はじめに
国民健康づくり運動である「健康日本21」は、国民の健康課題に対して目標数値を設定し、生活習慣の改善などの計画的な取り組みで、厚生労働省が2000年に第1次健康日本21(第3次国民健康づくり)を開始し、2024年から第3次健康日本21が進められている。禁煙に関しては2003年5月WHOにより「たばこ規制枠組条約」が策定され、我が国は2004年3月に署名、2005年2月27日より条約発効しています。また2002年制定、2003年5月に施行された「健康増進法」の施行を機に、公共の場所や職場における禁煙、分煙の取り組みが急速に進展しました。2018年7月に、望まない受動喫煙を防ぐことを目的とする改正健康増進法が成立し、2019年7月より学校・病院等での原則敷地内禁煙(屋内全面禁煙)が、2020年4月より飲食店・職場等での原則屋内禁煙が義務づけられています。
厚生労働省の2022年国民生活基礎調査によると、日本の喫煙率は男性25.4%、女性7.7%で、2019年から男性は3.4ポイント、女性は1.1ポイント低下、いずれも減少傾向にあります。2000年との比較では男性ほぼ半減、女性は約3割低下しています。それにより、現在の日本の喫煙率はEU加盟国の平均とほぼ同じレベルになっています。禁煙キャンペーンやたばこの広告禁止、禁煙希望者への支援策などの施策を実施するスウェーデンでは、毎日喫煙する15歳以上の成人は2019年6.4%で、WHOが定義する「スモークフリー(禁煙):日常的に喫煙する人の割合が5%未満」に近づいています。肺癌のみならず多くのたばこ関連疾患を予防するには、国民全体として禁煙を進めることが重要で、医療関係者の役割と責任は甚大です。
日本肺癌学会では2000年に「禁煙宣言」を出して以来、喫煙の害について市民公開講座などの啓発活動を行っておりますが、このたび「禁煙宣言2024」を出すことになりました。臨床の現場でどなたでも禁煙支援を行えるよう、様々なレベルでの禁煙のネットワークづくりは進んでいます。学会としても今後も活動を続けていきますので、ご協力宜しくお願い申し上げます。
2024年4月
タバコ対策委員会