初回治療か二次治療以降か,あるいは薬剤の種類によって,治療サイクル数や治療期間の目安があります。いずれの場合であっても,薬物療法の治療効果(Q70参照)と副作用のバランスを見て,継続または中止を検討することが重要です。
一般的に,初回の抗がん剤(細胞傷害性抗がん薬)による治療(薬物療法)は3~4週を1サイクルとして,明らかながんの進行がないかぎりは4~6サイクルを繰り返して投与します。その後は一般的には治療を加えず,がんの進行がないか定期的に検査しながら,慎重に経過観察を行います。
最初の治療でペメトレキセドやベバシズマブを用いた場合には,初回の治療終了後に休止期間をおかずにこれらの薬剤を継続する「維持療法」が行われます。がんの悪化が認められた場合,治療を続けることが困難な副作用が認められた際には,維持療法は中止します。
最初の薬物療法として,細胞傷害性抗がん薬と免疫チェックポイント阻害薬を併用した場合には,規定のサイクルの治療終了後に,免疫チェックポイント阻害薬を用いた治療を継続します。一定の治療効果が得られていると判断される場合には,その治療を継続することが勧められ,一部の免疫チェックポイント阻害薬においては2年間継続した場合には治療の終了が検討されます。
初回治療として免疫チェックポイント阻害薬単剤あるいは免疫チェックポイント阻害薬同士の併用療法を行った場合,一定の治療効果が得られていると判断される場合にはその治療を継続することが勧められますが,薬剤によっては2年間継続した場合に治療の終了が検討されます。
一般的には,二次治療以降の抗がん剤(Q70参照)は1剤のみの抗がん剤が使用されます。単剤で使用する細胞傷害性抗がん薬では,一般的に副作用が少ないため,一定の治療効果が得られていると判断される場合には,その治療を継続することが勧められています。一次治療で免疫チェックポイント阻害薬単剤の治療が行われている場合には,二次治療で通常の初回治療で使用される細胞傷害性抗がん剤の併用療法を行います。
分子標的治療薬はその作用のメカニズムから,一般的に吐き気,からだのだるさ,腎臓や血液に対する副作用などが少ないため,一定の治療効果が得られていると判断される場合には,原則として,その治療を継続することが勧められています。明らかながんの増大や,新しいがんの病変の出現が認められた場合には,治療を中止し,別の治療を検討することになります。