第3章 肺がんと診断されたらまず知って欲しいこと
Q19
インターネットには情報があふれていて,どれが正しいのかわかりません。良い情報,誤った情報を見分けるコツはありますか

 医療や健康に関する情報は,インターネット上にたくさんあります。役に立ち信頼できる情報がある一方で,自分に当てはまらない情報や,誤った情報も含まれるため,取り入れるには慎重になったほうがよいものがあります。治療や療養について,自分に取り入れてよいかどうかを判断する際には,治療に関する判断(意思決定といいます)を支援するために最適なお勧めできる内容としてまとめられている「標準治療」の考えが参考になります。

 標準治療とは,科学的根拠に基づいた視点で,現在利用できる最良の治療であることが示され,ある状態の一般的な患者さんに行われることが勧められている治療をいいます。臨床試験によって,多くの実際の患者さんで治療効果の評価が行われ,その結果に基づいて「標準治療」として勧められる治療が,これから治療を受ける患者さんに提案される,ということになります。

 治療についての意思決定に限らず,いくつかの視点で情報の「確からしさ」について冷静に見つめ直してみると,情報を見きわめるときの参考になるでしょう。

情報を見きわめる5つのヒント

1)誰を対象にした情報ですか,利用できますか?

 人の性格がひとりひとり異なるように,がんの病状や経過もさまざまです。情報の内容が,どのような人を対象とした内容なのか,自分が利用できるものなのかどうかについて確認してみましょう。

2)別の選択肢と比較していますか?

 治療や療養の方針について特定の内容だけにかたよらず,選択できるように示されていると,どれを選ぶとよいか判断するときの参考になります。特定の治療に誘導しようとしていないか,確認しましょう。担当医やがん相談支援センターに相談することもできます。

3)効果について,臨床試験などの科学的根拠に基づく適切な方法で評価されていますか?

 個人の体験や意見ではなく,実際の多くの患者さんで効果や副作用について評価がなされた情報をもとに,「標準治療」がまとめられます。細胞を用いた実験や動物モデルをもとにしたものは,仮説段階のものであり,そのまま人での治療に当てはめることはできません。実際の治療効果は臨床試験によって評価されます。

4)不利益や費用のことも含めて,バランスよく書かれていますか?

 良いことばかり書いてある情報にも注意が必要です。副作用や後遺症,費用についてもバランスよく記載されているかどうか,確認しましょう。現在の治療とは別の医療について興味があるときには,必ず現在の担当医に相談しましょう。

5)見出しにも注目,冷静に内容を見つめ直してみましょう

 効果があることや副作用がないことについて,過剰に強調していたり,体験談ばかりの情報は要注意です。あなたに当てはまるかどうかは,多くの同じ状況の患者さんを対象として行われ,効果や副作用について評価・検証がなされた臨床試験の結果などに基づいて検討されます。

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