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Ⅱ.非小細胞肺癌

Ⅳ期非小細胞肺癌の1次治療

文献検索と採択

Ⅳ期非小細胞肺癌の1次治療

本文中に用いた略語および用語の解説

CBDCA カルボプラチン nab-PTX ナブパクリタキセル
CDDP シスプラチン PEM ペメトレキセド
CPT-11 イリノテカン PTX パクリタキセル
DTX ドセタキセル VNR ビノレルビン
GEM ゲムシタビン
プラチナ製剤 CDDPとCBDCAの総称
第1・2世代のEGFR-TKI ゲフィチニブ・エルロチニブ・アファチニブの総称
ALK anaplastic lymphoma kinase 未分化リンパ腫キナーゼ
ECOG eastern cooperative oncology group 米国東海岸癌臨床試験グループ
EGFR epidermal growth factor receptor 上皮成長因子受容体
ORR objective response rate 客観的奏効率
OS overall survival 全生存期間
PFS progression free survival 無増悪生存期間
PS performance status 一般状態
QOL quality of life 生活の質
TKI tyrosine kinase inhibitor チロシンキナーゼ阻害剤
ECOG(Eastern Cooperative Oncology Group)Performance Status
Score 定 義
0 全く問題なく活動できる。
発病前と同じ日常生活が制限なく行える。
1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。例:軽い家事、事務作業
2 歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない。
日中の50%以上はベッド外で過ごす。
3 限られた自分の身の回りのことしかできない。
日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす。
4 全く動けない。
自分の身の回りのことは全くできない。
完全にベッドか椅子で過ごす。

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999
(JCOGホームページhttp://www.jcog.jp/より引用)

高齢者の定義
 日本における高齢者の定義は70~75歳以上とされており,2010年版の肺癌診療ガイドラインでは70歳以上を高齢者と定義していた。
 しかしながら,日本の臨床試験においては75歳以上の患者が除外されていることが多く,75歳以上の高齢者のデータは少ない。また,近年の70歳以上の高齢者を対象とした第3世代抗癌剤単剤とプラチナ製剤併用療法を比較した2編の第Ⅲ相試験において両試験とも登録された患者の多くが75歳以上であった。
 以上より,本ガイドラインでは「75歳以上」を高齢者と定義する。
維持療法(Maintenance)の定義
  • Switch maintenance:プラチナ併用化学療法による導入療法後,導入療法で使用した薬剤とは別の薬剤に切り替えて投与する方法。
  • Continuation maintenance:プラチナ併用化学療法による導入療法後,プラチナ製剤と併用した薬剤を継続して投与する方法。

樹形図

Ⅳ期非小細胞肺癌の1次治療 非扁平上皮癌ALK遺伝子転座陽性 非扁平上皮癌,ALK遺伝子転座陽性:PS 0-1,75歳未満/PS 0-1,75歳以上/PS 2 非扁平上皮癌,ALK遺伝子転座陽性:PS 0-1,75歳未満/PS 0-1,75歳以上/PS 2 非扁平上皮癌,ALK遺伝子転座陽性:PS 3-4
Ⅳ期非小細胞肺癌の1次治療 非扁平上皮癌ROS1遺伝子転座陽性 非扁平上皮癌,ROS1遺伝子転座陽性:PS 0-2 非扁平上皮癌,ROS1遺伝子転座陽性:PS 3-4
Ⅳ期非小細胞肺癌の1次治療 非扁平上皮癌EGFR遺伝子変異,ALK遺伝子転座,ROS1遺伝子転座陰性もしくは不明 非扁平上皮癌(EGFR遺伝子変異陰性,ALK遺伝子転座陰性,ROS1遺伝子転座陰性,もしくは不明),PD-L1≧50%:PS 0-1 非扁平上皮癌(EGFR遺伝子変異陰性,ALK遺伝子転座陰性,ROS1遺伝子転座陰性,もしくは不明),PD-L1<50%:PS 0-1,75歳未満 非扁平上皮癌(EGFR遺伝子変異陰性,ALK遺伝子転座陰性,ROS1遺伝子転座陰性,もしくは不明),PD-L1<50%:PS 0-1,75歳以上 非扁平上皮癌(EGFR遺伝子変異陰性,ALK遺伝子転座陰性,ROS1遺伝子転座陰性,もしくは不明):PS 2 非扁平上皮癌(EGFR遺伝子変異陰性,ALK遺伝子転座陰性,ROS1遺伝子転座陰性,もしくは不明):PS 3-4
Ⅳ期非小細胞肺癌の1次治療 扁平上皮癌 扁平上皮癌,PD-L1≧50%:PS 0-1 扁平上皮癌,PD-L1<50%:PS 0-1,75歳未満 扁平上皮癌,PD-L1<50%:PS 0-1,75歳以上 扁平上皮癌:PS 2 扁平上皮癌:PS 3-4
5-1.Ⅳ期非小細胞肺癌の1次化学療法
推 奨
ECOG PS 0-2で全身状態良好なⅣ期非小細胞肺癌患者に対する化学療法は生存期間を延長し,QOLも改善することから,行うよう勧められる。(グレードA)
エビデンス
 メタアナリシスによって細胞障害性抗癌剤が緩和治療に対して有意に生存に寄与していることが示されている1)。これは1年生存率にして9%(20%から29%)の改善,もしくは約1.5カ月のOS延長に値する。第3世代抗癌剤を用いたレジメンの検討では,第3世代単剤治療でも緩和治療に比して1年生存率で約7%の改善を示していることを示された2)
 毒性については,別のメタアナリシスで進行非小細胞肺癌における化学療法の治療関連死が1.26%であったと報告されており,その内訳は発熱性好中球減少,虚血や血栓などの心血管系の毒性,肺炎や間質性肺障害などの肺毒性であった3)
 QOLに関しては,第3世代抗癌剤単剤は緩和治療と比較してQOLが改善することが報告されている4)。GEMとCBDCA+GEMの第Ⅲ相試験では,後者がOS・PFS延長を示すと同時にQOLは同等であったとしている5)。ゲフィチニブ単剤はEGFR遺伝子変異陽性患者を対象としたCBDCA+PTXとの第Ⅲ相試験においてQOL指標の一部が有意に優れていたことが示されている6)
 以上より,ECOG PS 0-2で全身状態良好なⅣ期非小細胞肺癌患者に対する化学療法は,治療関連死を含む毒性のリスクはあるが生存期間を延長しQOLを改善することより行うよう勧められる。
5-2.非扁平上皮癌,EGFR遺伝子高感受性変異(エクソン19の欠失またはL858R変異):PS 0-1,75歳未満
推 奨

a.EGFR-TKI単剤(ゲフィチニブ,エルロチニブ,アファチニブのいずれか)を行うよう勧められる。(グレードA)

b.1次治療で推奨される細胞障害性抗癌剤を行うよう勧められる。(グレードB)

c.エルロチニブ+ベバシズマブを行うように考慮してもよい。(グレードC1)

エビデンス
a・b・c.
EGFR遺伝子変異の約90%を占めるエクソン19の欠失変異とエクソン21のL858R変異はEGFR-TKIの感受性を高める7)。進行非小細胞肺癌を対象にしたEGFR-TKI単剤(ゲフィチニブ,エルロチニブ,アファチニブ)とプラチナ製剤併用療法の比較第Ⅲ相試験におけるEGFR遺伝子変異の患者はエクソン19の欠失変異とL858R変異に限定されているか8)~10),大部分を占めていた11)~13)。すべての試験において一貫してEGFR-TKI単剤のプラチナ製剤併用療法に対するPFSの有意な延長が報告され,QOL指標の一部が改善することも示されている6)。以上より,PS 0-1,75歳未満に対しては,EGFR-TKI単剤を推奨グレードAとし,1次治療で推奨される細胞障害性抗癌剤を推奨グレードBとした。
 EGFR-TKI単剤のプラチナ製剤併用療法に対するOSの差は示されていない10)14)。大規模研究において,1次から3次治療のエルロチニブ単剤のPFSに有意差を認めないことが報告されている15)。ただしアファチニブの2つの第Ⅲ相試験の統合解析ではエクソン19の欠失変異を有する患者はアファチニブがプラチナ製剤併用療法に対してOSの差を示した13)。EGFR遺伝子変異陽性患者において,全治療期間におけるEGFR-TKI単剤と細胞障害性抗癌剤の投与順序に関しては,現時点で明確な結論はないが,EGFR遺伝子変異陽性患者に対してはEGFR-TKI単剤による治療を逸しないことが推奨される。
 EGFR-TKI同士を直接比較した第Ⅲ相試験はない。ランダム化第Ⅱ相試験では,アファチニブがゲフィチニブに対して,エルロチニブ+ベバシズマブがエルロチニブに対して,PFSの延長が示されたものの,毒性はより高度であった16)17)。後者の試験において,ORRは69% vs 64%と差がなかったものの,PFSは16.0カ月vs 9.7カ月(HR 0.54, P=0.0015)と延長していた。毒性については併用群でベバシズマブ関連の有害事象が認められている。現時点で第Ⅱ相試験1本の結果であり,OSなどの長期データが不十分であることから,推奨グレードはC1とする。
 EGFR-TKIの主な毒性は,下痢,皮疹,爪囲炎,肝機能障害などであり,各々の薬剤で毒性の頻度や重症度が異なることが報告されているが,休薬や減量を行うことで長期間の服用が可能であることが示されている8)9)12)13)18)
5-3.非扁平上皮癌,EGFR遺伝子高感受性変異(エクソン19の欠失またはL858R変異):PS 0-1,75歳以上
推 奨

a.ゲフィチニブ単剤またはエルロチニブ単剤を行うよう勧められる。(グレードA)

b.1次治療で推奨される細胞障害性抗癌剤を行うよう勧められる。(グレードB)

エビデンス
a・b.
75歳以上のEGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺癌を対象とした国内でのゲフィチニブ単剤の第Ⅱ相試験において,ORR 74%,PFS 12.3カ月と若年者と同等の有効性と安全性が報告されている18)。エルロチニブ単剤については国内での第Ⅱ相試験において,75歳超と75歳以下で同等の有効性が示されている19)。アファチニブ単剤に関しては第Ⅲ相試験におけるサブグループ解析において,65歳以上は65歳未満と同等の有効性が報告されているが,75歳以上の高齢者における安全性の検討は十分ではない12)20)。以上より,PS 0-1,75歳以上の高齢者に対しては,ゲフィチニブ単剤またはエルロチニブ単剤を推奨グレードAとし,1次治療で推奨される細胞障害性抗癌剤を推奨グレードBとした。
 EGFR-TKIの主な毒性は,下痢,皮疹,爪囲炎,肝機能障害などであり,各々の薬剤で毒性の頻度や重症度が異なることが報告されているが,休薬や減量を行うことで長期間の服用が可能であることが示されている8)9)11)12)20)21)。一方,高齢は間質性肺炎発症の危険因子であることが報告されており注意が必要である22)
5-4.非扁平上皮癌,EGFR遺伝子高感受性変異(エクソン19の欠失またはL858R変異):PS 2
推 奨

a.ゲフィチニブ単剤またはエルロチニブ単剤を行うよう勧められる。(グレードA)

b.1次治療で推奨される細胞障害性抗癌剤を行うよう勧められる。(グレードB)

エビデンス
a・b.
EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺癌を対象としたエルロチニブ単剤とプラチナ製剤併用療法の2つの第Ⅲ相試験において,PS 2は各々7%,14%含まれておりPS 0-1と同等の有効性が示されている9)21)。また,ゲフィチニブ単剤はPS不良例に対する有効性が報告されている18)23)。アファチニブ単剤に関しては,PS 2に対する安全性・有効性の検討は十分ではない12)20)。以上より,PS 2に対しては,ゲフィチニブ単剤またはエルロチニブ単剤を推奨グレードAとし,1次治療で推奨される細胞障害性抗癌剤を推奨グレードBとした。
 EGFR-TKIの主な毒性は,下痢,皮疹,爪囲炎,肝機能障害などであり,各々の薬剤で毒性の頻度や重症度が異なることが報告されているが,休薬や減量を行うことで長期間の服用が可能であることが示されている8)9)11)12)20)21)。一方,PS 2以上は間質性肺炎発症の危険因子であることが報告されており注意が必要である22)24)
5-5.非扁平上皮癌,EGFR遺伝子高感受性変異(エクソン19の欠失またはL858R変異):PS 3-4
推 奨
ゲフィチニブ単剤を行うよう考慮してもよい。(グレードC1)
エビデンス
 PS 3-4に対しては細胞障害性抗癌剤の適応はない。
 EGFR遺伝子変異陽性でPS 3-4が大多数を占める予後不良群を対象としてゲフィチニブ単剤の投与が行われ,80%近くでPSが改善し,ORR 66%,OS 17.8カ月,PFS 6.5カ月と極めて良好な治療効果が得られたとされた23)。一方でPS不良,男性,喫煙歴,既存の間質性肺炎,正常肺領域が少ないもの,心疾患を合併したものなどで間質性肺障害発症のリスクが高いことが報告されており22)24),慎重な検討も必要である。よって,PS 3-4に対してはゲフィチニブ単剤を推奨グレードC1とした。
5-6.非扁平上皮癌,EGFR遺伝子のエクソン18-21の遺伝子変異(エクソン19欠失・L858R変異を除く):PS 0-1
推 奨

a.1次治療で推奨される細胞障害性抗癌剤を行うよう勧められる。(グレードA)

b.エクソン18-21の遺伝子変異(エクソン19欠失・L858R変異を除く)にはEGFR-TKI(ゲフィチニブ,エルロチニブ,アファチニブ)による治療を考慮してもよい。(グレードC1)

エビデンス
a.
EGFR遺伝子変異の約90%をエクソン19の欠失変異,エクソン21のL858R変異が占める7)。その他の遺伝子変異はuncommon mutationと称され,エクソン18-21にわたり(E709X,G719X,S768I,P848L,L861Q,エクソン19の挿入変異など)が報告されている。これらの変異でもEGFR-TKIの感受性を上げるが奏効率はやや劣ると報告されている25)。第Ⅲ相試験の多くは,これらの変異を除外したり8)~10),1割程度しか占めていない11)~13)。奏効率もエクソン19の欠失変異やL858Rと比べると相対的に低いことから,細胞障害性抗癌剤をグレードAとした。
b.
T790Mとエクソン20の挿入変異以外のuncommon mutationではEGFR-TKIにても48~71%の奏効率が得られている25)26)。なかでもアファチニブの奏効率は71.1%とゲフィチニブやエルロチニブより高い傾向にあった26)。以上からEGFR-TKIによる治療を考慮してもよいと考えグレードC1とした。EGFR-TKI同士の優越を比較した試験はないために,薬剤による効果の違いは推奨度に加味していない。
 エクソン20のT790Mと挿入変異はEGFR遺伝子変異による効果は限定的である。T790Mは耐性変異として同定されており,ゲフィチニブ,エルロチニブ,アファチニブは臨床上,効果が乏しい。オシメルチニブの効果が示されているものの,初回治療としてのエビデンスはない26)27)(2次治療を参照)。エクソン20の挿入変異の報告は少なく奏効例も限定的であることからEGFR-TKIを初回治療として使うことは推奨されない26)28)

*Uncommon mutationがある場合は,エクソン19の欠失とL858R変異が同時にあったとしても,uncommon mutationに分類した。

5-7.非扁平上皮癌,EGFR遺伝子のエクソン18-21の遺伝子変異(エクソン19欠失・L858R変異を除く):PS 2-4
推 奨
非扁平上皮癌,EGFR遺伝子変異,ALK遺伝子転座,ROS1遺伝子転座陰性もしくは不明に従う。
エビデンス
 PS不良であってもエクソン19欠失とL858RのEGFR遺伝子変異にはEGFR-TKIが有効であることが示されたように,エクソン18-21の遺伝子変異(エクソン19欠失・L858R変異を除く)・PS不良例においてもEGFR-TKIが有効的である可能性はあるが,PS 2-4に関してはこれまでの臨床試験で有効性・安全性に関するデータは乏しい。EGFR-TKIによる有害事象も報告されており,PS不良例における安全性については慎重に検討していく必要がある。
 以上より,EGFR遺伝子のエクソン18-21の遺伝子変異(エクソン19欠失・L858R変異を除く)・PS 2-4に対するEGFR-TKIは現時点では行うように勧めるだけの根拠が明確ではない。以上より治療方針は非扁平上皮癌,EGFR遺伝子変異,ALK遺伝子転座,ROS1遺伝子転座陰性もしくは不明に従うとした。
5-8.非扁平上皮癌,ALK遺伝子転座陽性:PS 0-1,75歳未満/PS 0-1,75歳以上/PS 2
推 奨

a.アレクチニブ単剤を行うよう勧められる。(グレードA)

b.クリゾチニブ単剤を行うよう勧められる。(グレードB)

c.1次治療で用いられる細胞障害性抗癌剤を行うことを考慮してもよい。(グレードC1)

エビデンス
a・b・c.
1次治療としてALK遺伝子転座陽性の進行非小細胞肺癌を対象にしたクリゾチニブとプラチナ製剤併用療法の比較第Ⅲ相試験が行われ,PFSは10.9カ月vs 7.0カ月(HR 0.45,95%CI:0.35-0.60;P<0.0001),ORRも74% vs 45%とクリゾチニブのプラチナ製剤併用療法に対するPFSの有意な延長が報告された29)。2016年のASCOではアレクチニブがクリゾチニブよりもPFSが未到達vs 10.2カ月(HR 0.34,95%CI:0.17-0.71,P<0.0001)と延長することが報告された30)。主要評価項目であるPFSの延長が日本の第Ⅲ相試験で示されたので推奨グレードAとした。あわせてクリゾチニブを推奨グレードB,1次治療で推奨される細胞障害性抗癌剤を推奨グレードC1とした。
5-9.非扁平上皮癌,ALK遺伝子転座陽性:PS 3-4
推 奨
ALK-TKIは行うよう勧めるだけの根拠が明確ではない。(グレードC2)
エビデンス
 PS 3-4に対する細胞障害性抗癌剤の適応はない。
 EGFR遺伝子変異陽性・PS不良例においてEGFR-TKIの有効性が示されたように,ALK遺伝子転座陽性・PS不良例においてもALK-TKIの有効性が期待できる可能性はあるが,PS不良例に関してはこれまでの臨床試験で数例の参加が確認されるのみで有効性・安全性に関するデータは乏しい。ALK-TKIによる有害事象も報告されており,PS不良例における安全性については慎重に検討していく必要がある。
 以上より,ALK遺伝子転座陽性・PS 3-4に対するALK-TKIは現時点では行うよう勧めるだけの根拠が明確ではなく,推奨グレードはC2とした。
5-10.非扁平上皮癌,ROS1遺伝子転座陽性:PS 0-2
推 奨

a.クリゾチニブ単剤を行うよう勧められる。(グレードA)

b.1次治療で用いられる細胞障害性抗癌剤を行うよう勧められる。(グレードB)

エビデンス
a・b.
ROS1遺伝子転座ではクリゾチニブの効果が複数報告されている。米国を中心とした試験では50人が参加し,奏効割合は72%,PFS 19.2カ月であった31)。東アジアで実施された試験では127人が登録され,奏効割合69.3%,PFS 13.4カ月であった32)。これらはクリゾチニブのALK阻害薬に対する効果と同等以上であり,ドライバー遺伝子に対する分子標的薬の他剤の効果と併せてグレードAとした。1次治療で推奨される細胞障害性抗癌剤を推奨グレードBとした。
 PS 2の患者については,米国を中心とした試験は1例のみ登録されている。アジアの試験はPS 0-1が対象であった。PS 2のROS1患者に対してクリゾチニブが有効である試験結果はないが,他の分子標的治療薬と同様にクリゾチニブが有効である可能性が高いので,推奨グレードはAとした。

*本稿執筆時点(2016年11月1日)で,ROS1遺伝子転座陽性例に対するクリゾチニブは本邦で保険償還されていない。承認後の使用に際しては添付文書の記載をよく確認すること。

5-11.非扁平上皮癌,ROS1遺伝子転座陽性:PS 3-4
推 奨
クリゾチニブは行うよう勧めるだけの根拠が明確ではない。(グレードC2)
エビデンス
 PS 3-4に対する細胞障害性抗癌剤の適応はない。
 EGFR遺伝子変異陽性・PS不良例においてEGFR-TKIの有効性が示されたように,ROS1遺伝子転座陽性・PS不良例においてもクリゾチニブの有効性が期待できる可能性はあるが,PS不良例に関してはこれまでの臨床試験で数例の参加が確認されるのみで有効性・安全性に関するデータは乏しい。クリゾチニブによる有害事象も報告されており,PS不良例における安全性については慎重に検討していく必要がある。
 以上よりクリゾチニブは現時点では行うよう勧めるだけの根拠が明確ではなく,推奨グレードはC2とした。

*本稿執筆時点(2016年11月1日)で,ROS1遺伝子転座陽性例に対するクリゾチニブは本邦で保険償還されていない。承認後の使用に際しては添付文書の記載をよく確認すること。

5-12.非扁平上皮癌(EGFR遺伝子変異陰性,ALK遺伝子転座陰性,ROS1遺伝子転座陰性,もしくは不明),PD-L1≧50%:PS 0-1
推 奨

a.PD-L1陽性細胞≧50%ではペムブロリズマブ単剤を行うように勧められる。(グレードA)

b.1次治療で用いられる細胞障害性抗癌剤を行うよう勧められる。(グレードB)

エビデンス
a.
EGFR変異やALK転座がなく,PD-L1陽性細胞が50%以上のPS 0または1のⅣ期非小細胞肺癌患者を対象として,ペムブロリズマブ単剤200 mg/body 3週毎または細胞障害性抗癌剤を比較する第Ⅲ相試験が行われ305人がランダム化された。細胞障害性抗癌剤群の患者66人(43.7%)がペムブロリズマブ単剤へクロスオーバーした。主要評価項目はPFS,副次評価項目はOS,ORRであった。中間解析の結果がESMO2016で発表され,ペムブロリズマブvs細胞障害性抗癌剤はPFS中央値10.3 vs 6.0カ月(HR 0.50, 95%CI:0.37-0.68,P<0.001),OSは中央値が得られず(HR 0.60,95%CI:0.41-0.89,P=0.005),2年生存率は80.2 vs 72.4%,ORR 44.8 vs 27.8%であった33)。以上からPD-L1陽性細胞が50%以上が確認された患者では初回化学療法としてペムブロリズマブ単剤が勧められる。
b.
EGFR遺伝子変異陰性,ALK遺伝子転座陰性,ROS1遺伝子転座陰性もしくは不明でPD‒L1≧50%に対しては,ペムブロリズマブが可能な場合はグレードAとして推奨するために,従来の細胞障害性抗癌剤はグレードBとした。

*本稿執筆時点(2016年11月1日)で,化学療法未治療例に対するペムブロリズマブは本邦で保険償還されていない。承認後の使用に際しては添付文書の記載をよく確認すること。

5-13.非扁平上皮癌(EGFR遺伝子変異陰性,ALK遺伝子転座陰性,ROS1遺伝子転座陰性,もしくは不明),PD-L1<50%:PS 0-1,75歳未満
推 奨
〈レジメン〉

a.プラチナ製剤と第3世代以降の抗癌剤併用を行うよう勧められる。(グレードA)

b.ベバシズマブはリスクを考慮し,適応と考えられる非扁平上皮癌ではプラチナ製剤併用療法に追加するよう勧められる。(グレードB)

〈投与期間〉

c.プラチナ製剤併用療法の投与期間は6コース以下とするよう勧められる。(グレードA)

〈維持療法〉

d.PS 0-1に対するシスプラチン+ペメトレキセド併用療法4コース後,病勢増悪を認めず毒性も忍容可能なものに対してペメトレキセドによるcontinuation maintenanceを行うよう勧められる。(グレードB)

e.PS 0-1に対するプラチナ製剤併用療法4コース後,病勢増悪を認めず毒性も忍容可能なものに対してペメトレキセドあるいはエルロチニブによるswitch maintenanceを考慮してもよい。(グレードC1)

エビデンス

〈レジメン〉

a.
非/軽喫煙者の進行肺腺癌を対象にしたゲフィチニブ単剤とCBDCA+PTXの第Ⅲ相試験においてEGFR遺伝子変異陽性と陰性でゲフィチニブ単剤のORRに著明な差がみられ(72% vs 1%),PFSにおいても同様の傾向が確認された(9.5カ月vs 1.5カ月)34)35)。EGFR遺伝子変異不明例における6カ月以降のPFSはゲフィチニブ単剤がCBDCA+PTXより優れていたが,両群のPFS曲線が交差しており,この結果からゲフィチニブ単剤の優位性を判断することは困難である。また背景因子による選択のみでは約40%でEGFR遺伝子変異陰性であったことも留意する必要がある。よってEGFR遺伝子変異陰性,不明例に対するEGFR‒TKI単剤は推奨されない。ALK遺伝子転座陰性例,ROS1陰性例に対するクリゾチニブ単剤の有効性は確認されておらず,推奨されない。
 プラチナ製剤併用の薬剤を第2世代と第3世代抗癌剤で比較したメタアナリシスにおいて,後者がORRで12%,1年生存率で6%優ると報告した2)。本邦でも複数の第Ⅲ相試験が行われている。4種類の第3世代抗癌剤とプラチナ製剤併用の第Ⅲ相試験の結果を報告しており,いずれの効果も同等であった36)。S-1の有効性を評価した2つの試験で,CBDCA+S-1はCBDCA+PTXに対して,CDDP+S-1はCDDP+DTXに対する非劣性が示された37)38)。その他,ヒト血清アルブミンとPTXを結合させたナノ粒子製剤であるnab-PTXとCBDCAの併用療法はCBDCA+PTXとの比較第Ⅲ相試験において,有意にORRの上昇を認めた(33.0% vs 25.0%)39)。各レジメンに固有の毒性プロファイルが報告されており,これらも踏まえて選択するべきと考えられる。
 CDDP+PEMとCDDP+GEMの第Ⅲ相試験が行われ,全体では同等の効果であったが組織型による差が認められた。非扁平上皮癌においてはCDDP+PEM群でOS延長(11.8カ月vs 10.4カ月,HR 0.81,P=0.005)を認めたが,扁平上皮癌では逆にCDDP+PEM群でPFS(4.4カ月vs 5.5カ月,HR 1.36,P=0.002),OS(9.4カ月vs 10.8カ月,HR 1.23,P=0.05)ともに劣っていた47)。サブセット解析ではあるが,有効性ならびに毒性の観点から非扁平上皮癌に対するCDDP+PEMをグレードAとした。PEMが非扁平上皮癌に対して有効であり,CBDCAで患者が自覚される毒性がCDDPよりも軽度であることからCBDCA+PEMは実地臨床でも頻用されている。CBDCA+PEMは生存期間を主要評価項目とした比較試験がない。CBDCA+GEM,CBDCA+DTXやCBDCA+PTX+ベバシズマブとの比較試験は生存期間や主要評価項目であった有害事象などで優越性を示されていない48)~50)。しかしながらCBDCA+PTX+ベバシズマブと比較しても生存曲線に大きな差はなく49),ベバシズマブを併用した試験ではCBDCA+PTX+ベバシズマブよりPFSが上回る傾向にあり51),日本での安全性も確認されており52),患者のQOLなどの観点からも,CBDCA+PEMを行うことは許容されると考えレジメンに追記した。
b.
メタアナリシスでは,プラチナ併用療法にベバシズマブを追加することでORRの上昇,PFSの延長が示されており,OSについても延長が認められたとする報告がある40)41)。一方で,ベバシズマブの併用でGrade 3以上の毒性(蛋白尿,高血圧,出血性イベント,好中球減少,発熱性好中球減少,治療関連死)の有意な増加が報告されている40)~42)
 出血リスクに関しては,扁平上皮癌や空洞を有する症例,大血管への浸潤や隣接を認めるもの,その他,喀血・コントロール不能な高血圧,重篤な大血管病変や消化管における活動性出血の既往があるものなどが高リスク群と考えられており,ベバシズマブの投与に際してはその適応を十分に検討する必要がある42)
 CBDCA+PTXにベバシズマブを追加することの有効性を評価した第Ⅲ相試験では,ベバシズマブ併用群でORRの上昇,PFS(6.2カ月vs 4.5カ月,HR 0.66,P<0.001)ならびにOS(12.3カ月vs 10.3カ月,HR 0.79,P=0.003)の有意な延長を認めた43)。一方,CDDP+GEMにベバシズマブを追加した比較試験においては,PFSは有意に延長したがOSでは有意な延長を認めなかった44)
 本邦ではCBDCA+PTXにベバシズマブを追加するランダム化第Ⅱ相試験(JO19907試験)が行われ,併用群においてORRの上昇(60.7% vs 31.0%,P=0.0013),PFSの延長(6.9カ月vs 5.9カ月,HR 0.61,P=0.0090)を認め,新たな毒性は認めなかったがOSについては有意な延長を認めなかった(22.8カ月vs 23.4カ月,P=0.9526)45)。中国において同じレジメンを比較したランダム化第Ⅲ相試験(BEYOND試験)では,ベバシズマブを一次治療以後も継続することが可能なデザインであったが,主要評価項目であるPFSと,副次的評価項目であるOSも延長が認められた46)。CBDCA+PTX+ベバシズマブのレジメンは2つの第Ⅲ相試験で生存期間の延長が認められたことから,CBDCA+PTXにはベバシズマブを追加することが勧められる。
 ベバシズマブの投与についてはその薬剤の特性からプラチナ製剤併用療法の終了後,病勢増悪もしくは毒性中止まで単剤投与を継続する方法が一般的である40)~45)

〈投与期間〉

c.
第3世代抗癌剤とプラチナ製剤との併用について,3コースもしくは4コースを6コースと比較し,いずれにおいても1年生存率やOSは同等で,毒性は前者が軽いと報告された53)54)。6サイクルまたはそれ以下のサイクルを比較した試験の個票データを利用したメタアナリシスでも,6サイクル行ってもOSが上回ることはなかった55)。一方,非扁平上皮癌に対するCDDP+PEMの優越性が示されたCDDP+GEMとの第Ⅲ相試験において,CDDP+PEM群の投与中央値は5コースであった47)

〈維持療法〉

d・e.
プラチナ製剤併用療法後のPEM,エルロチニブを用いたswitch maintenanceの第Ⅲ相試験でPFS・OSの有意な延長が示された56)57)。しかしながら,両試験ともプラセボ群に対する2次療法以降でのクロスオーバーが少ないこと,すなわち,プラセボ群において2次治療以降に有効とされているPEM,エルロチニブが投与されていないことが問題とされている。
 以上より,PEM・エルロチニブによるswitch maintenanceは選択肢の1つと考えられ,推奨グレードはC1とした。
 CDDP+PEM併用療法後のPEMを用いたcontinuation maintenanceの第Ⅲ相試験で,PFSの延長(4.1カ月vs 2.8カ月,HR 0.62,P<0.0001),OSの延長(13.9カ月vs 11.0カ月,HR 0.78,P=0.0195)が示された58)。QOLの低下は認めず,維持療法群において毒性の増強はみられたものの許容範囲内であった。以上より,PEMのcontinuation maintenanceの推奨グレードはBとした。
 ベバシズマブの併用に関しては,CDDP+PEM+ベバシズマブ併用療法後にPEM+ベバシズマブ群とベバシズマブ単独群の第Ⅲ相試験が行われ,前者でPFSの有意な延長(7.4カ月vs 3.7カ月,HR 0.48,P<0.0001)は認めたが,OSの有意な延長は認めなかった59)
5-14.非扁平上皮癌(EGFR遺伝子変異陰性,ALK遺伝子転座陰性,ROS1遺伝子転座陰性,もしくは不明),PD-L1<50%:PS 0-1,75歳以上
推 奨

a.暦年齢のみで化学療法の対象外とするべきではない。(グレードA)

〈レジメン〉

b.第3世代抗癌剤単剤を行うよう勧められる。(グレードA)

c.カルボプラチン併用療法を考慮してもよい。(グレードC1)

d.ベバシズマブ併用は行うよう勧めるだけの根拠が明確ではない。(グレードC2)

エビデンス
a.
化学療法1次治療の第Ⅲ相試験と術後補助療法を対象とした検討では,65歳以上と以下で治療効果の差は認めず,暦年齢よりも日常生活自立度が予後に関係していた60)。また80歳以上でもPS良好のものは80歳以下と比べて効果・毒性に明らかな差は認めなかったと報告されている61)

〈レジメン〉

b.
高齢者においては緩和治療と比較してVNRが有効であること,VNRと比較してGEMが同様の有効性を示すことが確認されている62)63)。その後本邦で行われた第Ⅲ相試験(WJTOG9904試験)においてDTXはVNRに対し有意差は認めなかったもののPFS 5.5カ月,OS 14.3カ月と良好な結果を示した64)。以上より,高齢者に対する標準治療はDTXをはじめとした第3世代抗癌剤単剤と考えられる。
c.
高齢者に対するプラチナ製剤併用療法については第Ⅱ相試験や第Ⅲ相試験のサブセットから様々な報告がなされてきたが明確な結論には至っていない65)
 近年高齢者を対象とした第3世代抗癌剤単剤とプラチナ製剤併用療法を比較した第Ⅲ相試験が2編報告され,両試験とも登録された患者の多くが75歳以上であった。JCOG0803/WJOG4307L試験はweekly CDDP+DTXとDTXの比較であるが,この試験では中間解析において併用療法が単剤治療の成績を上回らないことが示され,試験中止となった66)。IFCT0501試験はCBDCA+weekly PTXとGEMもしくはVNRの比較であり,PFS,OSにおける併用療法の優越性が示された(PFS:6.0カ月vs 2.8カ月,P<0.0001,OS:10.3カ月vs 6.2カ月,P<0.001)67)。しかしながらこの成績は上記bに述べた本邦での単剤治療の成績を大きく上回っているとはいえず,併用群における治療関連死が4.4%と高いなどの問題点が指摘されている。また投与量も本邦における標準的なものとは異なっており,データの解釈には注意を要する。
 以上より,PS 0-1の75歳以上に対してCBDCA併用療法は選択肢の1つと考えられ,推奨グレードはC1とした。
d.
高齢者におけるプラチナ製剤併用療法+ベバシズマブについて,E4599試験におけるサブセット解析で70歳以上の高齢者では効果の上乗せは認められず,若年に比してGrade 3以上の好中球減少・出血・蛋白尿が多かったとされている68)。米国における観察研究(ARIES)では70歳未満と70歳以上で効果は同等であったが,後者でGrade 3以上の動脈血栓塞栓症が増える傾向にあり,80歳以上ではさらに高かった(70歳未満:1.2%,70歳以上:3.2%,80歳以上:4.1%)69)。一方,欧州を中心に施行された観察研究(SAiL)では,70歳未満と70歳以上で有効性は同等で毒性の増強は認めなかったと報告されている70)
 本邦においては75歳以上の高齢者におけるベバシズマブ併用療法の十分なデータはなく,有効性や安全性は確認されていない。以上より,現時点では高齢者に対するベバシズマブ併用を行うよう勧めるだけの根拠が明確ではなく,推奨グレードはC2とした。
5-15.非扁平上皮癌(EGFR遺伝子変異陰性,ALK遺伝子転座陰性,ROS1遺伝子転座陰性,もしくは不明):PS 2
推 奨
〈レジメン〉

a.第3世代抗癌剤単剤を行うよう勧められる。(グレードA)

b.プラチナ製剤併用療法を考慮してもよい。(グレードC1)

c.第3世代抗癌剤併用は行うよう勧めるだけの根拠が明確ではない。(グレードC2)

d.ベバシズマブは行うよう勧めるだけの根拠が明確ではない。(グレードC2)

エビデンス
 PS 2は多様な集団であり標準治療は定まっていない。
 しかし,化学療法と緩和治療を比較したメタアナリシスのサブセットにおいて,PSにかかわらず化学療法によるOSの延長が認められている〔PS 2以上の場合,化学療法によって1年生存率にして6%(8%から14%)の改善〕1)

〈レジメン〉

a.
メタアナリシスにおいて第3世代抗癌剤(DTX・PTX・VNR・GEM)単剤治療は緩和治療に比して1年生存率で約7%の改善が示されているが2),この中にPS 2以上は約30%含まれていた。また,この解析でも取り上げられた3つの試験においてPS 2のサブセットの治療成績が明らかになっており,いずれもOSが延長する傾向が確認されている71)
b.
PS 2患者のサブセット解析が報告されており,CBDCA+PTXはPTX単剤に対して1年生存率で有意に上回っていた(18% vs 10%,HR 0.60,P=0.016)72)。PS 2に対するCBDCA+PTXとCDDP+GEMの比較では,OSはそれぞれ6.2,6.9カ月と良好であり,毒性に関しても忍容可能と考えられた73)。CBDCA+GEMとGEM単剤の比較が行われ,有意差は認められなかったものの併用群でOS(6.7カ月vs 4.8カ月,P=0.49),PFS(4.1カ月vs 3.0カ月,P=0.36)の延長傾向が示された74)。205例と小規模で扁平上皮癌を含む患者を対象としたCBDCA+PEMとPEM単剤の第Ⅲ相試験が行われ,併用群でPFS(5.9カ月vs 3.0カ月,HR 0.46,P<0.001),OS(9.1カ月vs 5.6カ月,HR 0.57,P=0.001)の有意な延長が認められた。毒性に関しては併用群で貧血や好中球減少の頻度が高く,3.9%の治療関連死が認められた75)
 以上より,毒性が耐用可能と思われるPS 2に対してはプラチナ製剤併用療法を考慮してもよいが,PS 2に関するエビデンスは少なく,そのほとんどがCBDCA併用レジメン,もしくは通常より減量した用量が用いられていることに注意が必要であり,推奨グレードはC1とした。
c.
PS 2に対する第3世代抗癌剤併用のエビデンスは少ない。weekly DTXとDTX+GEMの比較第Ⅱ相試験が行われ,約35%を占めたPS 2患者において併用によるOS延長は認めず(2.9カ月vs 3.8カ月,P=0.62),毒性が増強していた76)。よって,行うよう勧めるだけの根拠が明確ではなく,推奨グレードはC2とした。
d.
ベバシズマブ併用の臨床試験ならびに観察研究においてその大半がPS 0-1であり,PS 2に対するベバシズマブの安全性や有効性に関してのデータは少ない40)~42)。よって,PS 2に対するベバシズマブは行うよう勧めるだけの根拠が明確ではなく,推奨グレードはC2とした。
5-16.非扁平上皮癌(EGFR遺伝子変異陰性,ALK遺伝子転座陰性,ROS1遺伝子転座陰性,もしくは不明):PS 3-4
推 奨
化学療法は行わないよう勧められる。(グレードD)
エビデンス
 PS 3-4に対する細胞障害性抗癌剤の適応はない。
 PS不良や合併症のため細胞障害性抗癌剤の適応とならない進行非小細胞肺癌に対してエルロチニブ単剤と緩和治療の第Ⅲ相試験が行われた77)。患者背景として年齢中央値77歳,PS 3が30%を占め,EGFR遺伝子変異については陰性,不明がそれぞれ52%,46%であった。この試験においてOSの延長がみられなかったことから,EGFR遺伝子変異陰性もしくは不明のPS 3-4についてEGFR-TKI単剤も推奨されない。
 以上より,EGFR遺伝子変異,ALK遺伝子転座,ROS1遺伝子転座陰性もしくは不明の非扁平上皮癌でPS 3-4については化学療法は勧められない。
5-17.扁平上皮癌,PD-L1≧50%:PS 0-1
推 奨

a.PD-L1陽性細胞≧50%ではペムブロリズマブ単剤を行うように勧められる。(グレードA)

b.1次治療で用いられる細胞障害性抗癌剤を行うよう勧められる。(グレードB)

エビデンス
a.
EGFR変異やALK転座がなく,PD-L1陽性細胞が50%以上のPS 0または1のⅣ期非小細胞肺癌患者を対象として,ペムブロリズマブ単剤200mg/body 3週毎または細胞障害性抗癌剤を比較する第Ⅲ試験が行われ305人がランダム化された。細胞障害性抗癌剤群の患者66人(43.7%)がペムブロリズマブ単剤へクロスオーバーした。主要評価項目はPFS,副次評価項目はOS,ORRであった。中間解析の結果がESMO2016で発表され,ペムブロリズマブvs 細胞障害性抗癌剤はPFS中央値10.3 vs 6.0カ月(HR 0.50, 95%CI:0.37-0.68,P<0.001),OSは中央値が得られず(HR 0.60,95%CI:0.41-0.89,P=0.005),2年生存率は80.2 vs 72.4%,ORR 44.8 vs 27.8%であった33)。以上からPD-L1陽性細胞が50%以上が確認された患者では初回化学療法としてペムブロリズマブ単剤が勧められる。
b.
PS 0-1,75歳未満/PS 0-1,75歳以上の項目を参照。

*本稿執筆時点(2016年11月1日)で,化学療法未治療例に対するペムブロリズマブは本邦で保険償還されていない。承認後の使用に際しては添付文書の記載をよく確認すること。

5-18.扁平上皮癌,PD-L1<50%:PS 0-1,75歳未満
推 奨
〈レジメン〉

a.プラチナ製剤と第3世代以降の抗癌剤併用を行うよう勧められる。(グレードA)

b.ペメトレキセドは行わないよう勧められる。(グレードD)

c.ベバシズマブは行わないよう勧められる。(グレードD)

〈投与期間〉

d.プラチナ製剤併用療法の投与期間は基本的に6コース以下とすることが勧められる。(グレードA)

〈維持療法〉

e.PS 0-1に対するプラチナ製剤併用療法4コース後,病勢増悪を認めず毒性も忍容可能なものに対してswitch maintenance,continuation maintenanceともに行うよう勧めるだけの根拠が明確ではない。(グレードC2)

エビデンス

〈レジメン〉

a.
プラチナ製剤併用の薬剤を第2世代と第3世代抗癌剤で比較したメタアナリシスにおいて,後者がORRで12%,1年生存率で6%優ると報告した2)。ネダプラチン+DTXとCDDP+DTXの比較第Ⅲ相試験が本邦で実施され,OSの有意な延長が認められた(13.6カ月vs 11.4カ月,HR 0.81,P=0.037)。毒性はプロファイルが異なり,ネダプラチン群では白血球減少・好中球減少・血小板減少が多く,CDDP群では悪心・倦怠感・低ナトリウム血症・低カリウム血症が多かった。第3世代以降の抗癌剤併用で唯一の優越性が示されたレジメンであり有望なレジメンである78)。その他に本邦で複数の第Ⅲ相試験が行われている。4種類の第3世代抗癌剤とプラチナ製剤併用の第Ⅲ相試験の結果が報告されており,いずれの効果も同等であった36)。またCBDCA+S-1のCBDCA+PTXに対する非劣性が報告され,CDDP+S-1のCDDP+DTXに対する非劣性も報告されている37)38)。ヒト血清アルブミンとPTXを結合させたナノ粒子製剤であるnab-PTXとCBDCAの併用療法は,CBDCA+PTXとの比較第Ⅲ相試験において,有意にORRの上昇を認めた(33.0% vs 25.0%)39)。各レジメンに固有の毒性プロファイルが報告されている。
b.
CDDP+PEMとCDDP+GEMの第Ⅲ相試験が行われ,全体では同等の効果であったが組織型による差が認められた。非扁平上皮癌においてはCDDP+PEM群でOS延長(11.8カ月vs 10.4カ月, HR 0.81, P=0.005)を認めたが,扁平上皮癌では,逆にCDDP+PEM群でPFS(4.4カ月vs 5.5カ月, HR 1.36, P=0.002),OS(9.4カ月vs 10.8カ月, HR 1.23, P=0.05)ともに劣っていた47)。組織型によるPEMの効果の違いについてはPEM単剤を用いた第Ⅲ相試験も併せて解析され,上記同様の傾向が確認されている79)。以上より,PEMは扁平上皮癌に対して行わないよう勧められる。
c.
ベバシズマブの第Ⅱ相試験においてGrade 3以上の肺胞出血が9.1%に認められ,出血リスクに関する検討が行われた。現在のところ,扁平上皮癌や空洞を有する症例,大血管への浸潤や隣接を認めるもの,その他喀血・コントロール不能な高血圧,重篤な大血管病変や消化管における活動性出血の既往があるものなどが高リスク群と考えられており42),ベバシズマブは扁平上皮癌に対して行わないよう勧められる。

〈投与期間〉

d.
第3世代抗癌剤とプラチナ製剤との併用について,3コースもしくは4コースと6コースが比較され,いずれにおいても1年生存率やOSは同等で,毒性は前者が軽いと報告された53)54)。一方,非扁平上皮癌に対するCDDP+PEMの優越性が示されたCDDP+GEMとの第Ⅲ相試験において,CDDP+PEM群の投与中央値は5コースであった47)

〈維持療法〉

e.
プラチナ製剤併用療法後のPEM,エルロチニブを用いたswitch maintenanceの第Ⅲ相試験でPFS,OSの延長が示されたが,扁平上皮癌のサブセットにおいてはOSにおける有意差が消失していた56)57)。扁平上皮癌に対するswitch maintenanceは推奨するだけの根拠に乏しく,推奨グレードはC2とした。Continuation maintenanceについても扁平上皮癌に対する有効性は示されておらず,推奨グレードはC2とした。
5-19.扁平上皮癌,PD-L1<50%:PS 0-1,75歳以上
推 奨

a.暦年齢のみで化学療法の対象外とするべきではない。(グレードA)

〈レジメン〉

b.第3世代抗癌剤単剤を行うよう勧められる。(グレードA)

c.カルボプラチン併用療法を考慮してもよい。(グレードC1)

d.ペメトレキセドは行わないよう勧められる。(グレードD)

e.ベバシズマブは行わないよう勧められる。(グレードD)

エビデンス
a.
化学療法1次治療の第Ⅲ相試験と術後補助療法を対象とした検討では,65歳以上と以下で治療効果の差は認めず,暦年齢よりも日常生活自立度が予後に関係していた60)。また80歳以上でもPS良好のものは80歳以下と比べて効果・毒性に明らかな差は認められなかったと報告されている61)

〈レジメン〉

b.
高齢者においては緩和治療と比較してVNRが有効であること,VNRと比較してGEMが同様の有効性を示すことが確認されている62)63)。その後本邦で行われた第Ⅲ相試験においてDTXはVNRに対し有意差は認めなかったもののPFS 5.5カ月,OS 14.3カ月と良好な結果を示した64)。以上より,高齢者に対する標準治療はDTXをはじめとした第3世代抗癌剤単剤と考えられる。
c.
高齢者に対するプラチナ製剤併用療法については第Ⅱ相試験や第Ⅲ相試験のサブセットから様々な報告がなされてきたが明確な結論には至っていない65)
 近年高齢者を対象とした第3世代抗癌剤単剤とプラチナ製剤併用療法を比較した第Ⅲ相試験が2編報告され,両試験とも登録された患者の多くが75歳以上であった。weekly CDDP+DTXとDTXの比較では,中間解析において併用療法が単剤治療の成績を上回らないことが示され,試験中止となった66)。CBDCA+weekly PTXとGEMもしくはVNRの比較では,PFS,OSにおける併用療法の優越性が示された(PFS:6.0カ月vs 2.8カ月,P<0.0001,OS:10.3カ月vs 6.2カ月,P<0.001)67)。しかしながらこの成績は上記bに述べた本邦での単剤治療の成績を大きく上回っているとはいえず,併用群における治療関連死が4.4%と高いなどの問題点が指摘されている。また投与量も本邦における標準的なものとは異なっており,データの解釈には注意を要する。
 以上より,PS 0-1,75歳以上に対してCBDCA併用療法は選択肢の1つと考えられ,推奨グレードはC1とした。
d.
CDDP+PEMとCDDP+GEMの第Ⅲ相試験が行われ,全体では同等の効果であったが組織型による差が認められた。非扁平上皮癌においてはCDDP+PEM群でOS延長(11.8カ月vs 10.4カ月, HR 0.81, P=0.005)を認めたが,扁平上皮癌では,逆にCDDP+PEM群でPFS(4.4カ月vs 5.5カ月, HR 1.36, P=0.002),OS(9.4カ月vs 10.8カ月, HR 1.23, P=0.05)ともに劣っていた47)。組織型によるPEMの効果の違いについてはPEM単剤を用いた第Ⅲ相試験も併せて解析され,上記同様の傾向が確認されている79)。以上より,PEMは扁平上皮癌に対して行わないよう勧められる。
e.
ベバシズマブの第Ⅱ相試験においてGrade 3以上の肺胞出血が9.1%に認められ,出血リスクに関する検討が行われた。現在のところ,扁平上皮癌や空洞を有する症例,大血管への浸潤や隣接を認めるもの,その他,喀血・コントロール不能な高血圧,重篤な大血管病変や消化管における活動性出血の既往があるものなどが高リスク群と考えられており42),ベバシズマブは扁平上皮癌に対して行わないよう勧められる。
5-20.扁平上皮癌:PS 2
推 奨
〈レジメン〉

a.第3世代抗癌剤単剤を行うよう勧められる。(グレードA)

b.プラチナ製剤併用療法を考慮してもよい。(グレードC1)

c.第3世代抗癌剤併用は行うよう勧めるだけの根拠が明確ではない。(グレードC2)

d.ペメトレキセドは行わないよう勧められる。(グレードD)

e.ベバシズマブは行わないよう勧められる。(グレードD)

エビデンス
 PS 2は多様な集団であり標準治療は定まっていない。化学療法と緩和治療を比較したメタアナリシスのサブセットにおいて,PSにかかわらず化学療法による生存期間の延長が認められている〔PS 2以上の場合,化学療法によって1年生存率にして6%(8%から14%)の改善〕1)

〈レジメン〉

a.
メタアナリシスにおいて第3世代抗癌剤(DTX・PTX・VNR・GEM)単剤治療は緩和治療に比して1年生存率で約7%の改善が示されているが2),この中にPS 2以上は約30%含まれていた。また,この解析でも取り上げられた3つの試験においてPS 2のサブセットの治療成績が明らかになっており,いずれもOSが延長する傾向が確認されている71)
b.
PS 2患者のサブセット解析が報告されており,CBDCA+PTXはPTX単剤に対して1年生存率で有意に上回っていた(18% vs 10%,HR 0.60,P=0.016)72)。PS 2に対するCBDCA+PTXとCDDP+GEMの比較が行われ,OSはそれぞれ6.2,6.9カ月と良好であり,毒性に関しても忍容可能と考えられた73)。CBDCA+GEMとGEM単剤の比較が行われ,有意差は認めなかったものの併用群でOS(6.7カ月vs 4.8カ月,P=0.49),PFS(4.1カ月vs 3.0カ月,P=0.36)の延長傾向が示された74)。CBDCA+PEMとPEM単剤の第Ⅲ相試験が行われ,併用群でPFS(5.9カ月vs 3.0カ月,HR 0.46,P<0.001),OS(9.1カ月vs 5.6カ月,HR 0.57,P=0.001)の有意な延長を認めた。毒性に関しては併用群で貧血や好中球減少の頻度が高く,3.9%の治療関連死が認められた75)
 以上より,毒性が耐用可能と思われるPS 2に対してはプラチナ製剤併用療法を考慮してもよい。しかしながらPS 2に関するエビデンスは少なく,そのほとんどがCBDCA併用レジメン,もしくは通常より減量した用量が用いられていることに注意が必要であり,推奨グレードはC1とした。
c.
PS 2に対する第3世代抗癌剤併用のエビデンスは少ない。weekly DTXとDTX+GEMの比較第Ⅱ相試験が行われ,約35%を占めたPS 2患者において併用によるOS延長は認めず(2.9カ月vs 3.8カ月,P=0.62),毒性が増強していた76)。よって,行うよう勧めるだけの根拠が明確ではなく,推奨グレードはC2とした。
d.
CDDP+PEMとCDDP+GEMの第Ⅲ相試験が行われ,全体では同等の効果であったが組織型による差が認められた。非扁平上皮癌においてはCDDP+PEM群でOS延長(11.8カ月vs 10.4カ月,HR 0.81,P=0.005)を認めたが,扁平上皮癌では,逆にCDDP+PEM群でPFS(4.4カ月vs 5.5カ月,HR 1.36,P=0.002),OS(9.4カ月vs 10.8カ月,HR 1.23,P=0.05)ともに劣っていた47)。組織型によるPEMの効果の違いについてはPEM単剤を用いた第Ⅲ相試験も併せて解析され,上記同様の傾向が確認されている79)。以上より,PEMは扁平上皮癌に対して行わないよう勧められる。
e.
ベバシズマブの第Ⅱ相試験においてGrade 3以上の肺胞出血が9.1%に認められ,出血リスクに関する検討が行われた。現在のところ,扁平上皮癌や空洞を有する症例,大血管への浸潤や隣接を認めるもの,その他,喀血・コントロール不能な高血圧,重篤な大血管病変や消化管における活動性出血の既往があるものなどが高リスク群と考えられており42),ベバシズマブは扁平上皮癌に対して行わないよう勧められる。
5-21.扁平上皮癌:PS 3-4
推 奨
化学療法は行わないよう勧められる。(グレードD)
エビデンス
 PS 3-4に対する細胞障害性抗癌剤の適応はない。
 PS不良や合併症のため細胞障害性抗癌剤の適応とならない進行非小細胞肺癌に対して,エルロチニブ単剤と緩和治療の第Ⅲ相試験が行われた77)。患者背景として扁平上皮癌が40%,PS 3が30%を占めており,この試験においてOSの延長はみられなかった。
 以上より扁平上皮癌,PS 3-4については化学療法(細胞障害性抗癌剤・EGFR-TKI)は勧められない。
引用文献

レジメン:Ⅳ期非小細胞肺癌の1次治療

プラチナ製剤と第3世代以後の抗癌剤のレジメン

CDDPレジメン

CDDP 75 mg/m2, day 1 q3w
PEM 500 mg/m2, day 1

4コース終了後,増悪を認めなければPEM単剤の維持療法を考慮する
維持療法:PEM 500 mg/m2, day 1

※PEMの投与に際しては下記ビタミンの補充を行う

①葉酸:投与の7日以上前から葉酸として1日1回0.5 mgを連日経口投与する。なお,本剤の投与を中止または終了する場合には,本剤最終投与日から22日目まで可能なかぎり葉酸を投与する。

②ビタミンB12:初回投与の少なくとも7日前に,ビタミンB12として1回1 mgを筋肉内投与する。その後,本剤投与期間中および投与中止後22日目まで9週ごと(3コースごと)に1回投与する。

CDDP 80 mg/m2, day 1 q3w
DTX 60 mg/m2, day 1
CDDP 80 mg/m2, day 1 q3w
GEM 1000 mg/m2, day 1, 8
CDDP 80 mg/m2, day 1 q3w
VNR 25 mg/m2, day 1, 8
CDDP 80 mg/m2, day 1 q4w
CPT-11 60 mg/m2, day 1, 8, 15
CDDP 60 mg/m2, day 8 q4-5w
S-1 40 mg/m2, 1日2回, day 1-21

CBDCAレジメン

CBDCA (AUC=6), day 1 q3w
PTX 200 mg/m2, day 1

PTX投与30分前までにデキサメサゾン,H1,H2 blockerの前投薬を行う

CBDCA (AUC=5), day 1 q3w
GEM 1000 mg/m2, day 1, 8
CBDCA (AUC=5), day 1 q3w
S-1 40 mg/m2, 1日2回, day 1-14
CBDCA (AUC=6), day 1 q3w
nab-PTX 100 mg/m2, day 1, 8, 15
CBDCA (AUC=5-6), day 1 q3w
PEM 500 mg/m2, day 1

4コース終了後,増悪を認めなければPEM単剤の維持療法を考慮する
維持療法:PEM 500 mg/m2, day 1
※PEMの投与に際しては上記CDDP+PEMレジメンの注釈を参照のこと

ネダプラチン 100 mg/m2, day 1 q3w
DTX 60 mg/m2, day 1
  • 増悪しなければ上記を6コース以内で繰り返す。
  • 維持療法を行う場合はプラチナ製剤併用を4コースで終了し,病勢増悪を認めず,毒性が忍容可能な場合に(プラチナ製剤を含まない)単剤化学療法に移行する。

ベバシズマブ併用レジメン

CBDCA (AUC=6), day 1 q3w
PTX 200 mg/m2, day 1
ベバシズマブ 15 mg/kg, day 1
 PTX投与30分前までにデキサメサゾン,H1,H2 blockerの前投薬を行う
  • 増悪しなければ上記を6コース以内で繰り返す。
  • ベバシズマブについてはプラチナ製剤併用療法の終了後,病勢増悪もしくは毒性中止まで単剤投与を継続する。

単剤療法レジメン

DTX 60 mg/m2, day 1 q3w
GEM 1000 mg/m2, day 1, 8, 15 q4w
VNR 25 mg/m2, day 1, 8 q3w
ペムブロリズマブ 投与方法は添付文書に従う

内服療法レジメン

ゲフィチニブ 250 mg/日 1錠 1日1回
エルロチニブ 150 mg/日 1錠 1日1回
アファチニブ 40 mg/日 1錠 1日1回
クリゾチニブ 250 mg 2錠(1回1錠) 1日2回
アレクチニブ 150 mg 4錠(1回2錠) 1日2回
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