第7章 小細胞肺がんの治療
Q72
限局型小細胞肺がんにはどのような治療法がありますか

 限局型小細胞肺げんきょくかたしょうさいぼうはいがんは,放射線が照射できる範囲にがんがとどまっている状態のため,全身的に効果のある抗がん剤(細胞障害性抗がん薬)による治療(化学療法)に,局所的に効果のある放射線療法を併用する化学放射線療法を行うことで生存期間が延長することが知られています。この併用の方法には,化学療法と同時に放射線療法を開始する方法と,一連の化学療法が終了した後に放射線療法を開始する方法があります。からだの状態が耐え得るようであれば,放射線療法を同時に,そしてできるだけ早い時期に併用するほうが,化学療法の後に行うより治療効果が高いとされています。

 さらに,小細胞肺がんは細胞分裂が速く,放射線を1日1回照射する方法では,照射と照射の間に,放射線が効きにくい細胞が出現することが懸念されます。これを防止するために開発された治療法が1日2回照射法です。同じ量の放射線療法を行う場合には,1日1回よりも1日2回のほうが治療効果が高まる傾向にあります(Q35参照)。

 化学療法に関してはシスプラチン(もしくはカルボプラチン)とエトポシドの併用療法が用いられます。この組み合わせは,そのほかの化学療法よりも放射線療法の効果を増強する作用があり,そして副作用も強くないためです。

 このような化学放射線療法を行った限局型小細胞肺がんでは,50〜60%の患者さんのがんが完全消失し,80〜90%の患者さんのがんが小さくなります。

 なお,免疫チェックポイント阻害薬に関しては,限局型の小細胞肺がんにおいてはわが国では承認されておりません(進展型についてはQ76参照)。

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