第4章 治療の概要
Q29
治療はいつまで続けるのでしょうか。また,治療が効かなかった場合や再発・再燃したときはどうなるのでしょうか

 薬物や放射線による治療には必ずスケジュールがあり,治療の目的によってその長さは変わります。手術を受けた後に,再発を抑えるための薬物療法は3〜4カ月くらいの治療や2年間内服する治療があります。進行した病状の薬物療法では,効果が維持できている場合はそのまま継続する治療もあります。放射線療法も完治を目指したものから症状緩和を目的とした場合もあり,治療期間は短いと1日〜数日,1〜2週間,4〜6週間とさまざまです。このように肺がんの治療期間はさまざまですが,ほとんどは治療期間を含めて臨床試験で有効性と安全性が検証されています。

 治療中に現れる副作用があなたの体調を著しく悪くしたり,血液検査の結果から体調を悪化させるおそれがあると判断された場合は,治療を休止したり,中止することもあります。この場合,予定された治療が短くなったり,延長したりすることになりますが,すべての治療は患者さんの安全が何よりも優先されます。このようなときは,担当医やスタッフから詳しい説明を聞きましょう。また,副作用などで患者さん自身が治療を続けることが難しいと感じることがあれば,治療中でも担当医と相談して治療期間を調整することができます。

 治療の効果は,治療中にCTなどの画像検査で腫瘍の大きさの変化を計測して評価します。外科治療や放射線療法で一度消失したがんが,のちにまた出現してくることや,ほかの部位に新しく転移が出現した場合をがんの「再発」といいます。一方,初回の薬物療法や放射線療法でがんが一度小さくなった後に,しばらくして大きくなる場合や小さく抑えられていたものが増大した場合を「再燃」といいます。いずれの場合もこれまでの治療が効かなくなったことを意味します。再発・再燃した場合でも,治療はほとんどの場合で可能です。治療法としては,初回治療と同様に外科治療,放射線療法や薬物療法がありますが,初回治療の効果や副作用,再発・再燃までの期間などをもとに検討されます。

 再発・再燃した場合,病変は局所にとどまらず全身にひろがっていることが多いので,治療法として全身治療である抗がん剤(細胞障害性抗がん薬)による治療(化学療法)を選択することになります。以前は抗がん剤の種類も少なく,効果も限られていたため,再発・再燃した場合の治療は困難でしたが,最近はこのような場合でも有効な抗がん剤が出てきています。担当医とよく相談して,適切な治療法を選択してください。

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