第6章 非小細胞肺がんの治療 6-1 外科治療(手術)が中心となる治療
Q61
手術後に再発した場合の治療について教えてください

 残念ながら手術後に肺がんが再発してしまった場合の治療法としては,初回治療と同様に外科治療,放射線療法や薬物療法があります。どの治療を選択するかは,がんの生物学的特徴(組織型や遺伝子変異の有無,PDピーディーL1エルワンタンパクの発現状況など),再発している部位や数,その時の患者さんの体力と臓器機能, 初回治療の内容などを考慮して決定されます。

A
初回治療時と同様の全身の病状評価と治療法選択

 通常,肺がんの再発は原発巣げんぱつそうから離れた複数の部位に起こることが多く(遠隔えんかくてん),この場合は全身に効果が期待できる薬物療法が行われます。どのような薬剤を選ぶかの原則は,Ⅳ期の肺がんの薬物療法と同じですので,具体的な内容についてはQ68を参照してください。一般には肺がんの遺伝子異常の有無と種類,PD‒L1タンパクの発現状況,臓器機能などによって,ぶん標的ひょうてきりょうやく免疫めんえきチェックポイントがいやくこうがんざい細胞さいぼう傷害性しょうがいせいこうがんやく),またはそれらの組み合わせによる治療が選択されます。

 再発病変が1個か多くても2~3個までで局所にとどまっている場合は,手術や放射線療法を行うことがあります。この場合も,ほかの部位に目に見えないがんの転移が生じていることがあり,薬物療法もあわせて行うことが多くなります。以前は,薬剤の種類も少なく,効果も低かったので,再発・再燃さいねんした場合の治療は困難でしたが,最近はこのような場合でも有効な薬剤が出てきていますので,どのような薬が適しているのか担当医とよく相談して,適切な治療法を選択していくとよいでしょう。

 また,自覚症状のある骨転移・脳転移に対しては,遠隔転移の状態であっても,著しくQOL(生活の質)を下げるおそれがあるので,局所治療として外科治療や放射線療法を選択する場合があります。詳しくはQ54(骨転移に対する治療)やQ55(脳転移に対する治療)も参考にしてください。

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