痛みとは,あなたのからだのどこかが傷ついたとき,あるいはその前後に感じる不快な感覚や感情の変化のことです。
がんの痛みの原因には下記のようにさまざまなものがあります。痛みの原因によって対処法や使用する痛み止めが異なるため,まずは痛みの原因について正しい診断を受けることが重要です。
がんの痛みを我慢すると,がんと闘うための体力を消耗し,気持ちも落ち込んでしまいます。痛みはあなたが感じていても診察や検査ではわからない症状なので,我慢せず担当医や看護師に伝えることが大切です。
痛みの伝え方として,以下のことを参考にしましょう。
痛み止めの種類としては下記のようなものがあり,痛みを正しく評価したうえで適切な痛み止めが選択されます。
これらの痛み止めは,痛みの強さによっても使い分けられます。世界保健機関(WHO)が定める3段階除痛ラダー(図)にしたがって,軽度の痛みには「医療用麻薬以外の痛み止め」,軽度から中等度の痛みには「弱い医療用麻薬」,中等度から高度の痛みには「強い医療用麻薬」を用います。また,強い痛みの場合には最初から強い医療用麻薬を用いる場合もあります。「医療用麻薬以外の痛み止め」や「鎮痛補助薬」は医療用麻薬との併用が効果的な場合があります。
医療用麻薬は一般的に,時間を決めて欠かさず使用する定期薬に加えて,痛みが出たそのときに使用する頓服薬を組み合わせて使用します。頓服薬は,痛くなる前(トイレ移動の前・処置前・食事前など)に予防的に使用することもあります。また頓服薬は一般的には,吐き気や強い眠気がなければ,1時間あけて追加で使用することもできます。
痛み日記やメモ(病院で配布されている服薬日誌など)をつけることで,痛みの経過や頓服薬の使用時間やその効果などが把握でき,今後の痛みの治療についても相談しやすくなります。
さらに痛み止め以外の痛みをやわらげる治療としては,以下のようなものがあります。
ご自身でできる工夫としては,気分転換やリラックスなどが一般的に勧められています。そのほか,できる範囲でからだを動かしたり,温めたりすることも効果があることがあります。担当医と相談してください。
このように,さまざまな方法でつらい痛みをとり,QOL(生活の質)を改善することが可能です。まずは担当医や看護師など身近な医療者へ相談してみましょう。