第3章 肺がんと診断されたらまず知って欲しいこと
Q14
良い病院の選び方はあるでしょうか

 肺がんの治療実績があり,標準治療を基本とし,そのうえに新しい標準治療を生み出すための臨床試験や治験を推進している病院をお勧めします。国が指定している「がん診療連携拠点病院国のがん対策の一環として,質の高いがん診療を全国どこにお住まいの方でも受けられるように,がん診療の体制や実績などをもとに,国が指定している病院です。がん専門医,放射線治療医,放射線治療施設,緩和ケア,がん相談,がん登録,医療安全などの要件を満たしています。都道府県によっては独自に拠点病院を指定しているところもあります。」は,質の高いがん診療を行う医療機関として,定められた基準とがん治療に必要な設備が確保されています。都道府県によっては,同等あるいは準拠した基準をもとに独自に拠点病院を指定していることもあります。病院ごとに特徴や診療体制に違いがあります。ウェブサイトなどで公開されている治療実績や,がん情報サービス(参考情報参照)での診療体制や実績,担当診療科などの情報をもとに,お近くの医療機関に関する情報を調べることができます。

 手術の場合,手術の件数や,担当する診療科(呼吸器外科,胸部外科,外科など),手術前後のリハビリテーションなど関連する情報が参考になります。がん薬物療法〔抗がん剤(細胞障害性抗がん薬)による治療(化学療法)など〕の場合は,実施件数や担当する診療科(腫瘍内科,臨床腫瘍科,呼吸器内科,内科など)の情報をみるとよいでしょう。外科,内科,放射線科など複数の診療科で定期的な検討会(カンファレンス,キャンサーボードと呼ばれます)を開き,連携しているか,専門医がいるか,などが参考になります。ただし,これらの内容によって,優劣を決めたり,単純に比較できるわけではありませんのでご注意ください。

 また,一般病院の中にも,特定のがんに優れた治療実績を有しているところがあります。お住まいの地域については,かかりつけ医に相談するとよいでしょう。最寄りのがん相談支援センター(Q22参照)に相談することもできます。肺がんの治療では,繰り返し入院したり定期的な通院が必要となる場合があります。ただ単に大きな病院というだけで遠方の病院を選ぶよりも,ご自身や家族が実際に通えるかどうかを考慮に入れて選ぶことも大切です。

 より良い医療の提供には,医師,薬剤師,看護師,医療ソーシャルワーカー社会福祉の立場から,経済的,心理的,社会的問題の解決・調整を援助し,社会復帰の手助けや自宅療養のための環境整備などの支援を行います。などの多職種によるチーム医療が不可欠であり,拠点病院ではそれらの人材育成も行っています。化学療法に際しては,がん薬物療法専門医やがん治療認定医,がん専門薬剤師がん薬物療法についての専門的知識をもった薬剤師です。抗がん剤(細胞障害性抗がん薬)の投与量が安全かつ適正かを確認し,調剤します。また治療の内容をわかりやすく説明したり,副作用が軽減できるように支援しています。がん看護専門看護師がん患者さんの看護の専門的知識・技術をもった看護師です。患者さんの理解や意思決定を助け,療養生活でのあらゆる不安や悩みの相談窓口になり,患者さんと家族を支えます。抗がん剤投与時の安全および副作用の出現に気を配っています。などによるチーム医療で,患者さんが満足できる療養生活がおくれるように支援します。

参考情報

 病院を探すときや,医療機関の体制や肺がんを担当している診療科を探すときに参考になる情報をご紹介します。

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がん診療連携拠点病院などを探す(国立がん研究センター がん情報サービス)

都道府県,がんの種類,治療(外科治療・薬物療法・放射線療法など)の体制に応じて,がん診療を担当する診療科,実績や専門医療職についての情報が得られます。がん相談支援センターについての情報も探すことができます。

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