第4章 治療の概要
Q30
ほとんど寝たきりの生活ですが,治療は受けられますか

 がん治療で延命効果をはじめとする治療効果が得られるのは,症状がほとんどないか,症状があっても普段の生活がこれまでと変わりなく自立できている患者さんです。抗がん剤(細胞障害性抗がん薬)などのがん治療には副作用があり,効果が副作用を上回れば薬として役に立ちますが,副作用が効果を上回ればかえって毒になります。寝たきりの患者さんには残念ながら,がん治療薬による延命効果は認められません。副作用が効果を上回り,余計につらさや苦しさが増してしまうことになり,むしろ副作用のせいで全身の状態が悪化するおそれがありますので,基本的にはがん治療はお勧めできません。

 苦しくて寝たきりとなった場合には,まずがんによる苦痛を取り除く治療が必要です。このような苦痛を取り除くための治療を緩和かんわケア(緩和医療)といいます。がんによるからだの痛みをやわらげるだけでなく,病気や生活に対する不安やうつ状態などの精神的な苦痛,仕事に支障が出る,経済的に苦しいなどの社会的な苦痛,また,生きる価値を見い出せなくなったり,本来の役割が果たせないなどのスピリチュアルな苦痛も治療やケアの対象としています。詳しくはQ464749〜52を参照してください。

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