第7章 小細胞肺がんの治療
Q75
進展型小細胞肺がんといわれました。どのような状態なのでしょうか

 進展型しんてんがた小細胞しょうさいぼうはいがんとは,放射線を照射できる範囲を越えて,がんがひろがっている小細胞肺がんのことであり,化学療法による治療が推奨されます。

A

 一般的には,限局型小細胞肺癌(Q72参照)の範囲を超えて,癌が広く体内に存在する状態を言います。具体的には,

  • 肺以外の臓器に転移がある
  • 原発げんぱつそう(最初にがんができたところ)以外の肺に転移している
  • がんが原因となって肺の周りに水がたまる(きょうすい
  • がんが原因となって心臓の周りに水がたまる(しんのうすい
  • 原発巣と反対側の肺の入り口近くのリンパ節(肺門はいもんリンパ節)に転移があるなど
の場合,がん細胞が広い範囲に存在するため,放射線療法や外科治療(手術)によって病変を完全に取り除くことは困難です。

 そこで,進展型小細胞肺がんの治療に最も勧められるのは,全身にいきわたるようにこうがんざい細胞さいぼう傷害性しょうがいせいこうがんやく)を投与する方法(化学療法)です(Q28参照)。

 転移による症状がある場合も,化学療法で症状が改善することの多い病気です。しかし,化学療法で改善しない場合,あるいは化学療法のみでは改善しないと予想される場合は,症状をやわらげる目的で放射線療法を行うこともあります。

 小細胞肺がんの場合,胸水や心嚢水は化学療法で改善することが多いのですが,大量の胸水がたまり息苦しさなどの症状が強い場合や,化学療法の効果が間に合わないと判断されるときには,チューブを胸腔きょうくうに入れて胸水を抜く必要があります(胸腔ドレナージ,Q56参照)。

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