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「高額療養制度の見直しにかかる議論について」の声明

特定非営利活動法人日本肺癌学会 理事長 山本信之

日本肺癌学会は、現在進行中の高額療養費制度の見直しについて、以下の通り声明を発表いたします。

 日本のがん死亡原因の第一位は肺癌であり、年間8万人近い日本人患者さんが肺癌で亡くなられています。一方、今世紀に入って数々の抗がん薬、分子標的治療薬、免疫療法薬(免疫チェックポイント阻害薬)が開発され、治療成績の大きな改善がもたらされました。これらの治療を、肺癌患者さんが安定して受けることを支えてきたのが「高額療養費制度」です。
 しかし、現在検討されている高額療養費制度の変更により、患者の自己負担が急激に増加することが懸念されています。
 特に問題なのは、これらの議論において、患者・家族や治療に携わる医療従事者の代表が十分に参加できていないことです。
 肺癌は高齢者に多い疾患ですが、若年層や現役世代においても発症することがあります。近年では治療の進歩により、長期的な治療を続けながら生活を送ることが可能になっていますが、今回の変更で治療が受けられない、継続が困難になるなどの事態を憂慮しています。
 こうした背景を踏まえ、制度変更にあたっては、患者や医療現場の声を直接反映させる形で慎重かつ丁寧な議論が行われることを望みます。
 日本肺癌学会は、今後も肺癌患者の治療環境の向上と公平な医療アクセスの実現に向けて尽力してまいります。