コンテンツにスキップする

肺がん治療と禁煙

タバコはがんに限らず、冠動脈疾患や慢性閉塞性肺疾患のリスクファクターでもあり、肺がん患者の多くががん以外の喫煙関連疾患を合併しています。健康維持において禁煙は最も優先されるべきことですが、残念ながら多くの患者、あるいは医師までもが、がんになってしまったら禁煙してももう遅いと軽視する風潮もみられますが、健康維持の観点からは正しくありません。

肺がん治療と禁煙は非常に密接な関係があります。喫煙継続で手術後の肺合併症や感染症の増加、放射線療法や化学療法の治療効果低下や副作用のリスクが高まるため、禁煙によってこれらのリスクを低減できます。また、禁煙することで、患者の体の回復が早まり、治療後の健康状態の早期改善が期待されます。長期的には喫煙者は肺がん以外のがんのリスクも高いため、禁煙することで二次癌のリスク低減や肺癌の治療中および治療後の生存率向上や再発リスクの低減も期待されます。本質的には生涯禁煙が望ましいのですが、もし肺がんと診断されたらできるだけ早く禁煙を始めることが重要です。禁煙は、肺癌患者さんにとって最も重要な治療の一つと言えます。

禁煙は簡単ではなく、患者さんにはある程度の覚悟が必要です。そのためには、自分なりの禁煙理由を見つけ、禁煙の目標を決め、禁煙計画を立てることは重要です。イライラ、不安、頭痛、集中力低下など禁断症状は通常数週間で治まりますが、辛い場合禁煙外来や禁煙プログラムを利用して、禁断症状への対処法を学び、禁煙補助薬を使用しながら実行していくことです。禁煙補助薬は、ニコチンやニコチン以外の成分が含まれた薬で、禁断症状を緩和し、禁煙を成功させるための補助的な役割を果たします。ニコチンガムやニコチンパッチなどの禁煙補助剤を利用してのニコチン代替療法(NRT)やバレニクリン(現在販売中止中)、ブプロピオン(日本では未販売)などがあります。禁煙は一人で抱え込まず、医師や他の医療従事者に相談して、カウンセリング含む適切なサポートを受けたり、周りの人に助けを求めたり家族や友人に協力を求めたりすることも大切です。医師や他の医療従事者は禁煙の進捗状況を定期的に確認し、患者をサポートします。必要に応じて患者が利用できるリソースとして禁煙サポートグループや専門家の紹介など追加のサポートやアドバイスを提供します。