基本的には通常の生活を送ることができます。運動等はご自身の体調や症状を見ながら少しずつ進めていきましょう。手術後の痛みは天気や気温などにも影響を受けやすいので, 一喜一憂せず長い目で見ていくと良いです。担当医の指示通りに定期的な診察と検査を受け, 感染や新たな病気の予防にも注意しながら生活を送りましょう。
手術後は,多くの方が手術前と大きく変わることのない通常の生活が可能です。からだの調子をみながら散歩などの軽い運動から徐々に始めましょう。多くの方では趣味の範囲の運動は可能です。ただし,急な運動や作業,または坂道や階段などでは息切れが強く出ることがあります。休みながら,ゆっくりとしたペースで行うとよいでしょう。参考として,1分間の脈拍が(220-年齢)×0.8を超えないように負荷をかけるのが安全とされています(例:60歳で128,70歳で120)。
肺の手術では,肋骨の下を走る肋間神経が傷ついていることがあり,雨降りのときや冷えたりすると痛みが出ることがしばしばあります。また,手術した側の胸に鉄板を入れられたような感じをもつ患者さんもいます。痛みの程度や期間には個人差がありますが,多くの方が経験する痛みで,しだいにやわらいでいきます。日常生活に支障が出るほどの痛みであれば,痛み止めをしばらく飲むことをお勧めします。また,手術後は咳が出やすいことも特徴です。会話や深呼吸などの刺激で痰を伴わない空咳が出ることはしばしばで,多くは1~2カ月のうちに軽快します。一方,発熱や痰を伴う咳には注意が必要です。すぐ担当医に報告しましょう。
肺気腫や間質性肺炎という肺全体に及ぶ病気をもっている方は,手術の後で肺炎などを起こす危険性が高いので,風邪をひかないように,外出から帰ったらうがいをするなどの注意が必要です。手術前に禁煙した方は術後に再開したいと思われるかもしれませんが,手術によって呼吸機能が落ちたところへ,さらに肺を痛めつける行為であり,また新たながんや循環器系の病気になる危険性を高めるだけですので,絶対に止めましょう。
手術をしても再発する可能性はゼロではありません。担当医の指示どおりに定期的な通院と検査は必要ですので,必ず受診するようにしましょう。また,肺がんに限らず,ほかの病気になることもありますので,ご心配であればご自身で検診を受けるのもよいでしょう。