Ⅰ.肺癌の診断

6

分子診断

文献検索と採択

文献検索期間
  • 2001年1月1日から2023年11月30日
文献検索方法
  • キーワード:lung cancer, molecular diagnosis, companion diagnostics, next generation sequencing, EGFR, KRAS, ALK, RET, ROS, PD-L1, BRAF, MET, MSI, NTRK, HER2
  • 委員がPubMedを用いて検索し,2014年版からは順次,医学図書館協会,国際医学情報センターの協力を得てより詳細な検索を行っている。今回は,下記の検索式で2023年版以降の検索を行い,各CQにおいて採用を検討した。
検索式(検索日:2023年12月25日)
#1 S LUNG NEOPLASMS+NT/CT OR (LUNG OR PULMONARY)(3A)(NEOPLASM? OR ADENOCARCINOM? OR CARCINOM? OR CANCER? OR TUMOR? OR TUMOUR?)/TI,AB
#2 S MOLECULAR DIAGNOSTIC TECHNIQUES+NT/CT
#3 S COMPANION?(3A)DIAGNOS? OR NEXT(3A)GENERAT?(3A)SEQUEN? OR MOLECUL?(3A)DIAGNOS?
#4 S ERBB RECEPTORS+NT/CT OR RECEPTOR PROTEIN-TYROSINE KINASES+NT/CT OR MICROSATELLITE INSTABILITY+NT/CT OR "KRAS PROTEIN, HUMAN"/CN OR "RET PROTEIN, HUMAN"/CN OR GENES, ERBB-2+NT/CT
#5 S EGFR OR ALK OR ROS1 OR ROS OR PD(W)"L1" OR PDL1 OR EPIDERM?(3A)GROWTH?(3A)FACTOR?(3A)RECEPTOR? OR ANAPLAST?(3A)LYMPHOM?(3A)KINASE? OR PROGRAM?(3A)DEATH(3A)LIGAND?(W)1 OR ERBB(2A)RECEPTOR? OR RECEPTOR?(2A)PROTEIN?(W)TYROSIN?(W)KINASE?
#6 S KRAS OR K(W)RAS OR KI(W)RAS OR BRAF OR B(W)RAF OR RET OR REARRANG?(2A)TRANSFECT? OR MET OR MESENCH?(3A)EPITHEL?(3A)(TRANSIT? OR TRANSFORM?) OR MSI OR MICROSATEL?(3A)INSTABIL? OR NTRK OR NEUROTROP?(3A)TYROSIN?(3A)KINASE? OR HER2 OR HER(W)2 OR ERBB2 OR ERBB(W)2
#7 S #1 AND (#2 OR #3) AND ((#4 OR #5 OR #6))
#8 S (#7/HUMAN OR (#7 NOT ANIMALS/CT)) AND (ENGLISH OR JAPANESE)/LA AND (2022-2024)/PY AND (20221201-20231130)/UP
#9 S #8 AND (META-ANALYSIS/DT OR META-ANALYSIS AS TOPIC+NT/CT OR (METAANALYSIS OR META(W)ANALYSIS)/TI,AB)
#10 S #8 AND (SYSTEMATIC REVIEW/DT OR SYSTEMATIC REVIEWS AS TOPIC+NT/CT OR SYSTEMATIC(W)REVIEW?/TI,AB)
#11 S #8 AND (PRACTICE GUIDELINE/DT OR PRACTICE GUIDELINES AS TOPIC+NT/CT OR CONSENSUS+NT/CT OR CONSENSUS DEVELOPMENT CONFERENCES AS TOPIC+NT/CT OR CONSENSUS DEVELOPMENT CONFERENCE/DT OR (GUIDELINE? OR CONSENSUS?)/TI)
#12 S #8 AND (RANDOMIZED CONTROLLED TRIAL?/DT OR PRAGMATIC CLINICAL TRIAL/DT OR EQUIVALENCE TRIAL/DT OR RANDOMIZED CONTROLLED TRIALS AS TOPIC+NT/CT OR (RANDOM?/TI,AB NOT MEDLINE/FS) )
#13 S #8 AND (CLINICAL TRIAL/DT OR CLINICAL STUDY/DT OR CLINICAL TRIALS AS TOPIC+NT/CT OR CLINICAL(W)(TRIAL? OR STUD?) OR (CASE(W)(CONTROL? OR COMPARISON?)/TI,AB NOT MEDLINE/FS))
#14 S #8 AND (EPIDEMIOLOGIC STUDIES+NT/CT OR EPIDEMIOLOGIC RESEARCH DESIGN+NT/CT OR COMPARATIVE STUDY/DT OR MULTICENTER STUDY/DT OR MULTICENTER STUDIES AS TOPIC+NT/CT OR ((COHORT? OR COMPARATIVE? OR FOLLOWUP OR FOLLOW(W)UP OR MULTICENTER?)(3W)STUD?/TI,AB NOT MEDLINE/FS))
#15 S (#9 OR #10 OR #11 OR #12 OR #13 OR #14)
採択方法
  • 文献はメタアナリシス,第Ⅲ相試験,ランダム化比較第Ⅱ相試験から抽出した。
  • 原著論文のみを選択し,エビデンスの質の高いものを最初に採用した。
  • review articleもしくは検索時点で本邦における未承認薬を用いた試験は除外した。
  • 分子診断領域の文献では通常の基準によるエビデンスの質の高いものは極めて少数であった。したがって,分析疫学的研究や症例数の多い論文を次に採用した。
  • 診断上,重要と考えられる文献,論文化されていない重要な学会報告は上記以外でも採用した。
  • 2023年版(Web版)で採用し,今回も必要と判断したものは引き続き採用した。

CQ26.

治療方針を決めるための,分子診断の項目は何か?

推 奨
  • a.
  • 非小細胞肺癌の手術例は,周術期治療を検討する場合にEGFR,ALKの遺伝子検査およびPD-L1免疫組織化学染色検査(IHC)を行うよう強く推奨する。

〔推奨の強さ:1,エビデンスの強さ:B〕

  • b.
  • 進行・再発非小細胞肺癌の場合は,EGFR,ALK,ROS1,BRAF,MET,RET,KRAS,HER2の遺伝子検査およびPD-L1 IHCを行うよう強く推奨する。

〔推奨の強さ:1,エビデンスの強さ:B〕

  • c.
  • 第一・二世代EGFR-TKIに治療抵抗性(耐性)となった進行・再発非小細胞肺癌の場合は,EGFR遺伝子変異検査を行うよう強く推奨する。

〔推奨の強さ:1,エビデンスの強さ:B〕

  • d.
  • NTRK融合遺伝子検査,MSI検査,TMB検査は固形癌が対象となるため,肺癌の場合においても行うよう強く推奨する。

〔推奨の強さ1:,エビデンスの強さ:B〕

解 説
  • a.完全切除後のEGFR遺伝子変異(エクソン19欠失またはL858R変異)を有するⅠB-ⅢA期(第7版)非小細胞肺癌に対して,主治医判断で術後補助化学療法を施行した後にオシメルチニブ(3年間内服)とプラセボを比較したADAURA試験が行われた。組み入れられた患者(682例)の背景としてはⅠB期が32%,Ⅱ-ⅢA期が68%であり,試験参加前に術後補助化学療法として細胞傷害性抗癌薬を施行された患者が60%であった。主要評価項目であるⅡ-ⅢA期(470例)におけるDFSは有意な延長が示された1)2)

     完全切除されたALK融合遺伝子陽性のⅠB-ⅢA期(第7版)非小細胞肺癌に対して,術後補助化学療法としてプラチナ製剤併用化学療法とアレクチニブ(2年間内服)を比較したALINA試験が行われた。主要評価項目であるⅡ-ⅢA期のDFSがアレクチニブ群で有意に改善した3)

     完全切除されたⅠB-ⅢA期(第7版)非小細胞肺癌に対して,術後補助化学療法としてシスプラチン併用化学療法後に,アテゾリズマブ(1年間投与)とBSCを比較したIMpower010試験が行われ,PD-L1 TC 1%以上のⅡ-ⅢA期におけるDFSは,アテゾリズマブ単剤療法群で有意な延長が認められたが,PD-L1発現別(TC 50%以上,TC 1~49%)で効果が異なる傾向が示された4)

     切除可能な臨床病期ⅠB-ⅢA期(第7版)を対象として,術前にプラチナ製剤併用療法にニボルマブ療法を追加する群と,プラチナ製剤併用療法のみを行う群を比較したCheckMate816試験が行われた。既知のEGFR遺伝子変異/ALK融合遺伝子は除外された。主要評価項目であるEFSはニボルマブ併用群で有意な延長が認められた。PD-L1発現によるサブグループ解析では,PD-L1発現がより高いほうがEFSのリスク軽減が得られた5)

     切除可能な臨床病期Ⅱ-ⅢB期(第8版)を対象として,術前にCDDP併用化学療法にペムブロリズマブを併用し術後にペムブロリズマブを投与する群と,術前CDDP併用化学療法と術後にプラセボを投与する群とを比較したKEYNOTE-671試験が行われた。主要評価項目であるEFSはペムブロリズマブ使用群で有意な延長が認められた6)

     以上より,エビデンスの強さはB,また総合的評価では行うことを強く推奨(1で推奨)できると判断した。下記に,推奨度決定のために行われた投票結果を記載する。

投票者の所属委員会:診断小委員会/実施年度:2024年
行うことを
強く推奨
行うことを
弱く推奨
推奨に至る根拠が
明確ではない
行わないことを
弱く推奨
行わないことを
強く推奨
100%
(16/16)
0% 0% 0% 0%
  • b.進行・再発非小細胞肺癌では,ドライバー遺伝子変異/転座陽性の場合は標的療法の適応になる。第Ⅱ相あるいは第Ⅲ相試験で標的療法の有効性が報告され,現在本邦で治療標的となる薬剤が承認されている遺伝子異常はEGFR遺伝子変異7)~16),ALK融合遺伝子17)~21),ROS1融合遺伝子22)23),BRAF遺伝子V600E変異24),MET遺伝子変異(エクソン14スキッピング)25)26),RET融合遺伝子27),KRAS遺伝子G12C変異28),HER2遺伝子変異29),NTRK融合遺伝子30)31)である。EGFR遺伝子変異に関してはTKI単剤と比較して細胞傷害性抗癌薬併用32)~34)や血管新生阻害薬併用35)~37)の有効性も報告されている。NTRKはがんゲノムプロファイリング検査で検索され,初回診断時での実施は困難であるが,それ以外のEGFR,ALK,ROS1,BRAF,MET,RET,KRAS,HER2の遺伝子検査は,それぞれの標的療法の適応を決定するために行うよう勧められる。非小細胞肺癌のうち,非腺癌ではドライバー遺伝子変異/転座陽性の陽性頻度は低いが存在する38)。特に,MET遺伝子エクソン14スキッピングは肺扁平上皮癌や肉腫様癌で検出頻度が比較的高い39)。したがって,腺癌以外の非小細胞肺癌においても,これらの遺伝子検査を行って標的療法の適応を判断するよう勧められる。

     EGFR遺伝子変異やALK融合遺伝子のない,PD-L1 TPS 50%以上のⅣ期非小細胞肺癌患者を対象とした第Ⅲ相試験において,ペムブロリズマブ単剤が細胞傷害性抗癌薬と比較してPFS,OSの有意な延長を示した40)。また,PD-L1 TPS 1%以上の進行非小細胞肺癌患者を対象とした第Ⅲ相試験でも,ペムブロリズマブ単剤は細胞傷害性抗癌薬と比較しOSの有意な延長を示した41)。PD-L1 IHC(SP142)がTC1もしくはIC1以上のⅣ期非小細胞肺癌患者を対象とした第Ⅲ相試験の中間解析にて,TC3 or IC3ではアテゾリズマブ単剤が細胞傷害性抗癌薬と比較してPFS,OSの有意な延長を示した42)。加えて,未治療非扁平上皮非小細胞肺癌患者を対象とした第Ⅲ相試験において,細胞傷害性抗癌薬+PD-1/PD-L1阻害薬併用療法が細胞傷害性抗癌薬と比較してPFS,OSの有意な延長を示し,サブグループ解析にて,PD-L1高発現ではより良好な結果を示した43)~46)。一方,第Ⅲ相試験の探索的評価としてPD-L1 TPS 1%未満のⅣ期非小細胞肺癌患者に対するニボルマブ+イピリムマブ併用療法の有効性が報告された47)48)。したがって,PD-L1 IHC検査はPD-1/PD-L1阻害薬単剤による治療の適否や,細胞傷害性抗癌薬+PD-1/PD-L1阻害薬併用療法の効果を予測するために行うよう勧められる。

     以上より,エビデンスの強さはB,また総合的評価では行うよう強く推奨(1で推奨)できると判断した。下記に,推奨度決定のために行われた投票結果を記載する。

投票者の所属委員会:診断小委員会/実施年度:2023年
行うことを
強く推奨
行うことを
弱く推奨
推奨に至る根拠が
明確ではない
行わないことを
弱く推奨
行わないことを
強く推奨
100%
(17/17)
0% 0% 0% 0%
  • c.第一・二世代のEGFR-TKIによる治療の後にT790M変異陽性となった患者を対象とした第Ⅲ相試験において,第三世代EGFR-TKIであるオシメルチニブが細胞傷害性抗癌薬と比較してPFSの有意な延長をもたらすことが報告された49)。したがって,EGFR遺伝子変異検査は第一・二世代のEGFR-TKIに治療抵抗性(耐性)となった患者に対するオシメルチニブ治療の適応を決定するために行うよう勧められる。

     以上より,エビデンスの強さはB,また総合的評価では行うことを強く推奨(1で推奨)できると判断した。下記に,推奨度決定のために行われた投票結果を記載する。

投票者の所属委員会:診断小委員会/実施年度:2023年
行うことを
強く推奨
行うことを
弱く推奨
推奨に至る根拠が
明確ではない
行わないことを
弱く推奨
行わないことを
強く推奨
94%
(16/17)
6%
(1/17)
0% 0% 0%
  • d.NTRK融合遺伝子を有する腫瘍に対してはTRK阻害活性を有する薬剤が有効である。ROS1,ALK,TRKを阻害するマルチキナーゼ阻害薬であるエヌトレクチニブは,NTRK融合遺伝子陽性の固形がんを対象とする2つの第Ⅰ相試験(ALKA-372-001試験,STARTRK-1試験)および1つの第Ⅱ相試験(STARTRK-2試験)においてその有効性が検証され,高いORR〔57%(95%CI 43-71%)〕が示された50)。これらの臨床試験には13例の非小細胞肺癌が登録され(腺癌9例,扁平上皮癌2例,NSCLC-NOS 2例),ORR 69%(95%CI 39-91%)であった51)。また,選択的TRK阻害薬であるラロトレクチニブは,NTRK融合遺伝子陽性の固形がんに対して癌腫横断的に行われた3つの第Ⅰ相試験(LOXO-TRK14001試験,SCOUT試験,NAVIGATE試験)の統合解析で,ORR 79%(95%CI 72-85%)と高い奏効を示した52)。そのうち肺癌症例は20例(腺癌19例,神経内分泌癌1例)含まれており,ORRは73%(95%CI 45-92%)であった53)

     一方,前治療歴のある固形がんを対象にペムブロリズマブの有効性を検討した第Ⅱ相試験(KEYNOTE-158試験)では,高い腫瘍遺伝子変異量(TMB-High;変異量≧10/Mb)を有する固形がんにおいてORR 29%(95%CI 21-39)と高い奏効が示された54)。この試験には小細胞肺癌34例が登録されORRは29.4%と全体集団と同等であった。また,KEYNOTE-158試験ではグループKとしてミスマッチ修復(MMR)欠損またはマイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形がん(大腸癌を除く)を対象としたペムブロリズマブの有効性も検討されており,ORRは34.3%(95%CI 28.3-40.8)であった55)。この解析では小細胞肺癌3例が登録され,2例(66.7%)に奏効が得られた。いずれも対象疾患が希少であるため肺癌患者のみを対象とした標準治療との比較試験は実施されていないが,これらの結果から,各々,治療薬の効果が期待される。したがって,その適応判定の補助となるNTRK融合遺伝子検査,MSI検査,TMB検査を行うよう提案する。

     以上より,エビデンスの強さはB,また総合的評価では行うことを強く推奨(1で推奨)できると判断した。下記に,推奨度決定のために行われた投票結果を記載する。

投票者の所属委員会:診断小委員会/実施年度:2020年
行うことを
強く推奨
行うことを
弱く推奨
推奨に至る根拠が
明確ではない
行わないことを
弱く推奨
行わないことを
強く推奨
95%
(18/19)
5%
(1/19)
0% 0% 0%

CQ27.

非小細胞肺癌の治療方針決定のために行う分子診断は,検査項目に優先順位をつけるか?

推 奨
検査項目に優先順位をつけず,同時に行うよう強く推奨する。

〔推奨の強さ:1,エビデンスの強さ:C〕

解 説

 EGFR遺伝子変異は肺腺癌の約半数に存在するものの,ALK融合遺伝子,ROS1融合遺伝子,BRAF遺伝子V600E変異,MET遺伝子エクソン14スキッピング,RET融合遺伝子,KRAS遺伝子G12C変異,HER2遺伝子変異は,非小細胞肺癌の約2~3%と低頻度である56)。またそれぞれのドライバー遺伝子変異/転座は相互排他的に存在していることから,これらの遺伝子検査を順次個別に行う方法も考えられるが,治療開始までの時間を短縮するために,また最適な治療薬の投与機会を逸しないために,初回診断時にこれらのドライバー遺伝子検査をPD-L1 IHCと同時にすべて行うことが推奨される。

 これらのドライバー遺伝子検査においては,それぞれの項目に対する単一遺伝子を対象としたコンパニオン診断薬に加えて,複数遺伝子を対象にコンパニオン診断機能を有するマルチ遺伝子検査が承認されている。BRAF遺伝子検査やRET遺伝子検査などはマルチ遺伝子検査のみコンパニオン検査として承認されていることから,可能なかぎりマルチ遺伝子検査を行う。また,がんゲノムプロファイリングを目的に行う遺伝子パネル検査においてコンパニオン検査が存在するドライバー遺伝子変異/転座が検出された場合,エキスパートパネルで推奨され担当医が適切と判断すれば,改めてコンパニオン検査を行うことなく当該遺伝子異常に対する承認薬の投与が可能である。マルチ遺伝子検査や遺伝子パネル検査の適応や運用については,日本肺癌学会から発出されている「各種検査の手引き」や,日本臨床腫瘍学会・日本癌治療学会・日本癌学会から発出されている「次世代シークエンサー等を用いた遺伝子パネル検査に基づくがん診療ガイダンス」を参照すること。

 海外における単施設後ろ向きの検討で,次世代シークエンサーを用いた遺伝子パネル検査は単一遺伝子を対象としたコンパニオン診断薬を順次行った場合と比較して低コストで信頼性が高く必要とする組織量も少なくて済むとの報告もあり57),エビデンスの強さはC,また総合的評価では,優先順位をつけず,同時に行うことを強く推奨(1で推奨)できると判断した。下記に,推奨度決定のために行われた投票結果を記載する。

投票者の所属委員会:診断小委員会/実施年度:2023年
行うことを
強く推奨
行うことを
弱く推奨
推奨に至る根拠が
明確ではない
行わないことを
弱く推奨
行わないことを
強く推奨
82%
(14/17)
12%
(2/17)
6%
(1/17)
0% 0%
引用文献
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