理事長挨拶
このたび、日本肺癌学会理事長を拝命いたしました。
本学会は60年以上の歴史を有し、7300人の会員を擁しています。肺癌をはじめとする胸部悪性腫瘍の研究・臨床の推進、人材育成に益する使命を強く認識しております。
肺癌の診断面では各種画像、気管支鏡検査の技術的な進歩や分子病理学的な手法により個人に適した治療薬の選択が定着しました。また、治療面の進歩として低侵襲な外科治療やロボット支援手術、分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬による薬物治療、さまざまな放射線治療などが挙げられます。基礎医学の新たな知見も高速で臨床応用されることも多く、肺癌の専門家としてこれらの広汎な技術と知識を修得する必要があります。日本肺癌学会として有益な情報や指針を共有、発出してまいります。テスト
専門家向けの肺癌取扱い規約、ガイドライン、手引き書の作成とともに、若手医師を対象とした講演会、医療従事者向けセミナー、患者さんを対象とした解説書、アドボカシー活動など、多岐にわたる教育・広報活動をさらに充実させ、診療レベルの向上や社会的な理解を心がけてまいります。まずは以下の事項を達成すべく活動を開始いたします。
- 高度な肺癌診療・研究に対応する教育事業の強化 学術活動の充実や新設する認定医制度により、胸部悪性腫瘍に対する俯瞰的な視野と知識の修得を支援します。
- 学術団体としての大規模研究の推進 質の高い日常臨床データの提供や臨床試験データの合体をもとに大規模なデータベースを構築し、学会をあげ て研究に取り組みます。各領域の横断的な協力による新たな研究も歓迎いたします。
- 海外の関連学会との強固な連携 国際肺癌学会をはじめ、海外主要学会と共同の学術・教育活動を行い、本学会会員が要職に就くなど、世界の トップランナーとしての地位を確立します。
- 次世代に向けた学会組織の構築 ダイバーシティ推進、アーリーキャリア委員会を設置し、女性医師、若手医師の学術集会、委員会活動への積 極的な参加やアイデアを期待します。 女性役員数を女性会員比率に近づけるべく、制度改革も考えていきます。
- 社会に向けた情報発信、支援活動 市民公開講座の定着、多職種による患者支援の促進などにより、医療者と患者さんの橋渡しや、一般市民への 知識の普及を促進します。
今までも本学会は上記を含む多くの大切な事業に取り組んでまいりました。時代の変化に対応するため、優先的な課題案を述べさせていただきました。
会員の皆様からの声に耳を傾け、満足いただける環境を確保してまいる所存ですので、御指導をお願い申し上げます。