第4章 治療の概要 4-4.緩和ケア
Q47
緩和ケアを受ける場合の療養場所についても教えてください

 緩和ケア中心の療養方法として,主に「緩和ケア病棟(ホスピス)への入院」と「自宅などでの在宅緩和ケア」があります。

1. 緩和ケア病棟について

 緩和ケア病棟では,外科治療・薬物療法・放射線療法など,がん自体への治療は行いませんが,がんに伴うさまざまな苦痛に対しては最大限の治療やケアを行うための環境が整っています。施設によって多少の違いはありますが,一般的には「苦痛緩和のための薬剤の充実」「看護師によるケアの充実」「面会時間や付き添い人数・年齢の制限がない」「家族とくつろげる病室や談話室がある」などのメリットがあります。緩和ケア病棟は「最期の場所」という誤解もあるようですが,最近では症状が安定すれば積極的に退院を勧めている病棟もあり,緩和ケア病棟によって特徴や役割が異なります。また,多くの緩和ケア病棟では前もって面談や登録が必要です。お近くの緩和ケア病棟の特徴や入院のための手続きについては医療ソーシャルワーカーに相談したりウェブサイトなどで確認しましょう。

2. 在宅緩和ケアについて

 在宅緩和ケアは,医療保険や介護保険などを利用して自宅の環境を整えたうえで,訪問診療医や訪問看護師による緩和ケアを自宅で受ける方法です。住み慣れた自宅に“入院”しているイメージとなります。最近では,ほかの利用者と家族のように暮らすホームホスピスや,サービス付き高齢者向け住宅への訪問診療など,住み慣れた地域で療養するさまざまな在宅緩和ケアのかたちがあります。

 いずれにしても,いずれかひとつの療養方法に限定しなければならないわけではありません。苦痛の症状やご本人の希望,家族の状況に合わせて,その時どきで一番良い方法を考えていきます。あなたが,どこでどのように過ごしたいか,何を大切にして療養したいかを,事前に家族と話し合っておくとよいでしょう。担当医や医療ソーシャルワーカーが相談に乗り,ご希望に沿った療養場所を一緒に探すことが可能ですので安心してください。

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