第10章 生活上のアドバイス
Q94
家族はどのように支えていけばよいでしょうか

 あなたの大事な家族ががんになったとき,当事者である患者さんだけではなく,家族としてもさまざまな不安が出てくると思います。また患者さんご本人をどのように支えていけばよいのか悩むことも多くあるでしょう。家族も戸惑い,困惑して不安になるのはもっともです。ここでは家族に知っていただきたいことをお伝えします。あなたに当てはまることがあれば参考にしてみてください。

1. 病気に関する正しい情報を集めましょう

 がんに対する不安を軽減するためには,正確な情報を知ることが重要となります。担当医からの情報以外にも,がん関連の本や雑誌,インターネットなどもありますので参考にしてみてください。なお,本書でもQ1819に関連する情報サイトを記載しています。

2. 家族として何ができるかを考えましょう

 家族のメンバーそれぞれに,自分にできることや不得意なことがあると思います。患者さんとじっくり話ができる方や,買い物や送り迎えができる方もいます。家族で役割を上手に分担して,お互いの負担を少なくしましょう。

3. 患者さんのつらさを理解しましょう

 患者さんはがんを抱えた当事者です。そのつらさのすべてを理解することは難しいかもしれませんが,理解しようとする努力は必要です。患者さんがつらい状況のとき,家族に強い口調で話したり,話す内容がいろいろと変化することもあるかもしれません。そんなときには,お話の内容の良し悪しの判断をしたり,無理にアドバイスをするのではなく,患者さんのつらい気持ちに寄り添い,共感をもって聞く時間を大切にしましょう。

4. 患者さんの希望をよく聞きましょう

 患者さんが何をしたいのか,どのようなことを希望しているのか患者さんの気持ちや要望を聞いてみましょう。家族は患者さんのことを思うあまり,自分なりのやり方で,あれもこれもと過剰に援助してしまいがちです。手助けしているはずが自分のやり方の押しつけになっていないか,常に見直し,患者さんに確認しながら援助していきましょう。

5. 家族も自分の生活を大事にしましょう

 患者さんがとてもつらい状況にあるからといって,生活のすべてを患者さん中心にしてしまうと家族も疲れてしまいます。患者さんを援助しながら,ときには自分のための楽しい時間を作りましょう。周囲が元気でいることが,常に患者さんの良き支援者でいられることにつながります。

 家族は「第2の患者」といわれるほど,患者さんと同様にがん診断と治療に戸惑い感情が揺れ動くものです。家族だけですべてを抱え込まず,医師,看護師,薬剤師,医療ソーシャルワーカーなど話しやすい相手に,あなたが大切にしたいこと,困っていること,必要と思うこと,苦手なことなどについて伝えてください。伝えることで,解決に向けたきっかけが見つかることがあります。

このページの先頭へ