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集団検診委員会からのお知らせ

集団検診委員会からのお知らせ

 

集団検診委員会および喀痰細胞診による肺癌検診小委員会では、昨年度より喀痰細胞診による肺癌検診の改善点に関して検討し、以下のような結果を得ました。

日本の主たる喀痰 細胞診肺癌検診施設における喀痰細胞診発見肺癌例を詳細に再度、解析した結果では、血痰のみによる肺癌発見例は見られませんでした。また、血痰例はいずれ も喫煙歴を有しており、仮に「血痰を有するもの」という項目を除外しても、喫煙歴により喀痰細胞診検診の対象者となることが確認されました。

 また、非喫煙者が喀痰検診を受診していることで、喀痰検診の肺癌発見率が著しく低値となっておりました。喫煙指数600以上の喫煙者に対する肺癌発見率はいずれの施設においても10万対100前後を示していました。一方、指針の文言が高喫煙者に限らないような表現になっていることから、一部地区では受診者全員に喀痰細胞診が行われるなど、明らかな過大解釈による不適切な検診が行われる不利益が生じております。

 一方で、血痰例の中に担癌例が潜んでいたとしても、検診時の喀痰内 に確実に癌細胞が存在するとは限らず、検診で偽陰性になった場合には、結果的にむしろ医療機関受診のチャンスを奪うことになってしまいかねません。一般 に、症状のある例に検診を行うことは意味がないばかりかむしろ有害で医療機関への受診を勧めるべきとされています。

これらをもとに、以下のような2つの結論に至りました。

1)血痰例は、至急、医療機関での精密検査を行うことが妥当であり、検診として行うことは不適切である。

2)喀痰細胞診は、喫 煙者に発生する扁平上皮癌を早期に発見するために行うべきであり、非喫煙者に対する喀痰検診は、検診費用の浪費になるばかりでなく、不要な偽陽性者の増加 による受診者の不利益につながり、妥当ではない。肺がん検診として非喫煙者に対する喀痰検診を行うことは不適切である。

これらの2つの結論を受けて、

①     喀痰細胞診による肺がん検診の対象者から血痰を有する者という項目を除外すること。

②     喀痰細胞診による肺がん検診から非喫煙者を除外し,喀痰細胞診は喫煙指数600以上の者のみに行うこと。

の2点につき、厚生労働省がん対策・健康増進課と協議を行いました。その結果、がん検診の実施方法に関する厚労省の公的文書である「健発第0331058号がん予防重点健康教育およびがん検診実施のための指針について(以下「指針」と略)」および「がん検診の結果別人員等調査記入要綱」に関して、2014年6月に改訂が行われ、2015年度から新たな指針での運用が行われる予定です。

当然ながら「肺癌取扱い規約」の中の「集団検診の手引き」も同様な改訂が必要ですので、以下のように改訂をいたします。

肺癌取扱い規約「肺癌集団検診の手引き」の改訂点

改訂点は以下の2点です。

 ● 180ページ

3.検診方法
1)問診
検診受診者全員に必ず実施し、受診者の登録ならびに高危険群(喀痰細胞診が必要)の選別に用いる。

原文
a.問診の内容:氏名,生年月日,性,現住所,喫煙歴(1日平均喫煙本数,喫煙開始年齢,過去喫煙者の場合はこれに加えて禁煙時年齢),胸部の自覚症状(6カ月以内の血痰),前年度肺癌検診受診歴(X線検査,喀痰細胞診)。

変更後の文
a.問診の内容:氏名,生年月日,性,現住所,喫煙歴(1日平均喫煙本数,喫煙開始年齢,過去喫煙者の場合はこれに加えて禁煙時年齢),前年度肺癌検診受診歴(X線検査,喀痰細胞診)。

 ● 184ページ
3)喀痰細胞診
検診受診者中の高危険群に必ず実施し,胸部X線検査で捕捉できない肺門部の癌の発見を目指す。

 原文

a.    高危険群:問診によって次の条件の一つに該当するものを肺門部肺癌の高危険群とする。

i.          50歳以上の男・女で,喫煙指数(1日平均喫煙本数×喫煙年数)が600以上の者(過去における喫煙者を含む)。

ii.        40歳以上の男・女で,6カ月以内に血痰のあった者。

iii.       その他の高危険群と考えられる者(例,職業性など)。

変更後の文

a.高危険群:50歳以上の男・女で,喫煙指数(1日平均喫煙本数×喫煙年数)が600以上の者(過去における喫煙者を含む)に該当することが問診によって確認されたものを肺門部肺癌の高危険群とする。(i. ii. iii.はすべて削除)


上記の改訂部分は、次回の取扱い規約改訂版の出版の際に反映されます。
周知のほどよろしくお願いいたします。

2014年11月
集団検診委員会委員長 近藤 丘



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