第6章 非小細胞肺がんの治療 6-3 薬物療法のみの治療
Q68
薬物療法はいつまで続けるのでしょうか
1.初回の抗がん剤(細胞傷害性抗がん薬)治療

 一般的に,初回の抗がん剤(細胞傷害性抗がん薬)による治療(化学療法)は3〜4週を1サイクルとして,明らかながんの進行がないかぎりは4〜6サイクル繰り返して投与を行います。その後は一般的には治療を加えず,がんの進行がないか定期的に検査しながら,慎重に経過観察を行います。

 最初の治療でペメトレキセドやベバシズマブを用いた場合には,初回の治療終了後に休止期間をおかず治療を継続する「維持いじ療法りょうほう」が行われます。がんの悪化が認められた場合,治療を続けることが困難な副作用が認められた際には,維持療法は中止します。

 最初の化学療法として,細胞傷害性抗がん薬と免疫チェックポイント阻害薬を併用した場合には,初回の4 サイクルの治療終了後には(治療によっては2サイクルの治療終了後),免疫チェックポイント阻害薬を用いた治療を継続します。一定の治療効果が得られていると判断される場合には,その治療を継続することが勧められおり,一般的には2 年間継続した場合には治療の終了が検討されます。

2.二次治療以降の抗がん剤治療

 一般的には,二次治療以降の抗がん剤(Q69 参照)は1 剤のみの抗がん剤が使用されます。単剤で使用する細胞傷害性抗がん薬では,一般的に副作用が少ないため,一定の治療効果が得られていると判断される場合には,その治療を継続することが勧められています。

3.分子標的治療

 分子標的治療薬はその作用のメカニズムから,一般的に吐き気,からだのだるさ,腎臓や血液に対する副作用などが少ないため,一定の治療効果が得られていると判断される場合には,原則として,その治療を継続することが勧められています。明らかながんの増大や,新しいがんの病変の出現が認められた場合には,治療を中止し,別の治療を検討することになります。

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