第2章 肺がんの診断に必要な検査
Q9
血液検査だけでがんかどうかはわからないのでしょうか~腫瘍マーカーなど~

 肺がんの診断を目的とした腫瘍マーカーなど血液検査だけでは肺がんと診断することはできません。肺がんの診断・治療には組織診断が必要です。

A

 血液検査でがんかどうかを調べるときに腫瘍マーカーが測定されることがありますが,腫瘍マーカーの特徴として,実際にがんがなくても異常値を示す(ようせい),あるいは,がんがあっても数値が正常(いんせい)というようなことが多々あります。肺がんの代表的な腫瘍マーカーにはCYFRACEAシーイーエーProプロGジーRアールPピーNSEエヌエスイーなどがありますが,組織型や病期によって検出率が異なることが知られています。

 腫瘍マーカーが活用されるのは肺がんと診断された後です。具体的には治療効果の目安,経過観察中の再発を疑うときの参考値となるなど補助的役割を果たします。

 2021年より血液中にがん細胞由来の遺伝子が流れ出ているかどうかを調べる検査『リキッドバイオプシー』が保険収載されました。いまのところ,ゲノム医療を希望するがん治療中の方にのみ限定されている検査です。現時点で健康な人に対し,いま肺がんにかかっているか,あるいは将来的に肺がんになりやすいかどうかということを血液検査のみで診断することはできません。肺がんの診断では画像診断や組織診断が必須になります。

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