肺がんの治療は,組織診断と病期,身体状況,患者さんご自身の希望で決まります。肺がん治療には外科医,放射線治療医,内科医,緩和ケア医とさまざまな診療科の医師がチームとして関わります。
「外科治療」は,肺がんを手術で取り除く方法です。病気のひろがりやもとの肺の状態によって呼吸器外科医が術式を決めます。詳しいことはQ32,33を参照ください。
「放射線療法」は,肺がんを完治させる目的で行う場合と症状をやわらげることを目標にして行う場合があります。放射線の照射方法や,治療スケジュールなどについてはQ34〜38を参照してください。
「薬物療法」は,抗がん剤(細胞障害性抗がん薬),分子標的治療薬,免疫チェックポイント阻害薬に分けられています。がんそのものを小さくする以外に,遠隔転移の予防,症状をやわらげることを目的に行われます。組織診断とあわせてがんの遺伝子異常の有無,PD-L1タンパク発現の程度,また患者さんご自身の臓器機能や持病の有無,症状による活動度の違いなどで決まります。詳細はQ39〜45でご確認ください。
肺がんと診断されたその日から必要になるのが「緩和ケア」です。がんと診断されてから,気持ちが落ち込んだり,強いストレスを感じたり,自分自身の生活や仕事,家族のことに強い不安を感じる方がほとんどです。とくに肺がんと診断された直後は,治療をはじめいろいろな意思決定を求められる時期でもあります。どの病期にあっても患者さんやあるいは家族の抱えた不安や痛みを取り除き,治療に関わる意思決定を支援するのも緩和ケアの重要な役割です。緩和ケアに関してはQ46,47をご参照ください。