Ⅰ.診 断

3

病理診断

文献検索と採択

文献検索期間
  • 1990年1月1日から2023年11月30日
文献検索方法
  • キーワード:malignant pleural mesothelioma, pathology, cytology, pathophysiology, frozen diagnosis, pleural effusion, classification, epithelioid mesothelioma, reactive mesothelium, differential diagnosis, desmoplastic mesothelioma, fibrous pleuritis, sarcomatoid mesothelioma, pulmonary sarcomatoid carcinoma, p16, CDKN2A, BAP1, MTAP, mesothelioma in situ
  • 国際医学情報センターの協力を得て以下の検索式で検索を行い,各CQにおいて採用を検討した。
検索式(検索日:2023年12月26日)
#1 悪性胸膜中皮腫
#2 #1×(PATHOLOGY,CYLOTOGY,PATHOPHYSIOLOGY)
#3 #1×胸水分類
#4 #1×線維形成性中皮腫×線維性胸膜炎
#5 #1×(MESOTHELIOMA IN SITU,上皮型中皮腫×反応性上皮過形成)
#6 #1×肉腫型中皮腫×肺肉腫様癌
#7 #1×鑑別診断×(線維形成性中皮腫,線維性胸膜炎,上皮型中皮腫,反応性上皮過形成,肉腫型中皮腫,肺肉腫様癌)
#8 #1×(BAP1,CDKN2A,p16,FISH,MTAP,MESOTHELIOMA IN SITU)
#2~#8
採択方法
  • 文献はメタアナリシス,第Ⅲ相試験,第Ⅱ相試験を中心に抽出した。
  • これ以前の文献でも,今回の改訂に際し重要と考えられたものについては採用としている。

本文中に用いた略語および用語の解説

BAP1 BRCA1 associated protein-1
CEA carcinoembryonic antigen
EPP extrapleural pneumonectomy 胸膜肺全摘術
FISH fluorescencein situ hybridization 蛍光in situハイブリダイゼーション
HE Hematoxylin-Eosin ヘマトキシリン・エオジン
HEG1 heart development protein with EGF like domains 1
IHC immunohistochemistry 免疫組織化学
MTAP methylthioadenosine phosphorylase
MIS mesotheliomain situ 前浸潤性中皮腫
OS overall survival 全生存期間
P/D pleurectomy/decortication 胸膜切除/肺剝皮術(壁側胸膜臓側胸膜全切除術)
RT-PCR reverse transcription-polymerase chain reaction 逆転写ポリメラーゼ連鎖反応
TTF-1 thyroid transcription factor-1
WT-1 Wilms tumor 1
 
ASCO American Society of Clinical Oncology
BTS British Thoracic Society
EURACAN European Network for Rare Adult Solid Cancers
IASLC International Association for the Study of Lung Cancer
IMIG International Mesothelioma Interest Group

CQ6.

中皮腫の病理診断を行ううえで,どのような検体と処理が推奨されるか?

推 奨
組織の挫滅に注意しつつ十分な量の組織量を複数採取し,速やかに10倍量の固定液を用いて10%中性緩衝ホルマリン固定する。固定時間6時間から48時間の固定が望ましい。細胞診用の体腔液検体の場合は可能なかぎりセルブロックを作製することを強く推奨する。

〔推奨の強さ:1,エビデンスの強さ:C〕

解 説

 中皮腫の病理診断は,HE鏡検による形態学的観察と複数の抗体を用いた蛋白発現解析としての免疫組織化学(免疫染色)および遺伝子の増減や染色体中の位置をみるFISH法で主に行われる。提出された病理診断用の検体は,形態の保持およびDNA,RNA,蛋白が変性分解しないよう速やかに組織の10倍量の10%中性緩衝ホルマリンを用いて固定する。固定時間は未固定あるいは過固定にならないよう6時間から48時間の固定が望ましい1)

 胸膜組織および体腔液が生検検体として採取される。胸膜検体では胸腔鏡により,浸潤所見がわかるように,組織の挫滅のないよう深く,脂肪組織を含めて十分な大きさの胸膜検体を複数採取することが推奨されている2)~4)。組織亜型の決定とグレーディングのためには3カ所以上採取することが推奨されている4)。生検での診断率は,標本の大きさが10 mm以上の場合,75%で診断可能であるが,10 mm未満の場合は8%に減少するという報告がある5)。針生検は感度が低い(~30%)ため推奨されていない6)が,最近の報告では超音波ガイド下経皮的胸膜針生検で18 Gよりも16 G針を使用したほうが正診率が高いことが報告されている7)。正常胸膜と異常と思われる胸膜の両方を採取することが勧められる。EPPの手術材料は気管支からホルマリンを注入して肺組織を固定するとともに注射器を用いて胸壁剝離面からホルマリン固定液を注入して胸腔領域を十分に固定する8)。P/Dの手術材料はゴム板などに貼り付けて進展させ,ホルマリン固定する8)

 一方,体腔液貯留例は穿刺により検体が採取される。体腔液穿刺検体は,可及的速やかに検体処理を開始し,BAP1免疫染色やCDKN2A/p16 FISHにより正診率が向上するとされる細胞診検体9)とともにホルマリン固定パラフィン包埋組織検体と類似した方法で作製されたセルブロックを必ず作製する8)10)。セルブロックには可能なかぎり多量の体腔液を提出する。50~100 mL以上提出することが望ましく,10 mL程度の体腔液からはセルブロックを作製するのが困難なことがある8)

 以上より,エビデンスの強さはC,中皮腫の病理診断を行うには,組織の挫滅に注意しつつ十分な量の組織量を複数採取し,速やかに10倍量の固定液を用いて10%中性緩衝ホルマリン固定することを推奨する。固定時間は6時間から48時間の固定が望ましく,さらには細胞診用の体腔液検体の場合は可能な限りセルブロックを作製することを強く推奨(1で推奨)できると判断した。下記に,推奨度決定のために行われた投票結果を記載する。

投票者の所属委員会:胸膜中皮腫小委員会(患者1名含む)/実施年度:2024年
行うことを
強く推奨
行うことを
弱く推奨
推奨に至る根拠が
明確ではない
行わないことを
弱く推奨
行わないことを
強く推奨
95%
(18/19)
5%
(1/19)
0% 0% 0%

CQ7.

上皮様中皮腫と肺腺癌との鑑別診断に何が勧められるか?

推 奨
複数の抗体パネル(少なくとも2つの陽性マーカーと2つの陰性マーカー)を用いた免疫組織化学を行うよう強く推奨する。

〔推奨の強さ:1,エビデンスの強さ:B〕

解 説

 上皮様中皮腫の診断・治療を行ううえで,各種癌腫の転移との区別が重要で,頻度的には肺腺癌との鑑別が問題となることが最も多い11)。その鑑別には,臨床所見,画像所見が重要であるが,中皮腫様の増殖を示す癌腫も存在し,最終的には病理組織診断をもとに確定診断が行われる11)。病理学的診断のうち,形態学的所見も重要であるが,上皮様中皮腫も肺腺癌も,乳頭状,腺管状など類似のパターンを示し増殖するため,特に生検診断においてはしばしば両者の鑑別が問題となる。特殊染色として,ジアスターゼ消化PAS染色やヒアルロニダーゼ消化アルシアン・ブルー染色で粘液が認められれば腺癌を示唆するが,粘液が乏しい腺癌もしばしばみられ,常に有用とは限らない。実際の日常診療において両者の鑑別には,免疫組織化学的検索が最も重要な役割を果たしている。現在,上皮様中皮腫の代表的な陽性マーカーとしては,calretinin,WT1,podoplanin(D2-40),HEG1,keratin 5/6(CK5/6)が挙げられ,陰性マーカー(肺腺癌の陽性マーカー)として,claudin-4,CEA,TTF-1,napsin A,BER-EP4などが挙げられる9)11)~13)。免疫組織化学以外では,電子顕微鏡(電顕)による発達した微絨毛の検索が有用である場合があるが,必ずしも全例で確認できるわけでなく,電顕のみの所見が確定診断になることは稀である14)。また,電顕による検索には新鮮材料が望まれ,近年電子顕微鏡を有する施設は少なく,実際的ではない。近年,DNAメチル化解析による腫瘍分類に関しての有用性がいくつか報告されているが,未だ一般的でない15)16)

 診断率:システマティックレビュー1編〔88編(上皮様中皮腫2,933例と肺腺癌3,123例)の解析結果と,MESOPATHコホート(上皮様中皮腫6,571例と肺腺癌149例)の解析結果を対象,16抗体に関して主に評価〕と他の観察研究(症例対照研究)17編(上皮様中皮腫784例,肺腺癌693例を対象)から得られた,各抗体の感度・特異度を表12に示す11~13)17~31)。いずれの抗体も高い感度および特異度を示すが,感度・特異度ともに100%という抗体は存在しない。例えばcalretinin,D2-40,CK5/6などは稀ながら肺腺癌でも陽性となる場合があり,WT1は中皮腫に非常に特異度が高いが他のマーカーに比して感度がやや劣る,など各抗体の特性があり,用いる際にはそれらの特性に精通する必要がある。また,結果の判定において留意すべき点として,calretininやWT-1は核染色性,claudin-4は細胞膜の染色性をもって陽性像と判断する(表12)。いずれにしても,単独のマーカーの結果で判断することはリスクを伴い,IMIGおよびInternational Mesothelioma Panelは,少なくとも2つの陽性マーカーと2つの陰性マーカーを組み合わせて行うことを推奨している9)32)。診断にはこれら複数の抗体による染色結果と,臨床・画像所見,形態学的所見とを合わせた総合的な判断が必要である。中皮細胞の良悪の判定に用いられるBAP1の異常は中皮腫をより示唆するが,上皮様中皮腫での消失は60%前後であり1),腎癌や胸腺癌,肝内胆管癌,悪性黒色腫などでもBAP1遺伝子の変異が知られており,また生殖細胞変異例もあることから,腺癌との鑑別には注意が必要である33)34)

表1 上皮様中皮腫の陽性マーカー
上皮様中皮腫マーカー 感度%
(95%CI)
特異度
(95%CI)
局在
Calretinin 88(82-93) 94(91-96)
WT1 80(71-87) 100(91-100)
Podoplanin(D2-40) 84(78-89) 87(82-91) 細胞膜
HEG1 92(87-97) 100(99-100) 細胞膜
Keratin 5/6 74(67-80) 68(60-75) 細胞質

文献11~13,17~31より作成

表2 肺腺癌の陽性マーカー
肺腺癌マーカー 感度%
(95%CI)
特異度
(95%CI)
局在
Claudin-4 98(95-100) 99(98-100) 細胞膜
CEA 91(86-94) 100(96-100) 細胞質
TTF-1 68(65-71) 100(98-100)
Napsin A 82(81-84) 100(100) 細胞質
BER-EP4 96(80-99) 93(88-96) 細胞膜/細胞質

文献11~13,17~31より作成

 以上より,エビデンスの強さはB,上皮様中皮腫と肺腺癌との鑑別には,臨床所見,画像所見も重要であるが,病理学的な鑑別として複数の代表的な抗体パネル(少なくとも2つの陽性マーカーと2つの陰性マーカー)を用いた免疫組織化学を行うことを強く推奨(1で推奨)できると判断した。下記に,推奨度決定のために行われた投票結果を記載する。

投票者の所属委員会:胸膜中皮腫小委員会(患者1名含む)/実施年度:2024年
行うことを
強く推奨
行うことを
弱く推奨
推奨に至る根拠が
明確ではない
行わないことを
弱く推奨
行わないことを
強く推奨
95%
(18/19)
5%
(1/19)
0% 0% 0%

CQ8.

胸膜中皮腫の病理診断にグレード分類の記載は勧められるか?

推 奨
上皮様中皮腫の病理診断では,グレード分類の記載を行うよう弱く推奨する。

〔推奨の強さ:2,エビデンスの強さ:C〕

解 説

 胸膜中皮腫は組織学的形態により,上皮様,肉腫様,二相性に分類され,この組織亜型は予後とよく相関することが知られている35)。中皮腫の中では上皮様中皮腫が最も予後が良く,OS中央値は19カ月であるのに対し,肉腫様中皮腫が最も悪くOS中央値は8カ月,二相性はその中間の13カ月とされている。これまで,中皮腫の治療や臨床転帰に関して層別化が可能な予後因子は組織亜型や病期分類以外になく,新たな予後予測因子の確立は課題である。

 乳癌や膀胱癌では核異型に注目したgradingは予後に相関することが示されており,中皮腫においても新しい予後因子として有用となる可能性がある。

表1 上皮様中皮腫の核異型分類
Nuclear grade
 Nuclear atypia score 1 for mild, 2 for moderate, 3 for severe
 Mitotic count score 1 for low(≤1 mitosis/2 mm2
2 for intermediate(2-4 mitoses/2 mm2
3 for high(≥5 mitoses/2 mm2
 Sum 2 or 3=nuclear grade Ⅰ
4 or 5=nuclear grade Ⅱ
6=nuclear grade Ⅲ
 Necrosis present/absent
Overall tumour grade
 Low grade =nuclear grade Ⅰ and Ⅱ without necrosis
 High grade =nuclear grade Ⅱ with necrosis, nuclear grade Ⅲ with or without necrosis

文献35より引用

全生存期間における予後予測因子

 Kadotaらは232例の上皮様中皮腫において,核異型,核対細胞質比,クロマチンパターン,核内封入体,明瞭な核小体の有無,核分裂像,異型核分裂について検討し,核異型と核分裂像に基づくgrading systemが予後に相関することを示した36)。国内外の多施設共同研究による546例の追加検討では,核異型および核分裂像のスコアによるgrading,壊死の有無,増殖パターンはOSと相関し,特にGrade Ⅱの患者では壊死の有無がOSの中央値に統計学的有意差がみられた(10カ月 vs 16カ月,HR 1.42,95%CI 1.13-1.78,P=0.002)。またGrade Ⅲの患者(8カ月)は,壊死を伴うGrade Ⅰ(16カ月)およびGrade Ⅱ(10カ月)の患者よりもOSが有意に短かった(P=0.004)37)。490例の生検材料を含む検討でも,Grade ⅠのOS中央値が最も良好で(24.7カ月),Grade Ⅱ(12.7カ月),Grade Ⅲ(7.2カ月)であった7)。肉腫様中皮腫や二相性中皮腫での検討もあるが,これらの組織亜型では観察者間一致率が低く,予後予測因子として上皮様中皮腫と同様の有効性は明確には示されていない38)39)

 以上より,上皮様中皮腫において生検や組織検体の病理診断にgradingを併記することがIMIG9)やEURACAN/IASLC40)でも提案され,WHO Classification of TumoursのThoracic Tumours. 5th ed.35)では核異型と核分裂像,壊死の有無から算出するtwo-tiered system(low and high grade)が収載されている。したがって,エビデンスの強さはC,総合的評価では,上皮様中皮腫の病理診断ではグレード分類を記載することを弱く推奨(2で推奨)できると判断した。下記に,推奨度決定のために行われた投票結果を記載する。

投票者の所属委員会:胸膜中皮腫小委員会(患者1名含む)/実施年度:2024年
行うことを
強く推奨
行うことを
弱く推奨
推奨に至る根拠が
明確ではない
行わないことを
弱く推奨
行わないことを
強く推奨
47%
(9/19)
53%
(10/19)
0% 0% 0%

注:議論の結果,60%以上の賛同は得られなかったが,推奨の方向性が一致しているため「弱く推奨」とした(「本ガイドラインについて,9.GRADEに基づく推奨度について」を参照)。

CQ9.

胸水・心嚢水が貯留している場合に,体腔液細胞診にBAP1,MTAP免疫染色を併用することは勧められるか?

推 奨
BAP1,MTAP免疫染色を行うことを強く推奨する。

〔推奨の強さ:1,エビデンスの強さ:B〕

解 説

 現時点での臨床的ガイドラインでは最終的には生検組織による診断を推奨しているが,近年発達してきた遺伝子変異に基づいた補助アッセイ〔BAP1 IHC,MTAP IHC,CDKN2A/p16 FISHなど〕を用いることによって,上皮様および二相性にかぎり,Papanicolaou染色のみによる診断と比較して診断率は1.5~2.4倍(診断率:74~89%)に上昇すると報告されており41)42),その有用性が認められてきている。

 診断率:細胞診による中皮腫の確定診断には従来より議論のあるところであるが,前述のごとく状況は変化してきている。細胞診による中皮腫の形態学的診断基準を明確にしたIMIG細胞診ガイドライン43)の筆頭著者Hjerpeらによると,カロリンスカ大学病院での10年の経験では,76例の体腔液細胞診の62%(47例)で中皮腫と確定診断がなされ,中皮腫疑いを含めると79%であった44)。この診断率の数値は決して高いものではないが,米国・カナダの55施設での調査では約2/3の施設で体腔液検体から最終診断が行われている現状が報告されている45)。近年では中皮腫の遺伝子変異に基づく新たな診断アッセイの進歩があり,免疫染色によるBAP1 lossあるいはMTAP loss(FISHによるCDKN2A/p16遺伝子のホモ欠失検出の代替アッセイ)の検出によって,組織とほぼ同様にセルブロックでも70~90%の症例で増殖する中皮細胞の良悪性の判定が可能となっている41)42)46)~56)。本邦からの14文献を含む65文献のメタアナリシスにて,集積感度/特異度はBAP1 loss(0.41-0.86/0.86-1.00),MTAP loss(0.23-0.76/0.93-1.00),BAP1+MTAPの集積感度も0.7-0.85と報告されている57)。また,細胞診のみで中皮腫と診断された症例と,組織診で上皮様中皮腫と診断された症例では,その後の治療を含めて予後に差がないことが示されている58)

 しかし,2018年に発表されたASCOのガイドラインによると,体腔液を認めて症状がある場合には,体腔液細胞診を行うべきであるが,化学療法が行われる場合は,胸腔鏡により生検を行うことが強く推奨されると記載されている59)。2018年のBTSのガイドラインによると,中皮腫において体腔液細胞診で診断できる割合は16~73%と幅があり,これは細胞診診断医の経験に依存するとされている。しかし,施設によっては,セルブロックでCDKN2Aのホモ接合性欠失を検討しており,このことにより診断精度が向上すると記載されている60)。2018年発表のIMIG中皮腫病理診断ガイドライン2017 updateにおいても,細胞診による診断には議論があるところだとしながらも,塗抹標本あるいはセルブロックに免疫染色と分子生物学的技法を加えることにより診断精度が向上すると記載されている9)。最新のWHO 2021分類では,細胞診によって浸潤は確認することはできないが,補助アッセイ(BAP1 IHC,MTAP IHC,CDKN2A FISH)によって良性胸水との鑑別を助けるだろうと記載され,さらにBAP1 IHC,MTAP IHCは内在性陽性コントロールが存在するところで評価すべきだと追記されている35)

 以上より,体腔液が貯留している場合はBAP1,MTAP免疫染色を併用して体腔液細胞診を行うことを推奨する。したがって,エビデンスの強さはB,総合的評価ではBAP1,MTAP免疫染色を行うよう強く推奨(1で推奨)できると判断した。下記に,推奨度決定のために行われた投票結果を記載する。

投票者の所属委員会:胸膜中皮腫小委員会(患者2名含む)/実施年度:2022年
行うことを
強く推奨
行うことを
弱く推奨
推奨に至る根拠が
明確ではない
行わないことを
弱く推奨
行わないことを
強く推奨
70%
(14/20)
25%
(5/20)
5%
(1/20)
0% 0%

CQ10.

上皮様中皮腫と反応性中皮過形成の鑑別診断にBAP1免疫染色,MTAP免疫染色,CDKN2A FISHは勧められるか?

推 奨
BAP1免疫染色,MTAP免疫染色,CDKN2A FISHを行うことを強く推奨する。

〔推奨の強さ:1,エビデンスの強さ:B〕

解 説

 上皮様中皮腫と反応性中皮過形成の鑑別診断に関して,HEのみによる診断と診断率を比較検討した試験はないが,遺伝子変異に基づいた補助アッセイ(BAP1 IHC,MTAP IHC,CDKN2A FISHなど)の施行によって診断精度の上昇が報告されている。

 診断率:組織学的に,上皮様中皮腫と反応性中皮過形成の鑑別は,腫瘍細胞による壁側胸膜・胸壁の脂肪組織や骨格筋層への浸潤または臓側胸膜・肺への浸潤が確認された場合にのみ可能だとされてきた。両者の細胞異型の程度は時に類似し,過形成においても表層部では間質浸潤様所見を呈し得るからである。しかし,近年の分子生物学的検討から,FISHによるCDKN2A遺伝子のホモ接合性欠失の検出と,免疫染色によるBAP1蛋白の核からの消失(BAP1 loss)の検出は,上皮様中皮腫と反応性中皮過形成の鑑別において特異度100%であることが確認された9)50)54)55)61)~63)。CDKN2A FISHの代替アッセイとして,免疫染色によるMTAP蛋白の細胞質からの消失(MTAP loss)の検出も有用であることが確認された64)~67)。これらの新たなアッセイの併用は両者の鑑別における診断率を上げ,日常診療に有用である35)61)63)64)66)~69)。WHO 2021分類において中皮腫のdesirable criteriaとしても記載されている。

 以上より,上皮様中皮腫と反応性中皮過形成の鑑別診断には,脂肪組織への浸潤あるいはBAP1 loss,MTAP loss,CDKN2A/p16のホモ接合性欠失を確認するよう推奨する。したがって,エビデンスの強さはB,また総合的評価ではBAP1およびMTAP免疫染色,CDKN2A FISHを行うよう強く推奨(1で推奨)できると判断した。下記に,推奨度決定のために行われた投票結果を記載する。

投票者の所属委員会:胸膜中皮腫小委員会(患者2名含む)/実施年度:2022年
行うことを
強く推奨
行うことを
弱く推奨
推奨に至る根拠が
明確ではない
行わないことを
弱く推奨
行わないことを
強く推奨
80%
(16/20)
15%
(3/20)
5%
(1/20)
0% 0%

CQ11.

前浸潤性中皮腫(mesothelioma in situ)の診断にBAP1,MTAP免疫染色は勧められるか?

推 奨
BAP1,MTAP免疫染色を行うことを強く推奨する。

〔推奨の強さ:1,エビデンスの強さ:C〕

解 説

 前浸潤性中皮腫(MIS)という概念は1990年代にHenderson,Whitakerらによって提唱された。しかし当時は反応性中皮過形成との組織学的鑑別が困難であったため,明らかな浸潤性中皮腫が存在し,その一部に胸膜表面を覆う一層の中皮細胞の増殖が認められる際に,その部分をMISと捉えるとされていた70)。これに対しては当然ながら浸潤性中皮腫の一部が胸膜表面に進展したものではないかとの疑問もあった。ところが最近,CQ910で記載のごとく遺伝子変異に基づいた補助アッセイ(BAP1 loss,MTAP loss,CDKN2Aホモ欠失の検出)の発達によって,浸潤性病変がなく,胸膜の表面を一層の中皮細胞にて覆われる病変においても,その腫瘍性を確認することが可能となった。そこでChurgらは新たなMISの診断基準(① 表面を覆う一層の中皮細胞にBAP1 lossが認められ,② 生検の時点で画像的にも胸腔鏡的にも腫瘍の存在を示唆する所見は認められず,③ 生検後少なくとも1年は浸潤性腫瘍が生じてこないもの)を提唱した71)。これを受けてWHO 2021分類では初めてMISを良性・前浸潤性中皮腫瘍の1つとして記載した。その定義は「腫瘍性中皮細胞の胸膜表面における一層の浸潤を伴わない増殖(前浸潤性増殖)」で,診断のための必須項目として,(ⅰ)繰り返す胸水貯留,(ⅱ)胸腔鏡/画像にて腫瘤性病変を認めない,(ⅲ)胸膜表面の一層の中皮細胞(細胞異型の有無は問わず),(ⅳ)組織学的に浸潤性増殖の欠如,(ⅴ)免疫染色によるBAP1 loss,MTAP loss,FISHによるCDKN2Aホモ欠失のいずれかを認める,(ⅵ)分野の異なる専門家の合議による診断,を挙げている35)。病理診断のためには胸腔鏡下に得られた大きな生検組織(理想的には100~200 mm2)での評価が望ましいとされている。

 診断率:現時点ではMISに関する報告は,症例集積研究2報と症例報告数報,細胞診に言及した1報があるが,HEのみでの診断とBAP1,MTAP免疫染色を用いた診断との比較を行ったものはない。いずれもChurgらあるいはWHO 2021の診断基準に従って,BAP1 loss,MTAP loss,CDKN2Aホモ接合性欠失のいずれかを呈している71)~78)。FISH設備を有しない通常の施設においては,免疫染色によって判定可能なBAP1 loss,MTAP lossが有用と考えられる。

 以上より,MISの診断には,BAP1 loss,MTAP lossの確認を行うように推奨する。したがって,エビデンスの強さはC,総合的評価ではBAP1,MTAP免疫染色を行うよう強く推奨(1で推奨)できると判断した。下記に,推奨度決定のために行われた投票結果を記載する。

投票者の所属委員会:胸膜中皮腫小委員会(患者2名含む)/実施年度:2022年
行うことを
強く推奨
行うことを
弱く推奨
推奨に至る根拠が
明確ではない
行わないことを
弱く推奨
行わないことを
強く推奨
60%
(12/20)
25%
(5/20)
10%
(2/20)
0% 5%
(1/20)

CQ12.

線維形成性中皮腫と線維性胸膜炎の鑑別診断にCDKN2A FISHは勧められるか?

推 奨
CDKN2A FISHを行うことを強く推奨する。

〔推奨の強さ:1,エビデンスの強さ:C〕

解 説

 HE標本における線維形成性中皮腫と線維性胸膜炎の鑑別に関して直接的に診断率をみたものはないが,IMIG中皮腫病理診断ガイドライン2017 update9)には組織学的鑑別に関して以下のごとく記載されている。「線維形成性中皮腫は,密な膠原線維性組織とその線維間に疎に存在する紡錘形の中皮腫細胞が特徴である。異型はあっても弱いのが一般的で,線維性胸膜炎では核がやや腫大した紡錘形の反応性中皮細胞を伴うことが多いので,鑑別が難しい。胸膜炎ではzonationと呼ばれる所見〔胸膜の胸腔側では肉芽組織形成を伴って細胞密度が高く,深部(胸壁側)にいくにしたがって線維化が優勢となり細胞密度が低くなる〕が特徴的だが,線維形成性中皮腫では認められない。また,胸膜炎では特に胸腔側で,毛細血管の発達が良く,胸膜表面に対して直交するように増生するが,線維形成性中皮腫では毛細血管の増生はさほど目立たない。一方で,線維形成性中皮腫では一部に細胞密度の高い部分が結節様に認められることがあるが(cellular stromal nodules),胸膜炎ではみられない。また,脂肪組織まで浸潤する紡錘形中皮細胞が認められれば,線維形成性中皮腫の診断を支持する。」WHO 2021にも同様の記載があるが,さらに鑑別の困難な症例では補助アッセイが有用だと記載されている35)。補助アッセイの項には,BAP1 lossは上皮様中皮腫で多く認められ,肉腫様中皮腫では80%以上の症例でCDKN2Aホモ接合性欠失が認められると記されている。

 診断率:HE所見との診断率に関する比較試験はないが,線維性胸膜炎との鑑別におけるFISHによるCDKN2Aホモ接合性欠失検出の有用性を指摘した論文はみられる。線維形成性中皮腫を含む肉腫様中皮腫においてはCDKN2Aのホモ接合性欠失が高頻度(80~100%)に認められるが,線維性胸膜炎では認められず(特異度100%),両者の鑑別にCDKN2A FISHは有用である9)35)46)79)~82)

 以上より,線維形成性中皮腫と線維性胸膜炎の鑑別診断には,組織学的鑑別に加えてCDKN2Aホモ接合性欠失の確認を行うことを推奨する。したがってエビデンスの強さはC,総合的評価ではCDKN2A FISHを行うよう強く推奨(1で推奨)できると判断した。下記に,推奨度決定のために行われた投票結果を記載する。

投票者の所属委員会:胸膜中皮腫小委員会(患者2名含む)/実施年度:2022年
行うことを
強く推奨
行うことを
弱く推奨
推奨に至る根拠が
明確ではない
行わないことを
弱く推奨
行わないことを
強く推奨
85%
(17/20)
10%
(2/20)
5%
(1/20)
0% 0%

CQ13.

肉腫様中皮腫と肺肉腫様癌との鑑別診断には補助診断のみならず画像情報も含めた総合的判断が勧められるか?

推 奨
  • a.
  • 補助診断を行うことを強く推奨する。

〔推奨の強さ:1,エビデンスの強さ:D〕

  • b.
  • 画像情報を含めて総合的判断を行うことを強く推奨する。

〔推奨の強さ:1,エビデンスの強さ:D〕

解 説
  • a.肉腫様中皮腫と肉腫様癌は組織像が類似しているため,病理所見だけで診断することはできず,免疫染色で検討する必要がある。サイトケラチンが陽性で,中皮マーカーが2種以上陽性,癌腫マーカーが2種以上陰性ならば肉腫様中皮腫と診断する83)。GATA3は肉腫様中皮腫の100%(19/19)および肺肉腫様癌の15%(2/13)で陽性84),MUC4は肉腫様中皮腫の0%(0/31)および肺肉腫様癌の72%(21/29)で陽性85)と報告された。その後の報告では,肉腫様中皮腫と肺肉腫様癌においてGATA3とMUC4の感度にばらつきがみられるものの86)~88),GATA3とMUC4は両者の鑑別に応用できる可能性がある。上皮マーカーであるclaudin-4,MOC-31,Ber-EP4は,肺肉腫様癌で陽性になることがあるが,肉腫様中皮腫では陰性であり13),これらが陽性の場合は肉腫様中皮腫を排除できる可能性がある。一方,肺肉腫様癌における感度は低く(24~38%),その57%(12/21)はすべてが陰性であるため,陰性の場合は両者を鑑別することは難しい。MTAP lossは,肉腫様中皮腫と肉腫様癌において同程度の頻度で検出されるため,MTAP lossの検討は両者の鑑別に役立たない89)。肉腫様癌はBAP1 retainedであるが,BAP1 lossを示す肉腫様中皮腫は極めて少ないため,BAP1 lossの検討は両者の鑑別に役立つとはいえない89)

     診断率:GATA3は肉腫様中皮腫の100%(19/19)84),70.6%(12/17)86),73%(29/40)87),98%(63/64)88)が陽性,肺肉腫様癌の15%(2/13)84),16.7%(2/12)86),47%(15/32)88)が陽性である。MUC4は肉腫様中皮腫の0%(0/31)85),3%(2/64)88)が陽性,肺肉腫様癌の72%(21/29)85),38%(12/32)88)が陽性である。claudin-4,MOC-31,Ber-EP4は,すべての肉腫様中皮腫(31例)が陰性であるが,肺肉腫様癌ではclaudin-4は33%(7/21),MOC-31は38%(8/21),Ber-EP4は24%(5/21)に陽性を認める13)。MTAP lossは,肉腫様中皮腫の61%(38/62),肉腫様癌の50%(17/34)が陽性である89)。すべての肉腫様癌(34例)はBAP1 retainedであるが,肉腫様中皮腫の10%(6/62)にしかBAP1 lossを認めない89)

     以上より,肉腫様中皮腫と肺肉腫様癌との鑑別診断には,エビデンスの強さはD,総合的評価では補助診断を行うよう強く推奨(1で推奨)できると判断した。下記に,推奨度決定のために行われた投票結果を記載する。

投票者の所属委員会:胸膜中皮腫小委員会(患者2名含む)/実施年度:2022年
行うことを
強く推奨
行うことを
弱く推奨
推奨に至る根拠が
明確ではない
行わないことを
弱く推奨
行わないことを
強く推奨
65%
(13/20)
25%
(5/20)
10%
(2/20)
0% 0%
  • b.免疫染色において,CAM5.2,CK AE1/AE3などのサイトケラチンが陽性で,中皮マーカー,癌腫マーカーのいずれも陰性である場合,肉腫様中皮腫と肉腫様癌の鑑別はできない。免疫染色や分子生物学的検討を行っても肉腫様中皮腫と肉腫様癌の鑑別ができない場合,臨床情報,画像情報を含めて総合的判断を行うことが重要である。

     診断率:臨床情報,画像所見などの情報の有無による肉腫様中皮腫と肺肉腫様癌の鑑別診断における診断率を算出した論文はないが,WHO2021分類35)や欧米の中皮腫ガイドライン83)には,臨床情報,画像所見を含めて総合的判断を行うことの重要性が記載されている。びまん性に胸膜が肥厚し病変の主座が胸膜にあれば肉腫様中皮腫,限局性腫瘤であり肺内にあれば肉腫様癌の可能性がある35)

     よって,肉腫様中皮腫と肺肉腫様癌との鑑別診断には,補助診断のみならず画像情報も含めた総合的判断が推奨される。

     以上より,肉腫様中皮腫と肺肉腫様癌との鑑別診断には,エビデンスの強さはD,総合的評価では画像情報を含めて総合的判断を行うよう強く推奨(1で推奨)できると判断した。下記に,推奨度決定のために行われた投票結果を記載する。

投票者の所属委員会:胸膜中皮腫小委員会(患者2名含む)/実施年度:2022年
行うことを
強く推奨
行うことを
弱く推奨
推奨に至る根拠が
明確ではない
行わないことを
弱く推奨
行わないことを
強く推奨
85%
(17/20)
10%
(2/20)
5%
(1/20)
0% 0%
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