2018年版 序

 肺癌診療ガイドライン2018年版-悪性胸膜中皮腫・胸腺腫瘍含む-の発刊にあたりご挨拶申し上げます。

 わが国の肺癌診療ガイドラインは,2003年,2005年に初版,改訂第2版がそれぞれ発行されました。2011年以降は重要なエビデンスへの対応を迅速に行うため,毎年Web上で公開してまいりました。2014年にはガイドラインの整備が一段落したため冊子体が発刊され,2年毎の冊子化を計画し,2016年末に2016年版を発刊しましたが,免疫療法や分子標的治療分野の急速な進歩を反映すべく,2017年にもⅣ期非小細胞肺癌の薬物療法の分冊を発刊致しました。

 診療ガイドラインの世界標準としてGRADEシステムがあり,日本医療機能評価機構の医療情報サービスMindsの診療ガイドライン作成マニュアルもこれに準拠しております。これまでの肺癌診療ガイドラインはこのシステムに沿っていないことが課題となっておりましたが,昨年の薬物療法のガイドラインからGRADEをとり入れました。今回は他の領域についてもGRADEに準拠した最初の肺癌診療ガイドラインです。同じエビデンスであっても従来の記載や推奨度分類とはかなり異なっており,少し戸惑われることがあるかもしれません。読者の皆様からは本ガイドラインをより使いやすい役に立つものに育てて行くための忌憚のないご意見を広く承りたいと考えております。

 最新の情報をシステマティックにレビューした上に作成された本ガイドラインは,診療に有用というだけでなく,教育や研究のツールとしても最上級のものであると思いますので,折に触れご参照いただければ幸甚に存じます。

 末筆となりましたが,本ガイドラインの作成のために,忙しい業務のかたわら週末あるいは深夜など私的な時間までも削ってご尽力いただいたガイドライン委員の皆様に深甚なる感謝の意を表します。また気管支鏡の部分については日本呼吸器内視鏡学会学術委員会の協力を頂きましたことをご報告するとともに,委員の先生方へ謝意を表したいと思います。

 2018年11月

特定非営利活動法人日本肺癌学会
理事長光冨 徹哉
ガイドライン検討委員会
委員長山本 信之
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