第3章 肺がんと診断されたらまず知って欲しいこと
Q23
子どもや両親,パートナーにはどのように伝えればよいでしょうか

 現在,わが国では子育て中のがん患者さんが全体の約24%を占めることが明らかになっています。子育て中の方ががんの診断を受けたとき,多くの方がご自身の治療のこと以上に,小さなお子さんの世話や病気のことをどこまで伝えるかなど,お子さんに関わる心配が頭をよぎったと話されます。

 お子さんに親のがんのことをどう伝えるべきかを考えるとき,「親ががんだとわかったらショックでふさぎ込んでしまうのではないか」「余計な心配をかけたくない」という思いがあるかもしれませんが,お子さんは親の様子をみて,いつもと違う何かが起きていることに気づくものです。お子さんも大切な家族の一員として状況を伝えてみてください。それがお子さんの安心感につながるはずです。

 お子さんに親のがんのことを伝える方法については,国内外でさまざまな研究が行われ手法が示されています。ひとつの例として,アメリカのMDアンダーソンがんセンターで作成された,がん患者さんの子どもを支援するプログラム「KNIT(ニット,Kids Need Information Too)」をご紹介しますので,参考にしていただければと思います()。

 また,お子さんと同様の理由で高齢の親御さんやパートナーへ伝えることを迷う方も少なくありません。伝えるべきか否かという視点に立つとき,正解といえることはありませんが,大切なのは「伝えるのに遅すぎる早すぎるはない」ということ,もし家族から聞かれたときには「嘘はつかない」ことです。

 なお,お子さん,親御さん,パートナーという立場にかかわらず,ご自身のがんのことを伝えた後は,相手にお願いしたいことを言葉で伝えるようにしましょう。ご自身にとって大切な存在=相手にとってもあなたは大切な存在です。がんという事実を知った後は,「何かできることはないか」「どうやって声をかけたらよいのだろうか」と戸惑うことでしょう。だからこそ,「今日は抗がん剤治療を受けた日だから,横になっていたい」「洗濯物を取り込んでほしい」「重いものを運ぶのを手伝ってほしい」などと具体的なことを伝えてみてください。それぞれが自分にできることを知り,役に立てることは,周りの方たちにとって,大きな気持ちの支えになるはずです。

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