第7章 小細胞肺がんの治療
Q71
小細胞肺がんとはどのような肺がんですか

 肺がんはその細胞を顕微鏡で見ることによって,いくつかの組織型に分類されます(Q2参照)。小細胞肺がんは細胞が丸くて小さいことが特徴です。小細胞肺がんはその他の組織型(非小細胞肺がん)と比較して,治療方針や治療効果が異なるため,しばしば肺がんは小細胞肺がんと非小細胞肺がんに大きく分類されます。

A

 小細胞肺がんは,ほかの組織型と比べて進行が速く転移しやすいため,外科治療(手術)が可能な時期に発見されることは少なく,手術が行われることはまれです。手術は通常,Ⅰ~ⅡA期(腫瘍の大きさが5 cm以下で,ほかの臓器やリンパ節に転移が認められない状態)以外では行われません。一方で,こうがんざいによる治療(化学療法)や放射線療法の効果は高く,治療による生存期間の延長が期待できるがんです。

1.原因

喫煙は肺がんの原因になりますが,小細胞肺がんは特に喫煙が深く関わっています。喫煙以外では非小細胞肺癌と同様にアスベストや車の排ガスの吸入,また大気汚染なども原因として挙げられています。

2.進行度による分類

 小細胞肺がんは,進行度によって「限局型げんきょくがた」と「進展型しんてんがた」に分けられます(Q72Q75参照)。手術が選択されることが少ないため,非小細胞肺がんのようなⅠ~Ⅳ期の分類法は小細胞肺がんではあまり使われません。

3.腫瘍マーカーについて

 小細胞肺がんでは,NSEエヌエスイーProプロGRPジーアールピーといった血中の腫瘍マーカーが陽性になることが多く,腫瘍マーカー上昇だけでは診断できませんが,数値の変化は治療効果の目安として利用されます。

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