肺がん検診について

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肺がん検診委員会からのお知らせ

肺がん検診用として推奨する胸部X線デジタル撮影機器および画像処理パラメータ条件更新のお知らせ(2020.12.25)

 

肺がん検診委員会では、「肺がん検診用として推奨する胸部X線デジタル撮影機器および画像処理パラメータ条件」を2016年1月から日本肺癌学会ホームページ上で公開し、年1回の情報更新を行なっています。今回は2020年11月に実施した調査結果を公開します。
有効な肺がん検診には、肺癌診断に適する条件で撮影・画像処理された胸部X線画像が欠かせません。肺がん検診に携わる関係者の皆さまは、ぜひご参照の上、適切な肺がん検診の実施にお役立て下さい。

2020年12月25日
日本肺癌学会肺がん検診委員会
委員長 佐川元保


胸部X線デジタル撮影機器および画像処理パラメータ 一覧 (2020年度版)

 

「肺がん検診」に関する「症例検討会」の進め方の一例(2020.12.25)

 

   日本肺癌学会肺がん検診委員会では先般「肺がん検診の手引き」改訂を行ったが、改訂部分のうち「読影医の条件」および「精度管理」に関する項目の中で、新たに「症例検討会への参加」「症例検討会の実施」に言及している。一部地域・検診機関では「症例検討会」に関するノウハウを有していないこともあると考えられたため、「症例検討会の進め方の一例」として標準的な方法を提示する。地域・施設の実情に合わせて修正して実施することに問題は無いので、御活用いただきたい。
 

① 症例検討会の進行係は「検診機関の担当者」「検診画像読影のまとめ役」のどちらでも良い。
② 「画像についてコメントする医師」は読影のグループ内でコメントし合うのでも良いし、自信がなければ精密検査を紹介する医療機関の担当医師などにお願いしても良い。どうしても居ない場合には、当該都道府県の大学病院や県立病院の専門科(放射線科・呼吸器科・呼吸器外科)の医師にお願いするのも良い。
③ 検診実施機関は「E判定」の検診画像を年齢(年代)・性別と共に提示する。その際に、できるだけ前年度・前々年度の検診画像も併せて提示する。
④ 「E判定」とした画像所見、およびその前年度・前々年度の画像所見を検討する。
⑤ 次に、精密検査結果をできるだけCT画像と共に提示する。手術所見や病理所見が判明していればそれも提示する。
⑥ ①-⑤を、「すべてのE判定画像」に関して繰り返す。
⑦ 症例が多すぎる場合には、「肺がんだったもの」や「精密検査画像があるもの」に限定しても良いが、なるべく多くのE判定画像を検討することが望ましい。
⑧ 症例がそれほど多くない場合には「D判定」についても実施する。その際に「D判定とすべきか、それともE判定とすべきか」も検討する。
⑨ 検診実施の規模が非常に小さく「E判定例がほとんどない」ような場合には、「他施設や都道府県単位、あるいは日本肺癌学会等が主催する胸部画像の読影に関するセミナー・講習会の受講で代行」することを検討する。

 

肺癌取扱い規約 第8版 肺がん検診の手引き改訂について

 

日本肺癌学会会員の皆様へ

肺がん検診委員会では、肺癌取扱い細則 肺がん検診の手引きを以下のように変更しました。
また、改訂に関するQ&Aを掲載いたしました。

第8版からの改訂点


肺癌取扱い規約第8版「肺がん検診の手引き」改訂に関するQ&A

 

肺がん検診委員会委員長
 佐川 元保

NLSTおよびNELSONの結果に関する日本肺癌学会のコメント 2020.8.1

 

肺癌は本邦のがん死亡の第1位を占めており、その克服は国家的な急務である。わが国では胸部X線検査と重喫煙者に対する喀痰細胞診併用法による肺がん検診を行っており、症例対照研究により有効性は示されているものの、その効果は1年しか続かないなど十分とは言えず、より効果の高い検診方法の開発が望まれている。低線量胸部CTによる肺がん検診は、その点で期待できるものの一つであったが、有効性を示す証拠は十分ではなかった。2011年6月に、米国国立がん研究所が実施したNational Lung Screening Trial (NLST)1)の結果の論文が公表された。55-74歳の喫煙指数600以上の現在および過去喫煙者53,454人を無作為に2群に振り分け、研究群には1年に1回、合計3回の低線量胸部CTによる肺がん検診を、対照群には同様のスケジュールで胸部X線による肺がん検診を提供した結果、研究群は対照群に比べて肺癌死亡率が20%、全死因死亡率が7%、有意に減少することが示された。しかし、研究群の要精検率が極めて高いこと、有効性を有意に示す研究が一つのみであったことなどから、その後も低線量胸部CT検診が世界で広く利用されるには至らなかった。

2020年1月にNELSON研究2)の結果が論文として公表された。50‐74歳、喫煙指数300または375以上、現在および過去喫煙者15,789人を無作為に2群に振り分け、研究群にはCTが4回行われ、対照群は無検診であった。CT検診の間隔は、0, 1, 2, 2.5 年であり、最後の検診は最初から5.5年後となった。Volume doubling time を測定するプロトコールであり、それにより精密検査の適応なども決定した。CT検査受診率は各ラウンドで95.6%、92.3%、87.6%、66.8%であった。CT群の肺癌死亡率に関する、対照群を1とした相対危険度は0.76と有意に減少した。女性では有意ではないものの0.67と良好であった。このことは、重/中喫煙者に対する5.5年間に4回のCT検診は肺癌死亡率を減少させると考えられた。

NELSON論文の公表からはまだ時間が経っていないため、NELSON研究に対する十分な検証が行われた状況とは言えず、今後発表される関連論文などを注視する必要がある。とはいえ「有意に有効とするRCTが2つ」公表されたので、「限定された喫煙者の集団に対する毎年あるいは1年おきの低線量CT検診受診は、肺癌死亡率減少に関して有効」の可能性は高い。ただし「がん検診ガイドライン」等で「推奨される」ためには「有効」のみでなく「不利益(偽陽性・過剰診断など)が少ない」ことも必要なので、それに関する今後の検討が必要である。

さらに、対策型検診として展開させる場合には「マンパワー・機器のリソースなどが十分か」も重要である。実施施設が増えた場合の精度管理の問題も避けて通れない。一方で、今回の研究は重喫煙者に対するものであり、非喫煙者に対する低線量CT検診の有効性に関する証拠はきわめて少なく、過剰診断の懸念が大きい。日本を含むアジア人では非喫煙者でも肺癌死亡率は相当高いので、非喫煙者に対する胸部CT検診の有効性に関するエビデンスも積み重ねていく必要がある。

これらの問題は残るものの、NLSTとNELSONの結果により低線量胸部CTによる肺がん検診が喫煙者に対して死亡率減少効果を有する可能性が高くなったことを踏まえて、低線量胸部CTによる肺がん検診受診を希望する喫煙者は、医師と利益および不利益について十分な意見交換をした上で受診するか否かを決定する(shared decision-making)ことが望ましいと思われる。ただし、非喫煙者に対しては、低線量胸部CTによる肺がん検診の利益および不利益に関する証拠が不十分であることを周知する必要がある。

日本肺癌学会は、今後も低線量胸部CTによる肺がん検診の有効性評価、不利益、およびリソースに関する研究に常に注目し、国民および医師・医療従事者に対して適切な情報を提供できるように努める。また、必要に応じて日本CT検診学会を始めとする他学会等と協調しながら、国内における有効性評価、不利益、およびリソースに関する研究を推進するよう努める。

1) The National Lung Screening Trial Research Team. Reduced lung-cancer mortality with low-dose computed tomographic screening. New Eng J Med 2011;365:395-409

2) de Koning HJ, et al. Reduced lung-cancer mortality with volume CT screening in a randomized trial. New Eng J Med 2020;382:503-513

 

肺がん検診実施における新型コロナウイルス感染症への対応について

この度の新型コロナウイルス感染症の全国的発生に対し、医療・検診に従事する皆様におかれましては、日々その対応に尽力されていることに感謝申し上げます。

新型コロナウイルスは新しい感染症であるため、まだ不明な点も多いのですが、無症状の感染者からの感染も報告されていることから、検診現場においても感染防止策が必要です。肺がん検診を実施する際の注意点として以下の情報提供を行いますので、ご参照ください。

 

1)検診実施についての全般的な注意

地域の医療が逼迫しているような状況では検診の実施が難しいと考えられるため、検診実施に際しては地域の感染蔓延状況や医療体制の余裕について配慮する必要がある。検診の実施にあたっては、「3密(密閉・密集・密接)」を避ける、マスクを装着する、手指および手指が触れた場所の消毒を行う、換気を十分に行う、職員の健康状態に注意を払う、新型コロナ感染症疑いの方には受診を控えて頂く、などにあらかじめ留意しておく必要がある。詳細については、『8団体合同マニュアル:健康診断実施時における新型コロナウイルス感染症対策について』等の情報を参照するのが望ましい。

https://www.ningen-dock.jp/wp/wp-content/uploads/2020/03/b3d5de7264374c2c28ca450bb54f758d.pdf

 

2)胸部X 線撮影について

受診者も検査する側もマスクを装着すると共に、換気に十分に配慮する。受診者が触れる箇所を、すべての検査毎にアルコール消毒液や次亜塩素酸ナトリウム消毒液で清拭する。

 

3)喀痰細胞診について

3-1)受診者が触れた採痰容器あるいは採痰容器を入れた袋などに新型コロナウイルスが付着している可能性があるため、採痰容器の蓋を開けることなく単に運搬する場合でも、グローブ・マスクを着用することが望ましい。また、内容物の液漏れなどの場合には、十分な感染防護対策をした上でアルコール消毒液や次亜塩素酸ナトリウムで清拭し消毒する等の対応が必要である。なお、痰の検体を直接処理する施設においては、採痰容器中の液体はエタノール濃度が元々低い上に痰により更に低下していることからウイルス活性が残っている可能性があることを念頭に置く必要がある。そのため、採痰容器の蓋を開ける際のみならず、採痰容器を入れた袋を開ける際にも、下記に示す学会等の情報を参考にして、必要な安全対策を取るべきである。

http://jscc.or.jp/wp-content/themes/jscc/osirase01/2020/COVID-19%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E7%99%BA%E7%94%9F%E7%8A%B6%E6%B3%81%E4%B8%8B%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E7%97%85%E7%90%86%E7%B5%84%E7%B9%94%E7%B4%B0%E8%83%9E%E6%A4%9C%E4%BD%93%E3%81%AE%E5%8F%96%E6%89%B1%E3%81%84.pdf

 

http://pathology.or.jp/news/iryou-gyoumu/20200527info-1.html

 

3-2)郵送などにより喀痰容器を集める方式は、受検者の採痰容器の不適切な取扱いに起因する郵送中の液漏れなどで被害が生じる可能性があり、このことは検診運営側の注意や精度管理だけでは対応が困難なことから、当面の間、郵送法以外の方法での実施が望ましい。

 

2020年8月1日

日本肺癌学会肺がん検診委員会

委員長 佐川元保

 

「肺がん検診のための胸部X線読影・自己演習システム」の胸部単純X線画像をモニタで観察する上での留意点

肺癌学会員の皆様へ

肺がん検診委員会では『肺がん検診のための胸部X線読影・自己演習システム』の胸部単純X線画像をモニタで観察する上での留意点 ~DICOM Part14に準拠した画像で読影演習ができる環境の構築方法~ を公開しました。


胸部単純X線写真をモニタで観察する上での留意点

 

*利用希望者は学会のホームページの「肺がん検診のための胸部X線読影演習システム」のバナーから入って、日本肺癌学会会員のIDとパスワードでログインしてご利用ください。



引き続き読影能力の維持向上に活用してくださいますようにお願いいたします。
 

2020年6月5日

日本肺癌学会 肺がん検診委員会
委員長 佐川元保

 

肺がん検診用として推奨する胸部X線デジタル撮影機器および画像処理パラメータ条件更新のお知らせ(2020/2/12)

肺がん検診委員会では、「肺がん検診用として推奨する胸部X線デジタル撮影機器および画像処理パラメータ条件」を2016年1月から日本肺癌学会webサイト内で公開し、年1回の情報更新を行なっています。
2019年10月に実施した調査結果を公開します。肺がん検診に携わる関係者の皆さまは、ご参照の上、適切な肺がん検診の実施にお役立て下さい。

2020年2月12日
日本肺癌学会 肺がん検診委員会
委員長 佐川元保

      胸部X線デジタル撮影機器および画像処理パラメータ 一覧 (2019年度版)

 

肺がん検診のための胸部X線読影演習システム開始のお知らせ(2019/5/14)

平素より学会活動にご尽力いただきまして有難うございます。

さて、肺がん検診委員会では、肺がん検診における胸部X線の読影力の維持向上を目指して、昨年度の総会で展示していた肺がん検診のための胸部X線読影演習システムを公開します。肺癌学会員はどなたでも利用できます。

利用希望者は学会のホームページの「肺がん検診のための胸部X線読影演習システム」のバナーから入って、日本肺癌学会会員のIDとパスワードでログインしてご利用ください。

  肺がん検診のための胸部X線読影演習システム

3つの演習コースにそれぞれ3セット各20例の演習セットが設定されています。肺がん検診の胸部X線を読影しているつもりで症例に判定を付けてください。回答ボタンを押すと正解が表示されます。最後の症例まで回答すると総合成績が表示されます。画像のセットや表示順はログインのたびにランダム化された異なる画像が提示され、またデータセット全体も定期的に入れ替えますので何度でも演習することが可能です。また、当委員会が編集した「肺がん検診のための胸部X線読影テキスト」の一部が参照可能であり、肺がん検診の判定法や胸部X線の読影の基礎も学ぶことができます。

 

システムは「Windows」に対応しており、ブラウザとして「Internet Explorer 11」での利用を推奨します。ログイン画面やコース選択画面に、利用に必要な手順や設定、注意文書がありますのでよく読んで開始してください。

なお、システムのご利用時は通常のパソコンやタブレットのモニタを利用されるため、モニタによっては所見がとりにくい画像も含まれていることや同時に利用できる人数が制限されていることをご了解ください。ログインできない場合には、時間をおいて再度トライしてみてください。

 

なお、システムに関する問い合わせは学会事務局(office@haigan.r.jp)までご連絡ください。
 

 

令和元年5月14日
 

日本肺癌学会 肺がん検診委員会 

委員長 佐川元保

 

肺がん検診用として推奨する胸部X線デジタル撮影機器 追加のお知らせ (2016/12/14)

肺がん検診委員会では、肺がん検診用として適切な胸部X線画像が得られる胸部X線デジタル撮影機器およびその画像処理パラメータ条件を公開しています。今回、新たに株式会社アールエフのデジタル撮影機器であるNAOMIおよびNew NAOMIを、胸部検診モードで使用することを条件に、肺がん検診用として推奨するデジタル撮影機器に追加することにいたしました。)
株式会社アールエフのNAOMIおよびNew NAOMIを使用して肺がん検診を実施している関係者の皆さまは、下記をご覧いただき、引き続きご協力を賜りますようお願いいたします。
ご理解とご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

                          記

NAOMIにて
肺がん検診を行う際は、
1) 胸部検診モードに対応している場合は、胸部検診モードでの撮影およびCDへの複製を行うこと。
2) 胸部検診モードに未対応の場合は、最新のソフトウェアに更新の上、胸部検診モードでの撮影およびCDへの複製を行うこと。
※胸部検診モード及びソフトウェアの更新に関しては、アールエフ社へ直接お問い合わせください。

資料1)アールエフ社デジタル撮影機器(NAOMIおよびNew NAOMI)を肺がん検診にご使用の先生方へ 肺がん検診委員会からのお願い
http://www.haigan.gr.jp/uploads/files/photos/1330.pdf

資料2)画像処理パラメータ資料
http://www.haigan.gr.jp/uploads/files/photos/1331.pdf

 

肺がん検診用として推奨する胸部X線デジタル画像の読影用モニタの条件について (2016/5/1)

有効な肺がん検診を実施するためには、適切な条件で撮影された胸部X線画像を、適切な条件で読影することが必須です。胸部X線検査は、間接もしくは直接X線撮影によるフィルム診断から、デジタル撮影とモニタ診断が主流になりつつあります。モニタは明るさが不足すると、結節影の検出率が低下し、診断には不適切であることが示されています。しかしながら、胸部X線デジタル画像の読影用モニタの条件については、これまで明確に定められていなかったため、地域・施設によっては胸部X線デジタル画像の読影に適さないモニタを用いている事例が認められます。そのため、日本肺癌学会集団検診委員会では以下の項目についてホームページを通じて周知を促すことといたしました。

各医療機関、検診実施施設の皆さま方にはぜひご参照いただき、適切な肺がん検診の実施にご協力いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

肺がん検診用として推奨する胸部X線デジタル画像の読影用モニタの条件

胸部X線デジタル画像の読影用モニタについては、日本医学放射線学会が定めたガイドラインにより画素は1M以上が必須とされ、さらに最大輝度が350cd/m2以上の明るいモニタが推奨されていますので、これに準拠することが望ましいと考えます1)。

1)デジタル画像の取り扱いに関するガイドラインver.3. 日本医学放射線学会電子情報委員会. 2015.4

 

肺癌検診における喀痰細胞診の判定区分別標準的細胞 (2015/12/25)

日本肺癌学会・日本臨床細胞学会による2学会合同委員会
日本肺癌学会集団検診委員会 喀痰細胞診による肺癌検診小委員会
日本臨床細胞学会 肺癌検診ワーキンググループ

 肺がん検診における喀痰細胞診は、肺門部早期肺癌の唯一のスクリーニング法であるが、地域によっては喀痰細胞診発見肺癌症例がほとんど認められないなどの問題点も包含している。日本臨床細胞学会ならび日本呼吸器内視鏡学会、日本肺癌学会による喀痰細胞診の合同委員会報告(肺癌2011;51:777-86)では、2006年、2007年に診断された肺門部早期肺癌ならびに肺門部進行扁平上皮癌の症例アンケートを実施した。その結果、全国における肺門部早期肺癌の初回診断数は年間150〜270例と推定され、喀痰細胞診が主たる発見動機であった。進行肺門部扁平上皮癌数は年間約4000例と推定され、肺門部扁平上皮癌における早期の比率は10%以下であった。また、この比率は、地域差も認められた。(北海度16.7%、東北14.5%、近畿4.1%、東海5.5%などと地域別に有意差が認められた。)

 合同委委員会報告で認められたこの地域格差の原因については、喫煙率の相違、罹患率の相違、診断精度の相違など様々な指摘がなされているものの、依然として正確な原因は不明である。喀痰細胞診は難度の高い細胞診領域の一つで、肺がん取扱い規約等で所見が提示され,各施設により所見が発表されているが,未だに地域あるいは施設間に細胞所見判定のばらつきがある可能性が推測される。しかし,その実態は明らかではなく,所見の標準化が十分になされているとは言い難い。

 全国的に肺がん検診における喀痰細胞診発見症例がきわめて少ないことは放置できない問題であり,発見成績において実績のある複数の施設の既成標本を用いて所見の標準化を図ることは極めて重要である。

 今後、喀痰細胞診の有効性評価を行う上でも、こうした地域較差や施設較差が存在するのであれば、それは解消されるべきである。そして、較差是正に向けてまず取り組むべき事は、喀痰細胞所見判定の標準化と考えられる。そこで、合同委員会では、肺がん検診の喀痰細胞診に長年従事してきた6施設より喀痰細胞診標本150症例を集積し、再判定を行い、原則として6施設の判定が一致した症例を各判定区分の標準細胞と定義し、ここに提示する。

標準症例概要   ・標準症例C判定  ・標準症例D判定  ・標準症例E判定

 

集団検診委員会からのお知らせ (2014/11/1)

集団検診委員会および喀痰細胞診による肺癌検診小委員会では、昨年度より喀痰細胞診による肺癌検診の改善点に関して検討し、以下のような結果を得ました。

日本の主たる喀痰細胞診肺癌検診施設における喀痰細胞診発見肺癌例を詳細に再度、解析した結果では、血痰のみによる肺癌発見例は見られませんでした。また、血痰例はいずれも喫煙歴を有しており、仮に「血痰を有するもの」という項目を除外しても、喫煙歴により喀痰細胞診検診の対象者となることが確認されました。

また、非喫煙者が喀痰検診を受診していることで、喀痰検診の肺癌発見率が著しく低値となっておりました。喫煙指数600以上の喫煙者に対する肺癌発見率はいずれの施設においても10万対100前後を示していました。一方、指針の文言が高喫煙者に限らないような表現になっていることから、一部地区では受診者全員に喀痰細胞診が行われるなど、明らかな過大解釈による不適切な検診が行われる不利益が生じております。

一方で、血痰例の中に担癌例が潜んでいたとしても、検診時の喀痰内に確実に癌細胞が存在するとは限らず、検診で偽陰性になった場合には、結果的にむしろ医療機関受診のチャンスを奪うことになってしまいかねません。一般に、症状のある例に検診を行うことは意味がないばかりかむしろ有害で医療機関への受診を勧めるべきとされています。

これらをもとに、以下のような2つの結論に至りました。

1)血痰例は、至急、医療機関での精密検査を行うことが妥当であり、検診として行うことは不適切である。

2)喀痰細胞診は、喫煙者に発生する扁平上皮癌を早期に発見するために行うべきであり、非喫煙者に対する喀痰検診は、検診費用の浪費になるばかりでなく、不要な偽陽性者の増加による受診者の不利益につながり、妥当ではない。肺がん検診として非喫煙者に対する喀痰検診を行うことは不適切である。

これらの2つの結論を受けて、

①喀痰細胞診による肺がん検診の対象者から血痰を有する者という項目を除外すること。

②喀痰細胞診による肺がん検診から非喫煙者を除外し,喀痰細胞診は喫煙指数600以上の者のみに行うこと。

の2点につき、厚生労働省がん対策・健康増進課と協議を行いました。その結果、がん検診の実施方法に関する厚労省の公的文書である「健発第0331058号がん予防重点健康教育およびがん検診実施のための指針について(以下「指針」と略)」および「がん検診の結果別人員等調査記入要綱」に関して、2014年6月に改訂が行われ、2015年度から新たな指針での運用が行われる予定です。

当然ながら「肺癌取扱い規約」の中の「集団検診の手引き」も同様な改訂が必要ですので、以下のように改訂をいたします。

肺癌取扱い規約「肺癌集団検診の手引き」の改訂点

改訂点は以下の2点です。

● 180ページ

3.検診方法
1)問診
検診受診者全員に必ず実施し、受診者の登録ならびに高危険群(喀痰細胞診が必要)の選別に用いる。

原文
a.問診の内容:氏名,生年月日,性,現住所,喫煙歴(1日平均喫煙本数,喫煙開始年齢,過去喫煙者の場合はこれに加えて禁煙時年齢),胸部の自覚症状(6カ月以内の血痰),前年度肺癌検診受診歴(X線検査,喀痰細胞診)。

変更後の文
a.問診の内容:氏名,生年月日,性,現住所,喫煙歴(1日平均喫煙本数,喫煙開始年齢,過去喫煙者の場合はこれに加えて禁煙時年齢),前年度肺癌検診受診歴(X線検査,喀痰細胞診)。

● 184ページ
3)喀痰細胞診
検診受診者中の高危険群に必ず実施し,胸部X線検査で捕捉できない肺門部の癌の発見を目指す。

原文
a.高危険群:問診によって次の条件の一つに該当するものを肺門部肺癌の高危険群とする。

i.50歳以上の男・女で,喫煙指数(1日平均喫煙本数×喫煙年数)が600以上の者(過去における喫煙者を含む)。

ii.40歳以上の男・女で,6カ月以内に血痰のあった者。

iii.その他の高危険群と考えられる者(例,職業性など)。

変更後の文
a.高危険群:50歳以上の男・女で,喫煙指数(1日平均喫煙本数×喫煙年数)が600以上の者(過去における喫煙者を含む)に該当することが問診によって確認されたものを肺門部肺癌の高危険群とする。(i. ii. iii.はすべて削除)

上記の改訂部分は、次回の取扱い規約改訂版の出版の際に反映されます。
周知のほどよろしくお願いいたします。

 

検診精査結果調査への協力のお願い (2012/12/14)

集団検診委員会より、検診精査結果調査への協力のお願いがございます。
会員の皆さまのご協力をよろしくお願い申し上げます。

お願いはこちらから

 

NLSTの結果およびそれに関連したIASLC Statement に関する日本肺癌学会のコメント (2011/10/1)

内容はこちらから



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