしょう。

3. 質問リストを参考にしましょう

 がんの治療方針は,がんの性質,大きさやひろがり,ご本人の体調や身体機能,治療への積極性や希望などによって変わってきます。担当医からの説明も,これらの項目に沿った内容です。あらかじめ質問リストを作っておくと,質問したいことや説明を受けたことをわかりやすくまとめることができます。

質問リストの例

  • 肺がんの種類は何ですか?(せんがん・扁平上皮へんぺいじょうひがん・小細胞しょうさいぼうがんなど)
  • がんはどこにあって,どのくらいひろがっていますか?(病期はどの程度ですか?)
  • ほかにどのような検査が必要ですか?
  • 私が受けることのできる治療にはどのようなものがありますか?
  • どのような治療を勧めますか?ほかの治療法はありますか?その治療を勧める理由を教えてください。
  • 痛みやつらさに対してどのような対応ができますか?
  • 治療を選んだときに起こり得る合併症,副作用,後遺症について教えてください。それに対する治療や対処法はありますか?
  • これまでどおりの生活を続けることはできますか?(食事,仕事,家事,運動,性生活などへの影響はありますか?)
4. 信頼できる情報をあらかじめ集めておきましょう

 あなた自身が肺がんについて大まかな予備知識をもっていると,担当医の説明を理解しやすくなります。国立がん研究センターのウェブサイトや肺がんに関する冊子などでは,信頼できる情報源や,患者さん向けの肺がん情報が提供されているので,あらかじめ読んでおくとよいでしょう。

 なお,肺がんの診断,治療方法は日々進歩しています。インターネット上で提供されている情報が常に最新のものというわけではありませんので,目安(参考)とするのがよいでしょう。

参考情報

 医療者との対話のヒントや,肺がんについて知りたいとき,質問リストやメモについて知りたいときに参考になる情報をご紹介します。

  • 参考情報
  • タイトルをクリックするとWEBページへうつります。

肺がん(国立がん研究センター がん情報サービス)

肺がんの基礎知識,診療の流れ,検査や治療のこと,治療後の療養生活などについて,わかりやすくまとめられています。

患者必携 がんになったら手にとるガイド(国立がん研究センター がん情報サービス)

「がんと診断されたらまず行うこと」「医療者とよい関係をつくるには」などの章で,対話のヒントや質問リストの例がまとめられています。

日本肺癌学会ウェブサイト 一般の皆さまへ

患者さんや一般の方向けの情報や市民公開講座の記録などを掲載しています。

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