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Ⅱ.治 療

切除不能悪性胸膜中皮腫の化学療法

文献検索と採択

切除不能悪性胸膜中皮腫の化学療法
3-1.切除不能悪性胸膜中皮腫の1次化学療法
推 奨
ECOG PS 0-2で臓器機能が保たれている切除不能悪性胸膜中皮腫に対する治療として,化学療法を行うよう勧められる。(グレードA)
エビデンス
 切除不能悪性胸膜中皮腫に対する治療として,CDDP・PEM併用化学療法を行うよう勧められる。CDDP・PEM併用療法とCDDP単剤との第Ⅲ相比較試験において,併用群ではORRの上昇(41.3% vs 16.7%),PFS(5.7カ月vs 3.9カ月,P=0.001)ならびにOS(12.1カ月vs 9.3カ月,HR 0.77,P=0.020)の有意な延長が認めらた1)
 CDDPの投与が困難な症例ではCBDCAとPEM併用療法を考慮してもよいが,本邦では悪性胸膜中皮腫に対するCBDCAの投与は承認されていない。CBDCA・PEM併用療法について,PFS 6.5カ月,OS 12.7カ月2)およびOS 14カ月3)と報告されている。いずれも第Ⅱ相試験ではあるがCDDP・PEM併用療法と同等の結果であった。
 本邦では悪性胸膜中皮腫に対するベバシズマブの投与は承認されていないが,CDDP・PEM併用療法にベバシズマブを追加した第Ⅲ相試験において,PFS(9.6カ月vs 7.5カ月,HR 0.62,P<0.0001)およびOS(18.8カ月vs 16.1カ月,HR 0.76,P=0.012)の延長が認められた4)。なお,ベバシズマブ以外の分子標的治療薬については未だ有効性の証明がなされていない。
3-2.切除不能悪性胸膜中皮腫の2次化学療法
推 奨
ECOG PS 0-2で臓器機能が保たれている切除不能悪性胸膜中皮腫に対して2次化学療法を行うことを考慮してもよい。(グレードC1)
エビデンス
 1次化学療法でPEMが投与されていない場合,PEMの投与を考慮してもよい。1次治療としてPEMが投与される以前に行われた2次化学療法の第Ⅲ相比較試験で,PEM+BSC群ではBSC群に比べてPFS(3.6カ月vs 1.6カ月,P=0.0148)の延長が報告されたが,OSの延長効果は認められなかった5)
 1次化学療法でPEMが有効であった場合,PEMの再投与を考慮してもよい。後方視的な解析ではあるが,1次化学療法でPEMを投与した症例の2次治療としてPEMを投与した群は,PEMを投与していなかった群に比べDCR,PFS,OSともに有意に良好であった6)
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