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肺癌検診における喀痰細胞診の判定区分別標準的細胞

肺がん検診委員会からのお知らせ

日本肺癌学会・日本臨床細胞学会による2学会合同委員会
日本肺癌学会集団検診委員会 喀痰細胞診による肺癌検診小委員会
日本臨床細胞学会 肺癌検診ワーキンググループ

 肺がん検診における喀痰細胞診は、肺門部早期肺癌の唯一のスクリーニング法であるが、地域によっては喀痰細胞診発見肺癌症例がほとんど認められないなどの問題点も包含している。日本臨床細胞学会ならび日本呼吸器内視鏡学会、日本肺癌学会による喀痰細胞診の合同委員会報告(肺癌2011;51:777-86)では、2006年、2007年に診断された肺門部早期肺癌ならびに肺門部進行扁平上皮癌の症例アンケートを実施した。その結果、全国における肺門部早期肺癌の初回診断数は年間150〜270例と推定され、喀痰細胞診が主たる発見動機であった。進行肺門部扁平上皮癌数は年間約4000例と推定され、肺門部扁平上皮癌における早期の比率は10%以下であった。また、この比率は、地域差も認められた。(北海度16.7%、東北14.5%、近畿4.1%、東海5.5%などと地域別に有意差が認められた。)

 合同委委員会報告で認められたこの地域格差の原因については、喫煙率の相違、罹患率の相違、診断精度の相違など様々な指摘がなされているものの、依然として正確な原因は不明である。喀痰細胞診は難度の高い細胞診領域の一つで、肺がん取扱い規約等で所見が提示され,各施設により所見が発表されているが,未だに地域あるいは施設間に細胞所見判定のばらつきがある可能性が推測される。しかし,その実態は明らかではなく,所見の標準化が十分になされているとは言い難い。

 全国的に肺がん検診における喀痰細胞診発見症例がきわめて少ないことは放置できない問題であり,発見成績において実績のある複数の施設の既成標本を用いて所見の標準化を図ることは極めて重要である。

 今後、喀痰細胞診の有効性評価を行う上でも、こうした地域較差や施設較差が存在するのであれば、それは解消されるべきである。そして、較差是正に向けてまず取り組むべき事は、喀痰細胞所見判定の標準化と考えられる。そこで、合同委員会では、肺がん検診の喀痰細胞診に長年従事してきた6施設より喀痰細胞診標本150症例を集積し、再判定を行い、原則として6施設の判定が一致した症例を各判定区分の標準細胞と定義し、ここに提示する。

標準症例概要   ・標準症例C判定  ・標準症例D判定  ・標準症例E判定
 



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