抗がん剤(細胞傷害性抗がん薬)や分子標的治療薬の効果が出ることで痛みがやわらぐまでには時間がかかります。そのため抗がん剤や分子標的治療薬以外の薬物療法や放射線療法で痛みをとることが優先されます。また,骨転移は骨折にいたったり,まわりの神経を圧迫したりすることでしびれや麻痺を起こすこともあります。これらを予防する目的でも薬物療法や放射線療法が行われます。
薬物療法には,痛み止め(消炎鎮痛剤,モルヒネなどの麻薬,ステロイドなど)と,骨転移による骨折や神経症状を予防する薬(ビスホスホネート製剤,デノスマブ)があります。ビスホスホネート製剤やデノスマブの使用にあたっては顎骨壊死ビスホスホネート製剤やデノスマブを投与されている患者さんに生じる副作用で,顎骨(あごの骨)の露出や感染などにより痛みや腫れを引き起こします。口腔内の衛生状態が悪いと発生しやすいといわれていますので,投与を受ける前には適切な歯科検査を受け,口腔内を清潔に保つことが必要です。また抜歯などの歯科治療の後にも顎骨壊死が起こりやすいとされており,薬剤の投与中に歯の治療をするときには,必ず担当医に相談し,歯科医師にも治療中であることを伝えることが大切です。や低カルシウム血症などの副作用があり,十分注意しながら治療が行われます。
骨転移に対する放射線療法は,薬物療法で痛みの軽減が不十分な場合や骨折の危険性が高い場合,麻痺などの神経症状出現のおそれがある場合に行われます。
そのほかに,外科治療(手術)や神経ブロックなども行われます。外科治療では,骨転移により圧迫された神経に対する圧力を除去する手術や,転移によって弱くなった骨を補強するための手術が行われます。